音が、辺り一面に広がってこんなにも響くだなんて知らなかった。

「よー、流川。元気してる?」
「なんだ、オマエか」
「相変わらずのしかめっ面だね」
「うるせー」

そして手にはバスケットボール。毎日、毎日本当によく飽きないなと思う。流川の生活の大半はバスケで占められていて、あとに残されたのはご飯と睡眠くらいのものだろう。彼の私生活を少し覗けば、それが手に取るように分かるのだ。でも一体、なぜ。

どうしてそんなにも、熱中していられるの。

「バスケ好き?そんなに強くなりたい?」
「? たりめーだろ」

流川がこよなくバスケを愛し、そして上を目指しているのは端から見れば誰でも分かること。それでも、私は質問せずにはいられなかった。

「そんなに上ばっかり見てると疲れない?」
「?」
「たまには、下を向いても良いんじゃないの」

流川は質問の意図を理解しておらず、少し首をひねったがまた直ぐにボールと向き直った。

知っていたのに、私は気付かない振りをしていただけなのだ。ボールの響くこの体育館も、流川に振り返る暇がないことも、全部知らないことにしておきたかった。

カラカラに渇いた喉が、流れでる汗が、心臓の激しい躍動が、全て私自身を警告していた。

渇いた叫び