四方田雷蔵 第二話



2026.07.28
四方田さんキャラスト第二話が来た!!!!!
我慢ならないので読みます。

四方田好感度38% OK

▶キャラクターストーリー 四方田 第二話

◆四方田家


(うーん、ううーん……眠れないよぉ……)

 若芽は自室のベッドの上で、眠れない夜を過ごしていた。
 身体は疲弊している筈だが、妙に頭が冴えて考え事が止まらない。

(何だか、ずっと頭が仕事モードだぁ……ちょっと白湯でも飲んで、リラックスしてからの方が良さそう……)

 若芽は身体を起こし、リビングに降りることにした。

(……あれ? 電気消し忘れちゃったかな……?)

 リビングには電気がついていた。泥棒の線も考えて、恐る恐る向かってみると、そんな訳はなく、四方田が起きていた。

「……雷蔵おじさん?」
「おや、ワカさん。……おまえさんも、眠れないか?」
「はい。……雷蔵おじさんも一緒です?」
「ああ。まあな、そういう日もあるだろうさ」

 四方田は若芽をすぐに寝なさい、と言うことはしなかった。鷹揚に頷くと、ソファの方に手招く。

「しかし、寝ないと明日に響く。……こういうときは、温かい飲み物を飲むといいって言うだろ」
「はい。……白湯でも飲もうかと思って降りて来たんです」
「まぁそれでもいいが……もう少し良いものを用意してやろう。料理はからっきしだが、これだけは得意でね。少し待ってなさいな」

 そう言って四方田はキッチンへと向かった。若芽はおとなしくソファに座って待つことにする。

(……何だろう、甘い香り……)

 暫くして、四方田が「お待たせ」と言って持ってきてくれたのは、温かそうなホットミルクだった。

「わぁ……ありがとうございます」
「甘さは控えめにしといたつもりだが……どうだい」

 ふわりと香る優しい甘さのホットミルクを一口飲んでみる。温かさと共にゆっくりと、仄かな甘みが広がって美味しい。

「美味しいです。……丁度いい甘さで、ホッとしますね」

 若芽が笑うと、四方田も微笑んだ。でも、その横顔は少し寂しそうなのが気にかかった。

「なら良かった。……子供が眠れない日は、こうやってよく作ってたんだ」

 暫く作っていなかったから、作り方を覚えているか心配だったようだが……若芽には何も問題無いように感じた。四方田は遠い目をしたまま、ぽつりぽつりと話し出す。

「部下に言われたことがあってね、本当に寂しいのはおまえじゃないかって」

(……多分、田知花さんだろうなぁ……)

 四方田に何故か当たりが厳しい(まぁ、四方田以外にもそうなのだが)、四方田班の一人、田知花は手厳しい事をよく言う。
 それらは、よくよく聞けば、相手を思っての事……だったりする事もあるのだが、如何せん言葉選びが鋭いのだ。
 相手の心の奥底を、切り開いてしまうような、ナイフに似ている。

「図星だった。……俺は多分、俺が寂しいからおまえさんを呼んだのかもしれないな」

 四方田は、懺悔のように呟く。それが、罪深いことのように。
……田知花が言っていた。四方田は「優しいフリがしたいだけ」だと。
 若芽を呼んだのは、優しい親戚を演じただけで、本当の理由は自分が寂しかったから、ということ。

(……一体それの、どこが悪いのだろう)

 一人が寂しいのは、男女も年齢も、きっと関係ない。
 若芽も、そして恐らく四方田も……家族を突然喪ってしまったから。
 取り残されて、途方に暮れてしまう気持ちは、痛い程よく分かった。
 泣きそうになってしまって、若芽はカップを握りしめる。
 一番泣きたいのは、きっと雷蔵おじさんの筈だから。

「わたしは、良かったです……呼んでもらえて。雷蔵おじさんが一人で寂しがってるのは、嫌だから」
「そうかい」
「わたしも最初は寂しかったけど、今は雷蔵おじさんと、皆さんのお陰で寂しがる暇がないというか……。雷蔵おじさんは、今も、寂しい……ですか?」

 お互いに、お互いが喪ったものの代わりになるとは思えない。
 けれど、若芽は四方田に呼んでもらえて、居場所を作ってもらえたことで、とても安心できた。
 不意に寂しさを感じることも無くはないけれど……四方田に呼んでもらえてなかったとしたら、もっと悲嘆に暮れていただろう。
 今は笑える程には心身に余裕がある。四方田のお陰だった。四方田の思惑がどうあれ、恩人であることには変わりはない。
 その四方田が未だに寂しいのだとしたら……その事が、若芽には寂しく感じる。
 恐る恐る聞いてみたが、四方田は漸く、優しく微笑んだ。

「はは。ワカさんと同じだ。おまえさんが居てくれるおかげで、退屈しなくなったよ」
(良かった……少なくとも、気が紛れているなら……)
「おまえさんが俺をどう思っているかは……まぁちょいと聞いたが。俺も、ワカさんには感謝している」
「は、はい……わたしにとっては、やっぱり恩人です」

 捜査中の田知花との話の中で、聞かれてしまっていたのだった。少し面映ゆい。

「そんな大層なもんじゃなくて悪いな。……それでも、来てくれてありがとう」
「……わたしこそ、呼んでくださって、ありがとうございます」

(……いつか、新しい『家族』だって、言えたらいいな……)

 今はまだ、お互いに歩み寄る段階な気がする。知らないことも沢山あるし、話してないことも沢山ある、遠い親戚同士。
 他人より近いけれど、家族には遠い。でも多分、お互いに「家族」を必要としているから。
 小さな願いを、ホットミルクと共に飲み込む。まずは傷を癒すことから、なのだろう。

(田知花さんに言わせれば「傷の舐めあい」なんだろうけど……それでも、いいんだ。痛いままなのは、良くないもの)

 傷を傷のまま放置してはいけない。恐らく……田知花は傷をそのままにするしかなかった方の人間なのかもしれない。なんてことを思う。

 若芽がホットミルクを飲み終わったのを見計らって、四方田がカップを受け取る。

「さ、暖まったら寝なさいな」
「はい。おかげさまで眠れそうです……ふぁ」
「階段で転びなさんな。……また明日」
「おやすみなさい、雷蔵おじさん」
「おやすみ、ワカさん」


 重くなってきた瞼を擦りながら、若芽は挨拶をする。……この挨拶が出来る相手がいることが、これからもお互いの支えになるといい。
 ゆっくり階段を登り、ベッドに潜り込む。心地の良い睡魔に包まれて、意識が落ちていった。



▶桜の欠片

🎲6+2=8枚 177→185枚


四”方”田”さ”ん”ん”ん”ん”ん”ん”ん”n”
実はこんなシチュで夢書こうとしかけてました、危ない危ない。
絶対こういう夜もあったでしょうと思って……公式でお出しされたので大満足というかもうメソメソ泣きながら書いたというか……ヒーン切ないよぅ! 胸がいっぱいである……

でもって、絶対そういう痛い事言うの田知花さんだろうなと思って書き進めてたら、余談でそう書いてあってちょっと笑ってしまった。だよね……!





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