2026.08.01
▶メインストーリー 第二章 第六話
桜の欠片 225枚 OK
孤独が故の
◆会議室
若芽がドッペルゲンガーに再び出会ったことで検知された異能力を元に、蛇目がデータを解析していた。程なく、蛇目がタン、とエンターキーを押す音が響く。
「見つかったよ」
データでは、影原伊角という80歳の女性が出てきたようだ。現在の彼女は大病を患い、桜雅病院に入院しているらしい。桜雅病院に連絡を入れると、彼女の情報を聞き出すことが出来たようだ。
「5年前に旦那さんを亡くしていて、身寄りもいないそうです。入院してからは一度も笑顔を見せた事がなく、時折『寂しい』と呟いているのを何度か聞いているとか」
相馬がメモを頼りに報告をする。
「ドッペルゲンガーの『寂しい』は、影原さんの心のメッセージではないでしょうか……?」
状況証拠がほぼ揃った。動機としては申し分ない気がする。自らの意思で行っているのか、それとも無意識なのかは判別がつかないが……ただ、自分の苦しさを誰かに知って欲しかったのかもしれない。
津西が頷く。
「そう考えるのが自然だな……」
「とはいえ、どうするべきかわからないな」
「そうですよね……」
四方田が口元に手をあてながら唸る。お見舞いに行ったとて、赤の他人に来られても寂しさは埋まらない気もする。うーん、と若芽も同じく唸っていると、相馬がビシっと人差し指を立てた。
「寂しいなら、答えは一つです!」
「え? どういうこと?」
蛇目が小首を傾げる。相馬は話を続けた。
「寂しいなら、寂しい気持ちを肯定するんです」
「肯定……認めてあげるんですね」
「この寂しさをわかってくれるひとがいないから、きっと同じように寂しいひとを探してるんじゃないかなって」
だから、家族を亡くした経験を持つ人物のドッペルゲンガーを異能力で出している、のだろうか?
蛇目は半信半疑といった様子で呟く。
「気持ちを肯定か……、それでなんとかなるのかな」
「わかりません! 寂しさの形はひとそれぞれですから」
相馬はあっけらかんと言い切った。確かにその通りである。
「でも、その寂しいって思う気持ちは間違ってないって伝えるだけで、なにかが変わるかもしれない」
「そう、ですね……これまでは驚くばかりで何も出来なかったですし」
「2回会っても死ななかったんです! これでダメなら、4回目に違うことをしましょう!」
前向きかつ、現状を打破しようとする明るく言う相馬。倒すのではなく、手を取るという温かい解決方法で何とかなるなら、それに越した事はない。
この明るさには、四方田班の皆も助けられているような気がするな、と若芽は思った。
「同じ気持ちのひとがここにもいると分かれば、少しは寂しさも紛れるかもしれませんもんね」
「……そうだな、やってみよう。自分の気持ちを認められる、いい機会になるかもしれないしな」
(雷蔵おじさん……)
四方田も頷いた。最後の自分に言い聞かせるようなその言葉に、また胸が痛む若芽なのだった。
▶桜の欠片
🎲6+2=8枚 225→233枚
犯人……と言うほどの被害は出てないけれども、おばあちゃん……;;うさぎさんリンゴとかいります!?
これで解決出来るといいな……今回は誰も悪くなさそうだし……。
でもそうなると、あのファイルは誰がまとめたんだろう? という謎もあり、気になる次回……!
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狗の隠れ家