■ 14日の木曜日
「ヤダ、クロロちゃんじゃなぁ〜い! 来るなら予め言ってよォ、アタシおめかしし損ねちゃったわァ〜!」
今回ばかりは、期待を裏切ってもらって大いに構わなかったというのに。扉を開けると、随分と野太い声が我々を出迎えた。耳を疑いたくなったが、悲しいかな勘違いの類ではないらしい。
勢いよく視界に飛び込んできたのは、魑魅魍魎が跋扈する“魔物の巣窟”だった。「ポイズン・キッス」の店名に違わない超魔界村である。
“来いよ! 銃なんて捨ててかかってこい!” とコマンドー的展開で煽られそうな肉体美を持った男性たち……(いや、女性たち?)はクロロの姿を認めると黄色い歓声を上げた。
……え、もしかしてクロロってこんな趣味もあったの?
“オレこんだけモテるんだぜ〜、良いだろ〜最高に気持ちいい〜”って、そんな下らない自尊心を満たすために、しかもわざわざあたしに見せつけるため連れて来たの?
めっちゃ引くんだけど。
と内心青ざめつつも、恐る恐るクロロの様子を伺うと、彼は自慢のポーカーフェイスを崩しやや頬を引きつらせていた。
……あ、やっぱコイツもちょっと動揺してるんだ。
“生卵を数個飲み干し、厳しいトレーニングをこなすストイックなボクサー”のような筋骨隆々の男性陣(女性陣?)は、あたしの存在に気付いたらしく、あからさまに眉をひそませた。
まぁ、この反応は予測出来たけど、一応客として来訪してるんだから、そんなあからさまに鼻摘まみ者みたいな扱いしなくても良くない?
「あら……? クロロちゃん、なによこの子」
「超〜〜ドブスじゃない?」
……は? いやいや、待てよ。 この戸愚呂100%グラサン野郎、今なんつった?
171213