小さい頃

王都城にいつも遊びに行っていた頃

昼寝の時間には必ずイグニスにくっついて寝ていた。

時々シャツを握ると、応えるようにギュッと抱き締める力を強くしてくれたのを覚えている。

その感覚が今も全身に感じる。

夢を見てるのだろう、その割にはとてもリアルな感覚だ。

温かくて安心する香りと、時折背中を大きな手が上下して撫でる。

シギルはパチリと目が覚めた。

(すっかり寝ちゃって…)

ぼんやりとした意識の中目を開け顔を上げると、イグニスの寝顔があった。

小さい頃に昼寝をした時と同じ格好で2人、カーペットの上で横になっている。

ちょうど良い位置にイグニスの腕が枕となっていたので、身体の痛みなどはなかった。

シギルは普段見る事はない無防備な姿に、もう少し…と思いながら目を閉じて胸に顔を埋めた。

「ん… シギル?」

「イグニスおはよう」

顔を上げると優しいグリーン色の瞳と目があった。
「随分寝てしまった… シギルの気持ち良さそうな寝顔につられたな」

そう言うと一瞬、シギルの頭に鼻を埋めるように抱きしめてから
大きく息を吸いふうっと吐いて起き上がった。

「夕飯の支度をしないとな」

「私も手伝う」

シギルの上半身を起こしてからイグニスは顔を洗うと言ってバスルームへと向かった。

スマートフォンがなり、見るとノクトからのメッセージだった。

《見なかったことにしといてやるから、貸し1な。あと何分したら戻れば良い?》

《もう起きたから大丈夫!スミマセン…。アンブラ来てたよ、受け取った?》

《おー、手帳な。イグニスにはテキトーに言っといて》

《わかった、ノクトありがと》

伸びをして立ち上がるとイグニスも戻ってきた。

「ノクトたちは…一旦帰ってきたのか?アンブラが来てたようなんだが」

「あー…うん!来て玄関で受け取って、プロンプトが忘れ物したって騒いだから一緒に一旦戻ってたみたい」

「そうか」

「買い物してから帰るって」

シギルも手を洗い、イグニスの隣に立ち夕飯の支度の手伝いを始めた。

ノクトの貸し1は何を言いだすのだろうか…と予想を張り巡らしていると、隅のかごにジャガイモがいくつも入っているのを見つけた。

「ねぇ、イグニス。フライドポテト作っても良い?」

「珍しいな、シギルが食べたがるなんて」

「ん?うん、たまには食べたいな[D:12316]って…あとほら、今日ノクト達補習頑張ってたみたいだし」

そう言って、かごからジャガイモを取り出すシギルを見てイグニスは口元が緩んだ。

内容こそわからないが、何か秘密の事があると分かりやすく態度と口調に出るのだ。
ノクトとシギル共に変わらない。

昔、菓子をつまみ食いしたノクトを庇ったシギルの姿が思い出された。

「揚げ物って緊張する」

「大丈夫だ、一緒にやろう」


帰ってきたら喜ぶノクトの姿が思い浮かんだ。

(これで貸しは無し!)



In Love Again