2026.07.30
▶メインストーリー 第二章 第四話
桜の欠片 201枚 OK
※「朝食の皿に四角い卵 file.2」のネタバレあり
謎の資料
◆探偵課
(昨晩のアレは……わたしの寂しさの表れなのかなぁ……)
若芽はそのことについて、ドッペルゲンガーの項目を読みながら考えていた。
そうであるならばこの事件は、第三者の関与ではなく、自分個人の問題なのだろうか?
(その場合……どう解決すれば良いんだろう。寂しくなくなるためには……?)
両親は戻ってこない。……となると、他の事で心の穴を埋めるしかない。すぐに思いつくのは、想い人の和戸村だ。
それに四方田を筆頭に四方田班の面々、ヒーロー課のメンバー……。
あとは、行方不明の祖母を見つけ出すこと。
(最近コンさんに会ってないから、近況報告とか……おばあちゃんの情報の進捗とか、聞く為なら連絡してもいいかな……?)
そうもじもじ考えていると、電話が鳴った。まさか、和戸村からだったりしないだろうか!?
ドキドキしつつ若芽が電話に出れば、今度は憔悴した様子の男性の声が聞こえてきた。和戸村ではなかった……。残念さは押し隠し、話を聞いてみる。
(また殆ど同じだ……)
内容は概ね、事件の発端の女性の話と変わりなかった。
もう一人の自分が現れ、「寂しい」と呟き武器を振りかざし――そして忽然と消えてしまう。
(ここまで同じ状況なんだから、何か絶対に意図がある筈。何か、繋がりがきっと……)
男性からの電話を切り、若芽は自分と被害者たちの共通点を探すことにした。
◆資料室
若芽が資料室に向かうと、そこには先客がいた。四方田班の一人、相馬サラだ。
「相馬さん、こんにちは。調べものですか?」
「あ……暖地さん、こんにちは……」
「あれ……元気が無さそうですね……? 何かありましたか?」
いつもの相馬であれば「暖地さん、こんにちは!」と満面の笑みを見せてくれる。元気な彼女にしては、あまりにも覇気がない。顔色も悪いようだ。……具合でも損ねているのだろうか? 若芽が心配して声を掛けると、相馬はおずおずと話し出す。何となく、誰かに話したくて仕方なかった様子だ。
「実は……その……あたし、見ちゃったんです……ドッペルゲンガー!」
「えっ!? 相馬さんもですか?」
「と、いうことは、暖地さんも?」
効果音が多い相馬の話だったが、被害者たちや若芽が遭遇した出来事とほぼ同じだった。身近に同じ経験をしているひとがいたとは……。
「怖かったでしょう」
「そーなんですよ、ほんと怖くって!」
「お怪我は?」
「大丈夫です、ビックリしただけで……でも、何か嫌な感じがしますよね」
「そうなんです……だからわたしも調べてまして。相馬さんも?」
「はい。似たような事件ってなかったのかなと思って調べてみたら……見てください、これ!」
相馬は一冊のファイルを若芽に手渡す。
何の変哲のない、ただのファイルだ。
中には何枚か資料が挟まっている。
「これは……被害者の方達のものですね」
中を見てみると、誰がまとめたのか、被害者たちのプロフィールや経歴などがまとめられていた。
目を通すと、発端の女性も、先程連絡をした男性も、家族を亡くしている。
(……さっき連絡が来たばかりなのに、もうまとめてあるなんて、一体どういう事だろう……?)
探偵課に相談してくる前に、他の課に連絡していたのだろうか?
そもそも、この資料室に情報があるということは、過去に警察に世話になったことがあるのだろうか、など考えて次のページを捲る。
そこに挟まれていたのは、若芽のことだった。
「えっ……?」
若芽のこれまでの経歴などが事細かに書かれている。
祖母が行方不明になり、両親を亡くし、桜雅街へ来たこと。現在は四方田の家に居候していることなどだ。
特に隠している事でも無かったが、誰かに聞き取りをされた覚えはない。そんなプライベートな部分がまとめられいるのは、何となく、うすら寒いような怖さを感じる。
(あれ、相馬さんのページも……雷蔵おじさんのも……!)
四方田のページで、ファイルは終わっていた。
つい相馬と四方田のページにも目を通してしまったが、このファイルに載っている人物全員が、「家族を亡くしている」という共通点があった。
相馬は父親を事故で、母親は病死とある。
「相馬さんもだったんですね……」
「え、えへへ……実は。隠してたわけじゃないんですけど、あたしたち、ちょっとワケありの過去を持ってるってことですよね」
「そうなりますね……相馬さんも辛かったでしょう」
「いえ、あたしはお姉ちゃんがいたから……勿論、辛くない訳じゃなかったですけど。暖地さんも大変でしたね……」
「最初はどうしていいか……でも、雷蔵おじ……じゃなかった、四方田班長が手を差し伸べてくれたので……」
四方田から直接話を聞いた訳ではなかった。四方田の妻子は家出してしまって、遠くにいるのだと思いたかった、というのもある。けれど、ファイルには「悪魔に取りつかれた津西進によって、妻子が殺された」と書いてあった。
(津西さん……雷蔵おじさん……)
恐らく、このファイルの情報は正しいのだろう。
まさかあの津西が、とは思ってしまった。悪魔に取り憑かれていたのなら、仕方ない……とは、簡単には言いにくい。
四方田が知らぬ筈はない。津西との仲は特に変わりはないようだった。
けれど。
どれほどの苦悩を、四方田は抱えていたのだろう……。気付けなかった若芽は、胸が苦しくなったし、今にも泣きそうだ。けれど仕事中なのだから、と慌てて目を擦る。
(今は……この事件に集中しよう。……そのあと、雷蔵おじさんといっぱい話そう……)
今朝の四方田の様子のおかしさは、彼も既にドッペルゲンガーを見てしまっているのではないかと思い当たる。
既に時遅しだったか、と若芽が思い悩んでいると、相馬は小首を傾げた。
「っていうか、この資料……一体誰がまとめたんでしょうか」
「あ……わたしも不思議だったんです。先程連絡が来た男性の情報もまとまっていて……責任者の名前は……無いですね」
「書き忘れですかね?」
「いえ……恐らく、このファイル自体がメッセージなんだと思います。犯人が用意したものかと」
ここに資料を用意出来るともなれば、警視庁内の人間なのだろうか? あまり身内を疑いたくないけれど……因果な仕事である。相馬は目を丸くして頷いた。
「なるほど……! じゃあ、このファイル、暖地さんが持っていてください! 後でなにかの役に立つかも」
「そうですね、わたしが預かっておきます」
「そろそろあたしは戻っ……うわっ!」
「ひゃっ!」
若芽と相馬の無線から、四方田からの号令がかかった。
「探偵課、ヒーロー課、四方田班の合同で、ドッペルゲンガー事件について追うことになった。今から捜査会議を始める、会議室に集まってくれ」
「了解しました!」
「直ちに向かいますっ」
(三課またいでの合同捜査なんて……この事件、大掛かりな事になっているのかも……!)
恐らく大半の人間は、『家族を亡くしている』。
亡くしていないのは、産まれたばかりの赤ちゃんくらいだろう。その命だって、すぐに別れを経験するかもしれない。
ひとはいずれ、遅かれ早かれ死ぬからだ。
そうなると、被害者になる可能性のある人間は……ほぼ全国民、少なくとも桜雅街に暮らす人々全員、になるかもしれない。
(一刻も早く、解決しなくちゃ……!)
若芽は犯人からのメッセージと思われるファイルを強く抱きしめ、相馬と会議室に向かったのだった。
▶好感度
🎲4+2=6up 相馬好感度36%
過去にワケあり仲間になれた! いや喜べる事でも無いんですけど……親近感覚えてくれたらいいな……!
▶桜の欠片
🎲1+2=3枚 201→204枚
四方田さんの妻子の亡くなり方については明確には書いてないんですけど、さらたまfile2の件はワカちゃんには知っておいて欲しかったので……。
勿論ワカちゃんの津西さんへの対応は変わらないけれど、雷蔵おじさん;;;;;;;となっています、PL共に……
さてさて、心配性なので大事に考えてますけど、一体どうなる……!?
それはそれとして、BIGLOVEヒーロー課とBIGLOVE四方田班と一緒に合同捜査やったー! の気持ちもあります……心が二つある……。
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