「ヒーさんって彼女とかいないの?」
「何だい、藪から棒に。
彼女って言うと“特別な女のコ”って意味かい?」
「そうそう。 今更だけど、気になって。」
「本当に今更だよね。 だって、それ何皿目?」
「えーと……ひい、ふう…………28?」
現在、あたしとヒソカは吐きそうなくらい甘ったるいケーキに舌鼓を打っているところだ。話してみるとヒソカとは割と趣向が合うらしく、今日は試しにスイーツバイキングとやらに乗り出してみた。
余談であるが本日の戦功目標は50皿である。
「糖分が頭に回ったからかな? もし彼女がいたらこんなところに連れてきちゃ悪いかな、って思って。」
「戸愚呂って将来糖尿病にでもなりそうだね。
ちなみに、今は“特別な女のコ”はいないかな? マチのことは結構気になるけど。」
「えーっ! マチちゃんなんて超ハードル高いじゃん!」
マチは案外繊細で優しいけれど(仲間内だから知り得ることなのだが)、一見すると男より男らしいというか、逞しいというか。クロロ以外の男には凄く辛口だし。あたしなんか一晩くらいだったらマチに抱かれてもいいかな、と思ったことさえある。
そうか、ヒソカはマチがタイプなのか。
「マチちゃんはねぇ、あんまり男に気を許さないからねぇ……。 可愛いんだけど、残念ながら太鼓判は捺せないよ。(何よりマチに悪いし。)」
「そういう子ほど跪かせたときの快感が大きいんだよねえ。」
「ヒソカ、それちょっと気持ち悪い。 さすがに引くわ。」
「そう?」
ヒソカはそう呑気に返事をしつつ、ガトーショコラを口に運んでいる。あたしより皿数を稼いでるというのに、恐らく彼の味覚はご逝去なさっているのだろう。
あたしもすかさず29皿目に手を伸ばしたけど、そう若くはないので胸焼けがしてきた。
しかし、ヒソカに恋人がいないなら良かった。マチのことは兎も角として、“友人枠”としてこんな関係でいても良いだろう。(昔、自称シャルの恋人に包丁で脅されたことがあったので、ちょっとしたトラウマになっているのだ。)
栗の美味しい季節になってきたので、30皿目にはモンブランを選んでみる。……甘い。そうだ、あたしはアリんコではないのだ。砂糖まみれの人生なんてものは送りたくはない。
うん、下品でごめんね。やっぱりトイレで少しリバースして来ても良いかな?
171014