アニメ銀魂第5話
「ジジイになっても名前で呼び合える友達を作れ」より。



ここは万事屋銀ちゃん♂スでも屋である。
この万事屋の社長坂田銀時は怒っていた。
「俺が以前から買いだめしていた大量のチョコが姿を消した。食べた奴は正直に手ェ挙げろ。今なら3/4殺しで許してやる」
銀時は明美、新八、神楽に勢いよく怒鳴りかかる。
「3/4ってほとんど死んでんじゃないスか。っていうかアンタいい加減にしないとホント糖尿になりますよ。明美さんからもなんか言ってやって下さい」
新八は呆れながらもツッコミ、銀時とこの中で一番付き合いの長い明美に助けを求める。
『チョコぐらいでそんなに怒んないでよ。後、甘い物はほどほどにした方がいいよ。』
明美は掃除をしながら答える。銀時が甘いものに関して怒ることはいつもの事なので今更何も思わないが、確かに甘い物を控えなくてはいけない事は事実であった。そんな中、
「またも狙われた大使館、連続爆破テロ凶行続く…」
神楽は新聞を読み上げながら鼻血をたらしていた。
「物騒な世の中アルな〜。私恐いヨ。パピー、マミー」
神楽は自分の鼻血に気づいていないらしい。そんな神楽を見て
「恐いのはオメーだよ幸せそーに鼻血たらしやがって。うまかったか俺のチョコは?」
銀時はガッと神楽の顔をつかんだ。
「チョコ食べて鼻血なんてそんなベタな〜」
まだ鼻血に気づかない神楽はすっとぼけるた。それを聞いた銀時は
「とぼけんなァァ!!鼻血から糖分の匂いがプンプンすんぞ!!」
銀時は畳み掛けるように、神楽にキレ続ける。
「バカ言うな。ちょっと鼻クソ深追いしただけヨ」
神楽は女の子とは思えない事を言う。そんな神楽に明美は黙って神楽の鼻にティッシュをつめてやる。
「年頃の娘がそんなに深追いするわけねーだろ。定年間際の刑事がお前は!!」
とまだ怒鳴り散らす銀時に
「例えがわかんねーよ!!っていうかおちつけ!!」
と新八がツッコミ
『もう、うるさいよ銀ちゃん!!』
明美も流石に怒った瞬間、万事屋の外からけたたましいブレーキ音の後にドカンという何かにぶつかる様な大きな音がし、全員ビクリと肩を揺らした。


「なんだなんだ、オイ」
銀時が急いで外を見ると、ちょうど万事屋の下のスナックにバイクと運転手が倒れていた。


「事故か…」


万事屋メンバーが全員外に出て様子をみていると突然お登勢の怒鳴り声が聞こえた。
「ワレェェェェェ!!人の店に何してくれとんじゃアア!!死ぬ覚悟できてんだろーな!!」
お登勢は殴り掛かる勢いで怪我人に詰め寄る。
「ス…スンマセン。 昨日からあんまり寝てなかったもんで」
怪我人はぐったりしながらも謝る。
「よっしゃ!!今 永遠に眠らしたらァァ!!」
そんな怪我人に対してもお登勢はお構い無しに殴りかかろうとする。
「お登勢さん、怪我人相手にそんな!!」
今にも怪我人に殴り掛かりそうなお登勢を新八が必死に止める。この間に明美は怪我人に駆け寄り怪我の具合を見る
『大丈夫ですか?結構酷いですね、いま、応急処置しますね。神楽ちゃん救急車呼んでもらえる?』
明美が神楽に救急車を呼んでほしいと伝えると
「救急車ャャァアア!!!!!」
と神楽が両手をメガホンのように空に向かって大声で叫ぶ。
「誰がそんな原始的な呼び方しろっつったよ」
とすかさず銀時がツッコミを入れる。
『銀ちゃん、ツッコムなら救急車読んでよ、』
明美は思わず声に出した。
「わりぃわりぃ」と言いながら銀時は地面に散らばった手紙を1枚拾う。
「ん?飛脚かアンタ。届け物エライことになってんぞ」
そんな中素早く明美に応急処置してもらった飛脚は銀時達に向かって一つの小包を差し出した。
「こ...これ...これを...俺の代わりに届けてください.....なんか大事な届け物らしくて届け損なったら俺...クビになっちゃうかも。お願いしまっ...」
お願いしますと言い終わる前に飛脚は気を失ってしまった。
『だっ、大丈夫ですか?』
と明美が声をかけるも目を覚ます様子はない。4人は託された小包を見つめるしか出来なかった。
「「「『……』」」」

あんな事になっては、届けに行くしかない、という結論になり4人は記載されていた住所の建物の前に立っていた。
「ここであってんだよな」
銀時は目の前にそびえ立つ建物を見て他の3人に問いかける。
「うん」
神楽は唖然としながら呟く。
『間違いないよ』
明美も神楽同様唖然としている。
「大使館...これ戌威星の大使館ですよ。戌威族っていったら地球に最初に来た天人ですよね」
万事屋一行が来たのは戌威星の大使館だった。
「江戸城に大砲ブチ込んで無理矢理開国しちまったおっかねー奴らだよ。嫌なトコ来ちゃったなオイ」
銀時はめんどくさい事に巻き込まれてしまったと察したのだった。
「オイ」
突然見知らぬ声に呼び止められ明美達はその声の方に振り返る。
「こんな所て何やってんだ、てめーら。食われてーのか、ああ?」
するとそこには、怖い顔をして二本足で立っている犬が居た。つまり犬の天人である。
「いや...僕ら届け物頼まれただけで」
あまりの威圧に新八は怯みながら答える。
『顔、怖っ、』
明美は思わず言葉にしてしまう。
「ああオラ神楽、早く渡...」
渡せ。と銀時が神楽に小包を渡すように言おうとすると
「おいでワンちゃん酢昆布あげるヨ」
神楽は子犬を呼ぶように手を振りながら犬の天人に呼びかけるその瞬間スパンとキレよく、銀時が神楽の頭を叩く。
『かぐちゃん!!銀ちゃん!!!』
と明美が叱る。
「届け物がくるなんて話きいてねーな。最近はただでさえ爆弾テロ警戒して厳戒体制なんだ。帰れ」
犬の天人は受け取る気がないらしく明美達に帰るように言い捨てるを
「ドッグフードかもしんねーぞ。もらっとけって」
銀時がそう言いながら届け物を差し出すが「そんなもん食うか」と、犬の天人が届け物を叩いた。
叩かれた届け物はふわりと宙を舞い、大使館の敷地内へと落下した。
その瞬間...
耳を塞ぎたくなるような大きな爆発音と、生温い爆風が銀時達のまわりに吹き荒れた。
まさかの銀時達が頼まれて届けに来た物は爆弾だった。
「...なんかよくわかんねーけど、するべきことはよくわかるよ。


逃げろォォ!!」

銀時が叫ぶと同時に4人は走り出した。
「待てェェテロリストォォ!!」
しかし、犬の天人も反応が早く
「!!」
新八が犬に捕まってしまった。
が!!新八が捕まった反対の手で銀時の手を掴み、
「!!」
銀時が同じように明美の手を掴み、
『!?』
明美がこれまた同じように神楽の手を掴んだ。
「!!」
みんな仲良く手を繋いで道連れにしようとしていた。
「新八ィィィ!!てめっどーゆーつもりだ離しやがれっ」
銀時は早く離すように新八に訴えかける。
「嫌だ!!一人で捕まるのは!!」
新八は離すもんかと銀時の手を更に強く握る。
「俺のことは構わず行け...とか言えねーのかお前」
「私と明美に構わず逝って二人とも」
神楽はそう言いながら前に進もうと力を入れる。
「ふざけんなお前も道連れだ。つーか俺と明美は一心同体なんだよ!!離れられない運命にあるの!!切っても切れない縁なの!!」
銀時は屁理屈をこねて更に明美を離さない。
「わけわからない事言ってないでとっとと離すアル!!」
『銀ちゃん!!そろそろ私離れしよう!!!自立だよ!自立!!!』
明美は、銀時に離すように訴える。
「ちょっとォ!?なんでそんな事言うの?!?!俺、自立しないよ!しないからな!!てかそんなこと言ってる場合じゃないよ!!ほら...ワン公一杯来たァァ!!」

大騒ぎの銀時達とは裏腹に物静かに腰を下ろしている者が一人…。
「手間のかかる奴らだ」
そういいながら立ち上がると同時に駆け出し、迅速に敵を薙ぎ倒して行く。
「逃げるぞ銀時、明美」
そう声をかけられ
「おまっ...ヅラ小太郎か!?」
銀時は思い当たった古き友人の名前を呼んだ。
「ヅラじゃない桂だァァ!!」
ヅラ≠アの言葉を聞いた桂は銀時に殴り掛かる。
「ぶふォ!!!!!」
銀時は思わず吹っ飛ぶ。
『銀ちゃん!!』
慌てて明美は銀時に駆け寄る。
「てっ...めっ、久しぶりに会ったのにアッパーカットはないんじゃないの!?」
銀時はすぐさま復活し桂に突っかかる。
「そのニックネームで呼ぶのは止めろと何度も言ったはずだ!!」
『桂さん。』
「明美お前も久しいな、」
「てか、お前何でこんな所に。」
そんな話をしている間にも敵は次々と迫ってくる。
「話は後だ銀時、行くぞ!」
それを合図に万事屋一行と桂は走り出した。





走り続け何とか逃げ切り、万事屋の4人桂に連れられ逃げ込んだ和室の部屋で生中継されているテレビを見ていた。
《―――に続き今回卑劣なテロに狙われた戌威星大使館。幸い死傷者はでていませんが...え...あっ新しい情報が入りました。監視カメラにテロリストと思われる一味が映っているとの...あ〜〜バッチリ映ってますね〜》
テレビには万事屋一行の顔がバッチリ映っていた。
「バッチリ映っちゃってますよ。どーしよ姉上に殺される」
「テレビ出演、実家に電話しなきゃ。」
それを見た新八と神楽はそれぞれ真反対な反応をしていた。
「何かの陰謀ですかね、こりゃ。なんで僕らがこんな目に。唯一、桂さんに会えたのが不幸中の幸いでしたよ。こんな状態の僕らかくまってくれるなんて。銀さんと明美さんの知り合いなんですよね?銀さん、一体どーゆー人なんですか?」
「んー、爆弾魔。」
新八は想像していた答えより180°違う答えに驚き
「はィ!?...えっと、明美さん、桂さんって一体どーゆー人...。」
今度は明美に問いかける。
『テロリスト。』
明美は新八の質問にいつも通りの真顔で即答する。
「おい、銀時、明美。そんな言い方は止せ」
新八達が話していると部屋の襖がスーっと開き、桂と複数の男が入ってきた。
「この国を汚す害虫“天人”を討ち払い もう一度侍の国を立て直す。我々が行うは国を護るがための攘夷だ。卑劣なテロなどと一緒にするな」
「攘夷志士だって!?」
新八は思わず驚く。
「なんじゃそらヨ」
神楽は煎餅をかじりながら新八に質問する。
「攘夷とは二十年前の天人襲来の時に...(以下略)その後、主だった攘夷志士は大量粛清されたってきいたけど...まだ残ってたなんて」
新八が驚いていると
「...どうやら俺達ァ踊らされたらしいな」
『え?』
「なァ、オイ…飛脚の兄ちゃんよ」
銀時が目線を送る方を見ると
「あっ、ほんとネ!!あのゲジゲジ眉デジャヴ」
「ちょっ…どーゆー事っスか、ゲジゲジさん!!」
複数の男の中に小包を託してきた飛脚の男がいた。
「全部てめーの仕業か、桂。最近世を騒がすテロも…今回のことも」
『桂さん...。』
「たとえ汚い手を使おうとも手に入れたいものがあったのさ。……銀時、、この腐った国を立て直すため再び俺と共に剣をとらんか」
桂は刀を握り、銀時達の前に差し出す。
「白夜叉と恐れられたお前の力、再び貸してくれ」
桂は力強く銀時に訴え続ける。
「天人との戦において鬼神の如き働きをやってのけ敵はおろか味方からも恐れられた武神...坂田銀時」
明美はなぜが不安に駆られ銀時を盗み見る。桂はお構い無しに銀時に
「我等と共に再び天人と戦おうではないか」
と説得する。
「.....銀さんアンタ、攘夷戦争に参加してたんですか。もしかして明美さんも!?」
『戦場には出てないけどね、兵器の開発者として携わってた。』
「そうなんですか。明美さんの機械の強さは人間離れしてますもんね。」
「当たり前だ。明美の造る爆弾は天下一品だ。」
「オイ...明美まで巻き込むんじゃねーよ。だいたい俺ァ派手な喧嘩は好きだがテロだのなんだの陰気くせーのは嫌いなの」
銀時は明美を庇ういながら言葉を続ける。
「それに俺達の戦はもう終わったんだよ。それをいつまでもネチネチネチネチ京都の女かお前は!」
「バカか貴様は!京女だけでなく女子はみんなネチネチしている。そういう全てを含めて包みこむ度量がないから貴様はもてないんだ」
「バカヤロー俺がもし天然パーマじゃなかったらモテモテだぞ。多分」
『.....。』
明美は無言でくりんっと可愛らしくカールした髪の毛を触る。
「明美大丈夫ヨ!女の子の天パは可愛いネ!!」
それに気づいた神楽は思った事を素直にそのまま伝える。
「俺達の戦はまだ終わってなどいない 貴様の中にとてまだ残っていよう銀時...。国を憂い共に戦った同志達の命を奪っていった幕府と天人に対する怨嗟の念が...」
桂は刀をぐっと握り銀時の前に差し出した。
「天人を掃討しこの腐った国をたてなおす。我等生き残った者が死んでいった奴等にしてやれるのはそれぐらいだろう。我等の次なる攘夷の標的はターミナル。天人を召喚するあの忌まわしき塔を破壊し、奴等を江戸から殲滅する。だがアレは世界の要…容易にはおちまい。お前の力がいる銀時、既に我等に加担したお前に断る道はないぞ。テロリストとして処断されたくなくば俺と来い。迷う事はなかろう。元々お前の居場所はここだったはずだ」
『銀ちゃん、』
シンと室内が静まり返ったのも束の間、突然バンと襖を蹴破る大きな音が聞こえた。
「「「『!!』」」」
その瞬間黒い服を着た男達にぐるりと周りを囲まれる。
「御用改めである。神妙にしろテロリストども」
黒髪の男が刀片手に声をあげる。
「しっ...真選組だァっ!!」
「イカン逃げろォ!!」
桂が声を荒らげる。
「一人残らず討ちとれェェ!!」
黒髪の男の声を合図に黒い服を着た男達は銀時達に向かって襲い掛かってきた。
すかさず銀時達は襖を蹴り飛ばし、急いで逃げる。

「なななななんなんですかあの人ら!?」
猛スピードで走りながら新八は桂に質問する。
「武装警察《真撰組》反乱分子を即時処分する対テロ用特殊部隊だ。厄介なのにつかまったな。どうしますボス?」
桂は何故か銀時をボス≠ニ呼んだ。
「だーれがボスだ!!お前が一番厄介なんだよ!!」
「ヅラ、ボスなら私に任せるヨロシ。善行でも悪行でもやるからには大将やるのが私のモットーよ」
「オメーは黙ってろ!!何その戦国大名みてーなモットー!」
素っ頓狂な事を言い出す神楽に銀時は思わずツッコム。
『てか、これどこに逃げればいいの??てか何で私逃げてんの?何にもしてないのにいいいいい!!!!』
思わず荒ぶる明美に
「明美落ち着けェエエエエエ!!」
と銀時が叫ぶ。その瞬間

「オイ」

背後から呼ぶ声がして振り向くや否や声の主は刀を銀時に向かって突き刺してきた。
「ぬを!!」
銀時はそれを間一髪の所で避ける。
『銀ちゃん!!』
明美は思わず足を止め銀時に駆け寄る。
「逃げることないだろ、せっかくの喧嘩だ楽しもーや。」
刀を突き刺したのは先程、真選組で先頭を切っていた黒髪の男だった。
「おいおい、お前本当に役人か?よく面接通ったな。瞳孔開いてるぞ。」
銀時は喧嘩を売るように黒髪の男に言う。
「人の事言えた義理か?てめぇ死んだ魚のような目しやがって」
そう言いながら黒髪の男はもう一度銀時に刀を振るう。
「いいんだよいざと言う時にはキラめくから。」
銀時は刀を避け余裕そうに言葉を発する。
『銀ちゃん!!』
「明美下がってろ。」
銀時は明美を庇うように前に出る。
「おうおう、テロリストが女連れとは舐めやがって!!!」
と叫びながら黒髪の男は銀時に刀を突き刺す。
銀時は間一髪で避ける。がすぐさま刀の筋が代わりもう一度攻撃されるのを、銀時はまたしても間一髪で避けたが服が少し切れてしまったようだ。
「やるじゃねーか。この変化は大抵の者は付いてこれないんだがな。」
と黒髪は感心したように言う。
「危ねーな、本当に当たったらどうするんだよ。」
銀時は斬られた服の部分を擦りながら黒髪の男を見る。
「バッキャローこちとら斬るために喧嘩してんだ!」
黒髪は声を荒らげた。
銀時と黒髪の男は刀を交えだした。
『銀ちゃん...。』
すると少し遠くから
「土方さん危ねェですぜェ。」
と言いながらバズーカを構えた青年が現れた。
『バズーカ?』
明美が呟いた瞬間バズーカが発射された。銀時は思わず近くにいた明美を突き飛ばす。明美は思わずよろけ倒れてしまう。そんな明美の目の前は大きな爆音と共に壁が砕け煙が漂っている。すると左手が掴まれた。
「明美走るぞ!」
明美の左手を掴んだ銀時が明美を引っ張りながら走る。明美も無言で頷きながら銀時の後ろを走った。


何とか逃げ切り明美達は桂達のいる部屋に合流する事が出来たがすぐにその部屋は真選組にバレてしまった。
「オイッ出てきやがれ!」
部屋の外で真選組がそう叫ぶが、出てこいと言われて出ていく者もそうそう居まい。
「ここは十五階だ。逃げ場なんてどこにもないんだよ」
と、外で真選組が何やら叫んでいる最中、桂は懐をあさり何かを取り出した。
「?そりゃ何のまねだ」
桂が取り出した2つの物を見て銀時が言う。
「時限爆弾だ。ターミナル爆破のために用意していたんだが仕方あるまい。コイツを奴等におみまいする...2つも投げれば大丈夫だろう。そのスキに皆逃げろ」
そこまで言うと突然、銀時が桂の胸倉を勢いよく掴んだ。
その拍子に桂の持っていた時限爆弾は手から転がり落ちた。
それを神楽が物珍しそうに突いたりお手玉のように遊び出す。
『かぐちゃん?何してるの??あんまり遊んでると危ないからね。それ。』
「大丈夫アルヨ〜ここのスイッチさえ押さなければ爆破しないネ!!」

《ピッ》《ピッ》

『...え?今、なんか《ピッ》って電子音が聞こえなかった??しかも2つ!!』
悪い予感しかしない明美。
「明美……」
神楽が小声で明美の名前を呼ぶ声が聞こえた。
『...どうしたの?かぐちゃん??』
「スイッチ…押しちゃった...。」
明美は思わず神楽の手元にある2つの爆弾を見た。
『えぇぇーーー!?ぎっぎぎぎ銀ちゃぁーん!!』
「ん?どーした明美?」
『か...かぐちゃんが...』
「コレ...いじくってたらスイッチ押しちゃったヨ」
神楽は笑顔で答える。
「悪夢だ、」
「ベタだな。」
銀時と桂はその爆弾を見ながら呟く。

一方外では真選組がバズーカを発射しようと構えていた。
黒髪の男が「発射」と合図しようとした瞬間に明美達が逃げ込んでいた部屋のドアが内側から蹴破られた。
その瞬間真選組も思わず驚く。
「何やってんだ止めろ!」
真選組の人間が突っきろうとする明美達を見て声をはる。
「止めるならこの爆弾止めてくれ!爆弾処理班とかさ!!いるだろ!おい!」
銀時は両手に持った爆弾を見せながら真選組に助けを求めたが
「爆弾持ってるぞこいつ!!!」
と言い真選組は逃げ腰だった。
銀時は正面から突っ切ろうと思っていたらさっきの黒髪の男とバズーカをぶち込んできた青年が目に入った。その瞬間銀時は
「これさっきのお返しだやるよ!」
と言いながら爆弾を1つ2人に無理やり手渡し銀時達はそのまま走り去った。

しかし銀時達の手にはまだもうひとつ爆弾が残っていた。ピンチには変わりなかったのだった。
「おい!新八!お前機械強いとか言ってなかったっけか?!?」
と言いながら新八に爆弾を投げ渡す。
「かっ、勘違いですよ!それなら、僕なんかより明美さんでしょ!?!?!」
と新八は明美に爆弾を渡す。
『(まぁ、確かに爆弾の解除できるな。桂さんの爆弾は嫌という程見てきたし。)』
「よっ、よし!明美!お前なら解除できるよな!!」
銀時は思い出したように明美に言う。
明美も頷き鞄から解除用のペンチなどを取り出そうとした途端後から。
「おい!どうすんだよ!!!」
「爆弾処理班なんていねぇーぞ!」
「土方さん死んでくだせェ。」
「おい!最後!どーゆー事だ!切腹だぁ!!!!」
「今どうでもいいから早く止めて!!」
と真選組が揉めている声が聞こえた。
明美はその姿をぼーっと見つめてた。
銀時達は中々解除しない明美を見つめる。
『なっ、なんか向こうも大変そうなので向こうのお手伝い行ってきます!こっちの爆弾は3人に任せるね!信じてるからね!!』
と言い残し爆弾を銀時に託し、真選組の方に走る。
「おいいいいいい!!!明美ーーー!!待ってーーーーー!!!てか、なんで地味にしりとり続けたんだよ!!!おいいいいい!!!」
と叫びながら銀時達はまた走り出した。
明美は銀時にはかなりの信頼をおいている。銀時達の爆弾を解除しなかったのは悪いと思ったが、銀時達なら大丈夫だと言う自信もあった。それに真選組の方には爆弾処理班がいないみたいだし、人数も多いのであっちの爆弾が爆発してしまえば被害が大きくなるのも目に見えていた。明美は急いで真選組がいる方へ走った。

その頃真選組は止め方のわからない爆弾に戸惑っていた。
「おい、どーするんですかィ。土方さん。」
「どーもこーもねーよ!爆弾を止めなきゃならねーだろ!」
「止め方知ってるんですか?!」
「知らねーよ!!!!」
と言い合いが続いていた。
さっきの黒髪の男は真選組副長の土方十四郎。バズーカを放った青年は一番隊隊長沖田総悟だった。
「副長!さっきの爆弾魔の仲間がこちらに走ってきました。」
明美がこちらに向かっているのを1番に気がついた男が土方に声をかける。
「何?」
真選組の目線は明美の方に向いた。
『爆弾!解除します!!!』
と明美は叫びながら走る。
そして、明美は土方の目の前に立った。
「お前、さっきの。」
土方は明美に目をやる。
「お前本当に爆弾を解除出来るのか?てか桂の仲間だろお前!信用できるか!」
と土方は声をあげる。
『今はそんなのどうでもいいんです!!!時間がないんです!!』
と言いながら明美は土方から無理やり奪い取った。
「おい!!」
と土方が明美に声を荒らげるが明美は今は時間がないと、構わずに爆弾の解除を始めた。スムーズに明美ば爆弾を解体し導線を切った。すると
《ピーーーッ》
と音が爆弾からし、爆弾のデジタル画面を除くと爆弾のタイマーが止まった。明美はそれを確認し、
『銀ちゃーーーん!!そっちの爆弾も解除しようかーーーー!!!』
と遠くにいる銀時に声をかけるが
「もう遅ーーーい!!後10秒ーーーー!!!」
と銀時が叫ぶ、その瞬間
「銀ちゃん歯食いしばるネ!!」
と神楽が叫び神楽は傘で思いっきり爆弾を持っている銀時を打ち飛ばした。銀時は窓ガラスに衝突し、外にほ降り出される。銀時は落下する中爆弾を空に投げ飛ばした。そして、爆弾は空で爆発した。そのまま落下した銀時はビルの垂れ幕を掴み落ちずにすんだ。それを遠くから見ていた明美は慌てて窓の下を覗き込む神楽と新八のもとに走ろうとするとパッと右手を掴まれた。
「おい、テメェどこに行くつもりだァ?」
明美は不意に掴まれた右手を見つめた。
「テメェ、テロリストだろィ?現行犯逮捕だ。」
と手を掴まれた人間に告げられ『(まじですか。)』と思いながら手を掴んできた人間を見ようと顔を上げるとバッチリと目が合った。
『(バズーカの...。)』
手を掴んだのは沖田総悟だった。とりあえず明美は逃げられないと思いため息をついた。そして、もう一度沖田の方に目をやると、
「あっ、いや、...。」
となぜが驚かれた。思わず明美は首を傾げると、沖田は急に顔を真っ赤にして目をそらした。そんな沖田を見てさらに明美は首を傾げた。どうやら沖田は明美に一目惚れしたようだった。
「おい、総悟俺達は他の連中を連行しに行く。お前はその女を先にパトカーにぶち込んでおけ。わかったな?」
と何も気づかない土方は沖田に命令する。
「...。」
が沖田から返事は返ってこなかった。
「おい!!!!総悟!!!」
と思わず土方は声をあげた。
「...っ。なんでィ。」
沖田は少しびっくりしながら土方に問う。
「話聞けよ!てめぇ!その女パトカーにぶち込んでこい!そんで、俺らが合流するまでその女見張っとけ!わかったな!!」
「...わかりやした。」
「よし!残りの奴らは他のテロリスト共を連行するぞ!」
と土方の言葉を合図に神楽達や他に逃げ遅れたテロリストがいないか捜索にあたった。
「...てっテメェーはこっちだ。」
と沖田は少しどもりながらも明美の手を引き歩き始める。
そのままエレベーターで1階まで下り、ビルの外に停められていたパトカーの後ろの席に明美は乗せられた。その隣に沖田も腰をかける。そして、そのまま無言が続く。しかし、明美はそんな無言は気にしておらず銀時達が大丈夫か心配していた。すると隣から「...おい。」と声をかけられ明美は『はい?』と返事をしながら沖田の方を向いた。
「...お前、名前は?」
いきなり名前を聞かれると思わなかった明美は思わず豆鉄砲を食らったような顔をした。そんな明美を見て沖田は居心地が悪そうな顔をしてそっぽを向いた。
『えーっと、浅尾明美です。』
少し驚いたが明美はすぐに名前を教えた。
「.....明美...ちゃんですかィ...?」
『あっはい!』
「えっと、いきなり名前で呼ぶのは馴れ馴れしーですかィ?」
と沖田は不安そうな顔をして聞くので
『いいえ、大丈夫ですよ!』
と明美は笑顔で答えた。
そんな明美をみて沖田はさらに頬を赤らめる。
「...とっ年はいくつでィ?」
『18です。』
「おっ同い年でさァ!!」
『あっそうなんですか?』
と沖田は明美と同い年と知り少し嬉しそうにした。
『あの、』
と今度は明美から沖田に声をかける。
「!?なっなんですかィ?」
まさか明美から声をかけられると思わなかった沖田は驚きながらも返事をする。
『あなたはお名前なんて言うんですか?』
「おっ、沖田総悟でさァ。」
『沖田くんですか、』
そう明美が言うと、
「そっ総悟。」
『えっ?』
「...っ総悟でいいでさァ!!!」
と沖田が顔をますます真っ赤にしながら叫ぶので明美も驚いだが
『総ちゃんとかでも大丈夫ですか?』
と話を続けた。
「総ちゃん...。」
『あれ?ダメでしたかね?』
「いえ!嬉しいでさァ!実は俺の大切な人も総ちゃんって呼んでるので少しビックリしただけでさァ!」
とあまりにも喜ぶので明美は思わずふふふっと笑ってしまった。それを見て沖田も照れ笑いをするので『(なんか、可愛い子だな。)』と明美は思った。
そんなフワフワとした雰囲気の中明美達が乗っていたパトカーの運転席の扉が開いた。そちらに目を向けると
「他の連中も取り押さえたぞ。このまま署まで向かうぞ。」
と言いながら土方が乗り込もうとした瞬間。
「えっ、これ総悟なの?えっ?」
といつもより雰囲気が柔らかくなった沖田を見て思わず土方は戸惑う。
「土方さん早く運転してくだせェ。」
と沖田は満面の笑みで土方に言う。
その笑顔には明美と話せた事の喜びと明美との二人の時間を邪魔された土方への憎悪の笑顔が混じりあっていた。そんな沖田を見て土方は
「あっ、はい。」
と言いながら運転席に乗り込み車を出したのであった。