私の隣の席の高杉くんは、滅多に学校にはいらっしゃいません。高杉くんは私の通う学校一の不良少年で、私が最後に彼の姿を見たのは、もう何週間も前の事のように思います。白い違法なドラッグを売りさばいてるだとか、目が合っただけで殺されるとか、普段からあまり良い噂は聞かれない高杉くんですが、一応、学級委員長の私としては、やはりクラスメイトには毎日教室に顔を出していただきたいのです。


「高杉くん!おはようございます!」

「…あぁ?」


朝の登校時、校門をくぐると高杉くんの姿がありました。何週間かぶりに見る高杉くんは、相変わらず左目の眼帯を付けたままで、学ランの下のシャツは燃えるように赤いです。面白いことに、高杉くんが歩くすぐ側には、みなさん恐がって近づきたがらないようで人っ子一人いません。ですが、私は今日、何としてでも高杉くんに教室に来ていただきたいので、勇気を持って高杉くんに近づきます。


「誰だてめぇは」

「あ、失礼いたしました!私は高杉くんと同じクラスで隣の席の白木桜子と申します!良かった!高杉くん、今日は学校に来てくださったんですね!」

「…てめぇには関係ねぇだろう」


うぅ。さすが高杉くん、我が校きっての不良というだけあって恐いです。迫力満点です。ですが、ここで引き下がる訳にはいきません。今日は私たちのクラスである3年Z組に来ていただくまで、一歩も引き下がるわけにはいかないのです!


「高杉くん!私たちの教室はこっちですよ!どちらに行かれるのですかっ??」

「うっせーな。どこ行こうが俺の勝手だろうが。てか着いて来んな」

「いいえっ!そうはいきませんっ!今日は何としてでも高杉くんに教室へ来ていただかないと!」

「知るかよンーなこと」


あぁ、大変です、どうしましょう。もうすぐ予鈴も鳴るというのに、高杉くんは教室とは真逆の道をどんどん歩いて行かれます。一体、どちらへ向かうおつもりなのでしょう?


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