第九話



2026.07.25

▶メインストーリー 第一章 第八話
桜の欠片 152枚 OK

VS人形の悪魔



◆奇妙な美術館

――目を開けると、そこは前見たときと同じ、奇妙な美術館があった。

 額縁には相変わらず失踪者たちが閉じ込められており、あらゆる場所から呻き声や嘆く声が聞こえてくる。
(ここには長居したくない……早く皆さんを助けなくちゃ)

 そして、それらの声をさも美しい音楽のように聴きながら椅子に座っている人形の悪魔がいた。

「ウン? また来たのサ!」
「はい。話は終わってなかったので……皆さんを返してもらいに来ました」
「今度はお仲間を引き連れて来たみたいだけど……オレサマの『芸術』の邪魔はさせないのサ!!」

 対話は不可のようだ。津西は冷静に、面々に命じる。
「戦闘態勢に入れ、やるぞ」

 この中で一番好感度低めなのは……志木川くんさん!

「やるぞ、新人!」
「はい……っ!」

エネミー3体 HP:3

1T
ワカちゃん 🎲1 ファンブル! 大きい人とやるとちょっと狼狽えちゃうかな? 
志木川くんさん 🎲2 成功 エネミー3→0


嗚呼っ、志木川さんが強すぎて!


 若芽は志木川を邪魔しないように動いてしまった。彼らの攻撃に巻き込まれてしまう方が、きっと色んな意味でダメージが大きい。

「こんな雑魚で止められると思うな、よっ!」

 志木川は異能力で自分のパワーを増幅させ、一気にまとめて全員を吹き飛ばした。あっという間の出来事に、若芽はぽかんとしてしまう。
(やっぱり、ヒーロー課のひとは、強い……!)

 同じくぽかんとしていた人形の悪魔は、頭を掻きむしりながら発狂する。

「ムキーーーッッ!! うっとうしいヤツらなのサ!! 『芸術』の心が分からないヤツらめ……!!」

 憎悪に満ちた眼差しで、若芽たちを睨んでくる。
 若芽は、すっと息を吸った。恐れてはならない、引いてはならない。人の命がかかっている戦いだから。

「あなたの言う『芸術』にも一理あるのかもしれません……けれど、わたしは『芸術』は決めつけるものではないと思います。一人一人に、それぞれ思う『芸術』があっていい。……それに、あなたの言う『芸術』を分かってもらえないという苦しみもまた、『芸術』になるのであれば……あなたも、この美術館の一部になるべきのような気がします。それは嫌なのでしょう? で、あれば……あなたの言う『芸術』は半端なものだと思います。皆さんを返してください!」

「カァーーーッ!! うるさいうるさいうるさいッッ!! 凡人にはわからないのサ!!」


 更なる戦闘開始!

 もう一回志木川くんさんにしておこうかな?
 さっきいいところ見せられなかったし……!

人形の悪魔 HP:4

1T
ワカちゃん 🎲4 成功! 金平糖効果 人形の悪魔 HP4→2
志木川くんさん 🎲6 クリティカル! かっこいー!! 人形の悪魔 HP2→0

「志木川さんっ、援護お願いしますっ!」
「おう!」

 若芽は今度こそ、と対悪魔用の虫眼鏡を振るう。人形の悪魔は悲鳴を上げた。確実にダメージを与えている。

「その狭そうな器から、さっさと出てこい!」

 志木川が回し蹴りを繰り出す。見事に吹っ飛ばされた人形の悪魔の球体関節人形の身体が、バラバラになった。

「ウギャアアアアアアアア!」

 人形の悪魔は断末魔を上げて倒れ込む。
 使い物にならなくなった人形から這い出るように、モヤモヤとした形の悪魔が出てきた。

(あれが、悪魔の正体……!)


「確保!!」

 津西の鋭い声に応じ、冴木は瞬時に瓶の中に悪魔をしまい込む。瓶の中から「出せ! 出すのサ!」と叫ぶ声が聞こえたが、すぐさま布を被せられ声は聞こえなくなっていった。

 次第に美術館が光に包まれ、周囲は見えなくなっていく――。


それでもやりたいから



◆桜雅街中央公園

 目を開けると、若芽たちは桜雅街中央公園に戻っていた。
 周囲には額縁に閉じ込められていた失踪者らがおり、「出れた……!」と解放されたことに喜びの声を上げていた。

(良かった……怪我も無さそうだし、元気そう。これで一件落着、かな……?)

「津西さん……! 驚きました、一体なにが……?」

 待機していた犬神と榎本が駆け寄ってくる。彼らにしてみれば、いきなり若芽たちが消え、そして今度は失踪者と共に突然現れたことになる。驚くのも無理はなかった。

「元凶を倒してきた、確保もこの通り」
「すごいじゃん! あはは、でも無断で捜査しちゃったし、後で全員で始末書かも?」

 津西が人形の悪魔を封じた瓶を見せると、榎本が笑いながら言う。

(……そうだった、魔力が検知されてなかったから……)

 ヒーロー課には捜査命令は下っていなかった。勿論、若芽もほぼ独断で行動してしまっていた。最終的には悪魔の仕業だったとはいえ、やはり自分も始末書だろうか……。

(うぅ、初捜査早々、始末書なんて……雷蔵おじさんに申し訳が!)

 そう思い悩む若芽の前に、桜を眺めている男性がいた。失踪者の一人だろう。

(何だか他のひとより、嬉しくなさそう……?)

 痩せぎすでメガネをかけた男性は、若芽の視線に気づくと少しだけバツが悪そうに微笑んだ。

「出れたのは嬉しいけど……多分、だからといって、絵を描く苦しみがなくなったわけじゃないだろうし……」
「……そう、ですね。きっと……それは、貴方が乗り越えないといけないものなのかなって思います」

 若芽は頷く。自分はそこまで『芸術』と向き合ったことが無いけれど。色んな表現方法で、自分の感じる世界や感情を表現しようというのは、難しいことのように感じる。言葉にするのだって、本当に難しいのだから。けれど『芸術』が無くならないのは、それでも挑むひとがいるというのは、それがひとにとって必要なことのような気がする。彼が何に苦しんでいるかは分からなかったし、若芽が何か言って解決するようなものでもないだろう。答えを求めている訳ではない男性も、こくりと頷き、またぽつぽつと喋りだす。

「でも、なんででしょうね、あそこに閉じ込められているほうが苦しかったんですよ」

 あそこにいれば、もう絵を描かないで済むといえばそうだった。誰かの評価を気にすることも、他人の出来と比べて落ち込むことも、しないでも良かった。けれど、『もう描けない』ということの方が、彼にとっては苦しいことだったというのだ。

「なんかもう、作ることが癖みたいなものなのかな」
「凄いです。……立派なことだと、わたしは思います」
「すみません、突然こんな話して……」
「いいえ。お話を聞けて良かったです」
「アイツが言ってた『芸術』、俺には分からないけど……でもきっと、またやりたいって思っちゃったから出れたんだろうな」

 彼は吹っ切れた笑顔を見せてくれた。

「ありがとうございました、刑事さん」
「どういたしまして。……応援しています。あなたが、いつか自分の絵が、一番好きになれますように」
 
 若芽がそう言うと、彼は苦笑しながら頷いた。

(今回の被害者の皆さんの、根本の苦しみは解決できないと思うけど……それでも、きっと、良かった筈だ)


 若芽の姿を見つめていたらしい津西が、「戻ろう、暖地」と声を掛けてくる。

「仕事は終わった」
「はい。お疲れ様でした」

 若芽たちは警視庁に戻ることになった。


多分、一件落着! でも悪魔の仕業だったのに、魔力が検知されなかったのが気がかりですね。妖怪の所為なのねそうなのね!? とか思ってはいたんですけど……悪魔の力が一枚上手だったとかでしょうか……次は第一章完結!



▶好感度
2回戦あったから2回いいかな!?

🎲1+2=3up 
🎲5+2=7up 志木川好感度22%

うぅ、ファンブルの時の戦闘分は最低値だね……戦闘でいいとこ見せれば上がる!


▶桜の欠片
🎲2+2=4枚 152→156枚




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