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女はふらつきながらも、生まれ育った故郷を目指した。

自分の口からは最後の祈りの言葉がとめどなく出てくる。


もう一度、故郷で星を見たい。
できることならあの子を連れて…一緒に見たかった。

あの子の母親と父親の話も、写真も見せて
夜通し語りあいたかった。


「ミカル…」


やっとの思いでそのエリアに入ると
見張り台にいた青年が顔面を蒼白にして大声をあげた。


「ユアン…ユアンじゃないか…!!誰か!ブーゲンハーゲン様を…!誰か!」



ユアンと呼ばれたその女を
村人たちはそっと中へと運び、すぐさまその村の長もやってきた。

「ユアン…どうした、なにがあった?こんなに力がなくなるまで…一体」

長であるブーゲンハーゲンが、そう言い終える前にユアンは言った。


「もう、この星は耐えられない…星の鳴き声がずっと、ずっと聞こえる」


ユアンは仰向けになり空を見上げた

「あぁ…懐かしい…ずっと見たかった、この渓谷から見える星たちを…」



荒くなってた呼吸を整えて、ユアンは星空を眺めながら穏やかに言った。

「どうか…ミカルを…」



閉じた瞳から一筋の涙がこぼれ落ちた。


村人たちは皆、うつむき口々に祈りの言葉を唱えた。


「長老様…どうしましょうか。私がミカルを迎えに行きましょうか」

「いや…」

ブーゲンハーゲンとよばれた長は、ユアンの額に手を当て
目を閉じた。


「導かれて必ずここへ来る。その時まで待つのじゃ。」



空を見上げると幾千もの星が輝き、たった今天へと向かった魂を導いているようだった。


ープロローグー

2014.12.12.



In Love Again