前から気になっていたペストリーショップに訪れると、数人が既に並んでいた。
外から店内の中を覗き、どれくらいの人が居るかお目当ての商品はあるかを見てから視線を戻すと
見覚えのある顔が大きく手を振るのが視界の端に入った。
「こんちわーっス!」
「こんにちは、悠二くん。お休み?」
嬉しそうに小走りに駆け寄ってくる彼を見て、どんな人との距離の掴み方も上手で自然と出来てしまう天性のものなんだろうと思う。
「うん、今日俺休みで何しよっかなーって歩いてたところ!」
「七海さんは今日五条さんと出張だよ」
「あー!すげーイヤそうな顔してたよナナミン!」
隣にスッと一緒に並び
なぜ、五条さんと出張になったかの経緯を思い出し笑いをしながら悠二君は楽しそうに話してくれた。
「伊地知さん、いつも五条先生に強請られてるんだよな〜」
「大変そうだけど、いつも楽しそうだね」
そう言うと、目を輝かせて他の先輩たちの話もしてくれた。
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む?
あそこに見えるのは…間違いない
マイブラザー虎杖悠仁。
と、その隣に居るのはまさか…
ブラザーが俺以外にあの笑顔を向けてるという事はそういうことか。
ケツとタッパがデカい女が好みだと言っていたマイブラザーだが、少々タッパが足りん気がする。
そこは愛があれば乗り越えたようなものか…。
他は中々に良いものを持ってるな、高田ちゃんには負けるが。
そうかブラザー
ついに運命の女と出会ったのだな。
この俺以外にあんな笑顔を向ける女が現れるとはな。
ここはひとつ、2人を祝い…
「おや…ミスター東堂。奇遇だね、どうしたんだい?」
「あぁ、ミス冥冥。あそこにマイブラザーが居たからな」
「虎杖君か。ふふ…良いねぇ、楽しそうにしてるじゃないか」
「マイブラザーに運命の女が出来たとはな。温かく見守ろうと思っ…「違うよ。」
「え」
「彼女は七海君の恋人だよ。」
「ほぅ、ミスター七海の…」
「フフっ…悪い事を考えてはいけないよ。」
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悠二君の話を聞いてると道路を挟んで反対側にこちらを見ている2人の男女の姿が目に入った。
「ねぇ、悠二君…あの2人は知り合い?ずっとこっちを見てるんだけど」
「ん?おぁ!?東堂と冥さんじゃん」
大きく2人に向かって手を振る悠二君に対して
女性は小さく胸元で手を振り、男性の方は腕を組みながらうんうんと頷いて微笑んでる。
やっぱり、七海さんの周りには個性豊かすぎる人がたくさんだと思った。
「俺とブラザーについていかに惹かれあっている運命かを語り合わないといけないな」
「…私はお先に失礼するよ、ミスター東堂。ほどほどにね」