津西進 第一話



▶キャラクターストーリー 津西進 第一話

 若芽は、四方田に屋上があると聞いて、訪ねてみた。
(高い所は怖いけど……あんまり屋上に行ける場所って少ないから、どんな感じか気になる……桜雅街を高いところから眺めても見たいし)

 そこには先客がいた。ヒーロー課の津西だ。

「津西さん、こんにちは」
「……ん? あぁ、暖地か。なにかここに用か? 四方田さんはいないぞ」
「えっと、探してる訳ではなく……桜雅街を高いところから眺めてみたいと思って」
 笑われるかと思ったが、津西は「そうか」を穏やかに頷き、桜の大樹が見えるのが中央公園で、あそこのマンションが自分の住まいで、四方田さんちはあの辺で……など、ガイドをしてくれた。

「ありがとうございます。脳内地図が更新された感じがします」
「はは、そりゃよかった」
「津西さんは休憩中でしたか? お邪魔してしまってすみません」
「いや、大丈夫だ。朗らかないい天気だったから、日向ぼっこでもしようと思って。……おじいちゃんみたいか?」
「とんでもない。……良いですね、そういう余裕を持てるようになれるといいなぁ……」

 若芽がぽつりと呟くと、津西は苦笑しつつ歩き出そうとした。ぽん、と優しく肩を叩かれる。
「……まだ苦労することもあるだろうが、頑張れよ」
 四方田から事情は聞いているのだろう。その眼差しには、慈愛や同情、応援など様々な温かなものが含まれていた。

「……はい。多分きっと、大丈夫な気がします。雷蔵おじ……じゃなかった、四方田班長も支えて下さいますし、仕事仲間にも恵まれていると思いますし」

 寂しいと感じる間もなく、賑やかだったり大変だったり、怒涛の日々の連続だ。若芽にとってはきっと良かったのだろうと思う。

 若芽の返答に津西は微笑み、「お先に失礼」と屋上から出ていった。

(津西さんみたいに、こうやって陰ながら応援してくれる人もいる。……優しい人たちに、出会えたから。お父さん、お母さん、心配しないで見守っててね)

 空を見上げる。少し高い所にいるからか、何となく天国にまで届いたような気がする。

「……よし!」

 改めて仕事を頑張ろう、と若芽も屋上を後にした。
 その背を陽射しが柔らかく照らしたのだった。


▶桜の欠片
🎲2+2=4枚 144→148枚




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