afternoon
夜型の生活を送る私には、七時過ぎに起きて八時頃にモーニングを摂り、十時に一仕事終えるともう眠たくて仕方がない。普段は、そろそろ起きる頃だ。ホテルに着いた私は、テレビをつけてニュース番組にチャンネルを合わせる。その音を聞きながら着替えて、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。ちょうどそのとき、速報です、とキャスターの声がした。
「婦女暴行罪で有罪、十ヶ月の懲役を今日終えたばかりのーーーーさんが、出所直後死亡しました。大量出血によるショック死とされており、現場にいた多数の目撃者は揃って、突如空から降ってきた拷問具、通称アイアンメイデンにより殺害されたと、にわかに信じられない証言をしており、現在警察が調査を続けています」
私は黙ってそれを聞く。聞いて、テレビを消そうとした。私は男が死んだかどうか、それが天罰が下ったように見えたかどうかを知りたかった。けれどキャスターは、同じ表情のまま速報を続けた。私はそれに、リモコンに指を当てたままフリーズする。
「また、ーーーーさんと深い繋がりがあるとされている指定ギャング団の所有するビルで大量殺人事件が発生しました。こちらも、にわかに信じがたいことに、凶器にはトランプが用いられたとの情報が入っています。また、被害者はすべてギャング団の構成員の可能性が高いとされており、二つの事件の関連も視野に捜査が進められています」
それは私じゃない。私はフリーズしたまま、画面を凝視する。私の他に、天罰の執行人が派遣されていたのだろうか? トランプが凶器、ということは犯人は間違いなく念能力者である。しかし、トランプでは天罰を装うことはできない。依頼人は別で、ターゲットだけが重複したのか。事件の起きたビルは、ここからもう少し国の中心部寄りにある。恐らく、車で一時間前後と言ったところだろう。つまり、いまこの周辺に、私の他に最低でももう一人、躊躇なく人を殺せる念能力者がいる。
押し寄せる思考の波から顔を出すと、天気予報士が今週の空模様について話しているところだった。私はテレビを消す。心臓が早鐘を打っていた。何も心配することはない。そう言い聞かせる。私は任務を遂行した。完遂だ。じきに、アイアンメイデンで殺された男の不自然な懲役期間の短さについて、そしてその死に方についてあらゆる憶測が飛び交うだろう。その悪行を知る者は必ず言うはずだ。天罰だと。
私は備え付けのガウンを脱いで、下着姿のままベッドに入る。少し寝よう。そう思いながら目を閉じた。あの夢を振り払って、今朝食べたホットサンドのことを考える。起きたら食事に出かけよう。そしてまた少し寝て、明日の朝、ここを発つ。いまはもう雪国に住んではいないけれど、この国からは近くない。海を越えた先に私は帰る。あの彼とももう会うこともないだろう。
…
…
maybe never end ... ?