「クロロのお仲間サンってあたしのパパと戦ったんでしょ? もしかしてクロロも戦ったの?」
「聞いたのか。」
「へぇ、やっぱそうだったんだ。 良かったね、死ななくて。 パパって相当強かったでしょ?」
「引き際を誤らなかったからな。」
普段は世間の情報にまるで無関心な戸愚呂も、“この間”の件はさすがに耳に入ったらしい。
“伝説の暗殺一家”と風説されるだけあり、中々手強い相手だった。仲間の一人を失うという痛手も負ったし、これ以上深入りするメリットは無いだろう。
しかし、理解しつつも戸愚呂と例の男が今ひとつ結びついてこない。風貌は似ていないし、この内部に同じ遺伝情報が組み込まれているとは凡そ想像もつかなかった。
「……アレがお前の父親なのか。」
「パパってすっごく素敵でしょ? 家じゃあたしに一番優しいし、頼りがいがあるし大好きなの。」
「もしかしなくとも、お前は母親似か?」
「うん、みたいね。 “戸愚呂はママにそっくりだ”ってよく言われるし。」
憫察するつもりもないが、何となく“父親の苦労”が偲ばれる気がした。
こんな女が二人もいたら面倒な事この上ないだろう。
そして、戸愚呂はいつも通り好き勝手にお喋りを始めるのだ。
「パパとママって四歳差なんだよ。 変だよね。」
「それは変なことなのか?」
「変でしょ。 それにね、パパほどの人がママみたいな扱いづらい女選ぶのも意味分かんないし。 でも二人は仲良しなんだよ。 変だよね?」
「お前の家庭事情もその理解しがたい思考も知らないが。」
「何はともあれ二人とも無事で良かったよ。
ウチの家族に何かあったら、相手が誰でも殺してやりたくなるもの。 でもクロロが死んでたら剥製にしてあげられたのにね、残念。」
やはり戸愚呂は人の話を聞かず、一人で自分の世界へと入り込んでいる。あの父親に娘の教育をどう施したのか是非一度は聞いてみたいものだ。(恐らく本人の性質によるところが一番大きいのだろうが。)
他者に、世界に興味のない女。彼女の視界にオレが入り込む余地はないだろう。この先、尽未来際に至るまで。
▲ 四歳差の劣情
171014