▶メインストーリー第一章/第四話
桜の欠片90枚 OK
▶胸騒ぎと悪夢
雲一つない黒い空を見上げている、夢だった。
白い満月がぽっかり穴を開けたかのように、桜雅街を見下ろしている……。
嗚呼、誰かが「満月の夜は出歩くな」と言っていた気がするのに。
わたしは桜雅街中央公園の近く、桜の前に立っていた。
風が、うるさい。頭が痛い。
呼び声のような、呻き声のようなノイズは頭の中を支配して。
――助けて。
「……はっ、はぁ……はぁ……ゆ、め……?」
それにしては、あまりにもリアルというか……まだ、頭痛も残っている気がする。
(誰が……助けを求めてるんだろう。どうして、わたしに……?)
誰かが困っているなら助けたいけれど、さて、誰なのか、誰から、何から助ければいいのかは見当もつかない。とは言え、ただの夢と断じるのは何だか違う気もした。
(まずは顔洗って……さっぱりしよう)
身支度をしてリビングに向かうと、四方田がテレビを見ていた。報道番組のキャスターが「桜雅街でまたもや失踪事件か」と原稿を読み上げている。
「おはようございます。……また事件ですか?」
四方田に挨拶すると、返事と共に溜息も返ってきた。
「まったく物騒な世の中だ、こんなに仕事が舞い込んでちゃ体がいくつあっても足りないな」
「少しでもお力になれてると良いんですけど……」
「大丈夫、助かってるよ」
テーブルに目を向けると、朝食らしきものが並んでいる。卵料理と焦げた食パンだ。
「こういうのは慣れてなくてな……、こんなでもよかったら食うか?」
「はい、いただきます。ごめんなさい、用意させてしまって……」
「珍しく起きるのが遅かったな。……よく眠れなかったかい」
「えっと……ちょっと夢見が悪かっただけで、大丈夫です。あの……わたしもそんなに得意じゃないんですけど、ご飯は作りましょうか?」
火を使うのはちょっと怖いけど、電子レンジを上手く使えば色々出来る。ゴミ箱をちらりと見た時、レトルトやコンビニ弁当のゴミばかりだった。毎回それでは食費も嵩んでしまうし。
「俺は助かるが……おまえさんはいいのか?」
「はい。恩返しさせてください」
「……そうか、なら世話になるよ。でも毎日じゃなくてもいい、無理はしなさんな」
「はい。あ、お好きなお料理ありますか? お好みの味とか……」
「和食がいいねぇ。もうこの年だと、脂っこいもんはちょっとね」
「分かりました!」
和食ならば、煮物などが多いから火も弱火くらいで済むし、若芽としても作りやすい。献立どうしようか、と考えながらも、今日はありがたく、四方田の作った朝食を食べたのだった。
▶警視庁へ
今日も頑張るぞ、と四方田班の扉の前に立つと、中から言い争いのような声が聞こえてきた。喧嘩だろうか? 相馬や羽佐間、田知花の声とは違う気がする。恐る恐る扉を開けると、美人な女性が緩い雰囲気の男性に言い詰めているようだった。
どうやら、昨日の事件の話らしい。女性は確か……一条瑠璃、男性は松田静一。
一条は自分の分析と知識に絶対の自信を持っているようだ。それを疑われるような事を言われたのか怒っている。松田は困ったように笑うばかりで、通常運転とばかりに気にしてなさそうだったが。
(ど、どうしよう……収めた方が良いのかな……)
「あ、暖地さん! おはようございます!」
あわあわしていると、相馬が明るく声をかけてきてくれた。
「おはようございます、相馬さん。えっと……さっきの、大丈夫でしょうか……?」
「ん? 嗚呼……松田さんが一条さんを怒らせるのはよくあることなので……」
困ったように笑う相馬は、もう慣れてしまった様子だ。ならば気にしない方が良いのだろうか。
「そうそう、暖地さん。これを見ていただけますか?」
相馬がパソコンの画面を見せてくる。桜雅街の桜と、満月が美しい写真だ。
「昨日満月の夜だったんですけど、写真家の方がこれを撮った直後に消えちゃったらしいんです」
「それが今朝報道されていた事件ですか?」
「そうなりますね。現場にはカメラだけが残されていて……あたし、やっぱりこの桜になにかあるんじゃないかって思って」
異能力でも魔力でもない、第三の力。桜からは確かに何かを感じた気がした。
「……ってあたしと松田さんが言ってたら、一条さんが怒っちゃったんですけど……」
「そうでしたか……。……実際、異能力でも魔力でもない、という事が確かなのは、絶対だと思います。一条さんの分析に疑いの余地はないかと。……で、あれば、検知されたことのない新たな力の、初事件なのかも……?」
「なるほど!? 初めてであれば、誰も分かる訳ありませんもんね……!?」
「多分、言い方さえ気を付ければ、一条さんを怒らせずに済んだかもしれないですね」
「うっ……気を付けます……」
「わたしも気を付けないと……。やっぱり、桜が気になるので、もう一度調査に行ってみた方が良い気がします」
若芽は、桜雅街中央公園に向かうことにした。
▶好感度
🎲3+2=5up 一条好感度5%
🎲3+2=5up 松田好感度5%
🎲6+2=8up 相馬好感度23%
🎲4+2=6up 四方田好感度30%!
▶桜の欠片
🎲6+2=8枚 90→98枚
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狗の隠れ家