―あれはクリスマスより少し前の夜だったと思う。

シギルがよく王都城に両親と訪ねて来ていて、泊っていた頃...

ぼんやりとしかもう思い出せないあの姿



「やぁ、ノクティス王子」

珍しくインソムニアに雪が降った夜

深々と降る様子を大きな窓から見ていたら、いつの間にかその男はすぐ側に居た。

どうやって入ったのだろう?

警備は?

物音も何もしなかったのに....

幼いノクトは色んなことを考え巡らせたが分からなかった。

「だれ?」

男は少しだけ被ってた帽子を上げて目を伏せて首を垂れた。


「そうだなぁ...またそのうち会えるからね」

ふぅん、と追及することもなくノクトは応え再び外に目をやった。


「珍しいね、部屋にひとりだなんて」

男はノクトの側に立ち、同じように窓から雪が降る様子を見た。

自分の足元に居る小さな王子は瞬きを忘れて窓に手をついて夢中の様だった。

「シギルとイグニスがもうすぐ来るよ」

「そう。仲良しだねぇ」

暫く沈黙した後に男は再び口を開いた。

「今日は夜が一番長い日なんだよ」

そう言うと自分を見上げ、そうなの?と興味深そうに聞き返してきた。
瞳の色はまるで深海の深い蒼を思わせる。

「そう。だから夜に飲みこまれないようにしないとね...良い子は早く寝なくちゃ」

男はノクトの目線に合わせて屈み、人差し指を立てた。

「ノクティス王子。君にプレゼントをあげよう」


―いずれそう遠くないうちに君が治めるルシス王国と共に


「愛する人との幸せな未来だ。いいかい?目に見える事だけに囚われてはいけないよ」

どこまでを理解したのかは分からないが小さな王子は何も言わずに頷いた。


「ノクト!」

部屋の扉が開けられ、シギルの手を引いたイグニスとその後ろに乳母がホットミルクを持ってやって来た。

呼ばれた方向を見てからすぐに目の前に向き直ると、男は既にいなかった。

「どうしたの?」

シギルが心配そうにノクトの顔を覗き込んだ。


「...今サンタさんが居た」


「「えー?」」




「俺さぁ...小さい頃サンタに会ってるんだよな」


プロンプトは飲んでいたカフェラテを咽こみ、シギルはイグニスが焼いてくれたカヌレを食べようとしてその手を止め、目を見開きノクトを見た。


「ちょ...ノクト!ツッコミ入れていいのか困るんですけど!!」

ゲホゲホと咽ながらプロンプトは笑った。

「親父達が変装してお前達が寝静まった後プレゼント置いて行ったんだろ?」

プロンプトの背中を擦りながらグラディオは言った。


「それとか、王の剣の皆じゃない?特殊部隊だし窓からも静かに入れそう」

「そういえば、今サンタが居たとノクトが言っていた時があったな」

夕食の支度を終えたイグニスも一休みをしにテーブルへと来た。


「顔覚えてる?」

シギルはカヌレを頬張り紅茶を啜った。

「あー....なんか、背がめっちゃでかかったな。グラディオ並み」

「「えー?」」


プロンプトとシギルは同時に声を上げ、グラディオとイグニスは苦笑いを零した。


今この瞬間がきっとそのプレゼント―。



In Love Again