「ねえノブ!見て見て!」
「あんだよ?」

ジャーンッ!
そんな効果音がつくんじゃないかってくらいの得意そうな笑顔を見せるナマエ。手の先に握られているのは…

「アイス…?」
「うん、さっき牧さんに買って貰っちゃった」
「あっ!ずりいぞ!」

オレだって買って貰ってないのに!

いいだろー、なんて言って包みを開けるナマエ。ずりい、っていうかずりい。牧さん、最近やたらとナマエに甘くねーか?なんつーか、ナマエに対して親心でも抱いてんじゃねーかっていうくらい甘い。オレは今確信した。牧さんは将来親バカになる。

そんなことを考えているうちに、みるみるアイスの体積が減っていく。あちい。練習後なんだから当たり前だけど、あちい。あーっ!クソッ!

「なあ、一口!」
「やだよ、あげない」
「ちょっとくらい良いだろ」
「ノブのちょっとはちょっとじゃないの!」

そんなでかい口に食べられたら一発でアイスが瀕死になるから!…なんて訳の分からない言い訳をし、アイスは再びナマエの口の中へ。あああ!でかい口はお前だろ!

「ナマエって薄情者だよな」
「そんな捨てられた子犬のような目で見つめてもダメだよ」
「ちっ…」

フとその時、日頃からナマエが口走っていることを思い出した。

「お前、ダイエット中とか言ってなかった?」
「ギクリ」

おお、良い反応だな。ベタすぎるが十分すぎる反応だ。

「アイスなんか食ってると太るぞ」

太るを特に強調してみた。…オレってやな奴?いやいや、頭脳的なだけだ。

「ふと…太んない!」
「いや、太るな。明日体重計に乗ったらビビるぞ。後悔するぞ」

オレはお前の為を思って言ってるんだ。決して牧さんの娘を思うあまり買われたアイスを狙っているわけじゃないんだ。暑いからじゃないぞ。お前の為だぞ。

「オレ、食べてやってもいいけど?」
「む、」

既にアイスは半分以上消えているが、ないよりはいい。全然いい。

ホラ、って手を出すと、ナマエは「仕方ないなぁ」と観念したのか、アイスを差し出してきた。

「やりっ!」
「最低」

アイスが手に入ればなんでもいい。ウマイ。このシャリシャリいう食感が絶妙。

「ふうん、信長とナマエってそういう仲だったのか」
「は?」
「へ?」

いつの間にか後ろに居た神さん。あまりに唐突すぎて思わず間抜けな声が出た。

「一つのアイスを二人で分け合うなんて仲良しだなって思ってさ」

一つのアイスを…二人で…?

「おっと、オレがいたら邪魔者になるかな。後は二人でごゆっくり」

ニコリ、と笑ってその場を後にした神さん。残されたオレとナマエ。

「?」

なんだか思考が追い付かなくて、なんとなく隣にいるナマエを見る。ナマエも何がなんだか分かっていない様子だ。

っつーか、顔赤くね?

オレの視線に気づいたナマエは、「ノブのばか!」と吐き捨てて、大急ぎでオレから離れていった。

「…なんだよ、意識すんなよな」

オレまで恥ずかしくなるじゃんか。

ああ、熱い暑いあつい
せっかくクールダウンしたのにまたアツくなった。
(間接キ…これ以上は言えない)