勝てない親分
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親分支配下時代
スペイン×夢主


スペインは中央での仕事を終え、深夜過ぎに屋敷へ帰っていた。

一般人には危険極まりない時間でも、国であり最盛期であるスペインには関係がない。


だが確かに疲れているし、眠い。

最重要な夕飯すらまともに食べられず、もう元気がなかった。


「みんな寝とるやろうなぁ」


屋敷にいるだろう子分たちを思い、少し表情が和らぐ。


丘の坂道を上り、屋敷の屋根が見えて来る。

途中の果樹園の様子を見ながら歩みを進め、ふと、屋敷の一角に明かりが灯っているのが見えた。

ろうそくは一定時間に消すことになっている。消し忘れだろうか。

とりあえず屋敷に入り、泥棒の可能性を考え一応警戒はする。

どうやら明かりがついていたのはキッチンのようだ。

慎重に、半開きになって隙間から光が漏れる扉へ近付く。

ゆっくりそれを開くと、美味しそうな匂いとともに、アルレシアの姿が視界に入った。

「へ…?」

「おう、お帰り」

振り返ったアルレシアの手には鍋の取っ手。

鍋には熱々のオジャが用意されている。

「なんで…」

「使用人に帰って来る時間聞いたんだ。夕飯食えなさそうっていうのもな」

それで用意してくれていたらしい。

ようやく事態を理解したスペインは、口元が緩んでいくのを感じた。

「めっちゃ嬉しいわ」

「ん。今皿に入れるから」

皿に移し替え、銀のスプーンを添える。

「ダイニングはロマーノの部屋近いから、起こさないようにここで我慢な」

キッチンの中、机についてアルレシアが作ってくれたオジャを口に含む。

「うまっ!いつの間に作れるようになったん?」

「前からスペインの家の料理練習してたんだ。お前の負担減らそうと思って。一応、(仮)とはいえ子分だし?」

いたずらっぽく笑うアルレシアに心臓が高鳴った。

「俺、アルレシアに勝てる気せん…」

「100年早い」

「そんなことないで!100年なら…」






結局、400年以上経った現代も敵わないのは、先の話。





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