榎本征四郎 第一話



2026.08.02
▶キャラクターストーリー 榎本征四郎 第一話
好感度25% OK

◆商店街

(買い忘れは……なし!)

 買い物を終えた若芽は商店街を歩いていた。賑やかな商店街は、他の場所とは違う空気を感じる。活気がある場所に来ると、元気をもらえるような気がして、若芽はちょくちょくこの商店街を訪れていた。

「うわーーーっ! 惜しーーーっ!」

(……あれ、この声って……)

 殊更賑やかな声が聞こえてきた。何となく聞き覚えがある気がして、その店へ目を向ける。色んな音がするゲームセンターだ。

「榎本さん……?」

 UFOキャッチャーの前で、ヒーロー課の医療担当、榎本がぬいぐるみを取るのに苦戦していた。なんともかわいくない見た目のゆるキャラっぽいぬいぐるみだ。

「もうお金ないな〜……あと一回!!」

(うーん、これが榎本さんを夢中にさせているのかな……何となく味わいがあるような、ないような……)

「あっ、暖地ちゃん!」

 どこを狙うべきかと、UFOキャッチャーをあちらこちらから見ていた榎本が、不意に若芽に気付いて振り返った。

「こんにちは、榎本さん。苦戦してますね?」
「そうなんだよ〜! 暖地ちゃんって、UFOキャッチャー得意?」
「えぇと……あまりそういう遊びをした事がなくて……多分、苦手な方かもしれません」

 若芽が正直に告げると、榎本はそっか〜と頷いた。

「俺、UFOキャッチャー好きなんだけど、なかなか上手くいかなくてさ。もう全然こいつ取れないの! 暖地ちゃん、ちょっと代わってくれない?」
「えぇ? わたしも取れないかもしれませんよ……?」
「いいからいいから! 遊んだことないなら、試しに遊んでみてよ! 小銭は出すからさ!」
「お金無いって言ってませんでした……? わたし、出しますよ」
「いやいや、ここは奢らせて欲しい」
(奢り……とは違うような?)

 そう思わないでも無かったが、ここで女の子にお金を出させるのは男が廃る、みたいな事も言い出したので、お言葉に甘えて硬貨を受け取る。スロットに滑り込ませると、ピカピカとUFOキャッチャーが光り、喋りだした。

『1番のボタンは右に動くよ! 次に2番のボタンを押すと後ろに動くよ! 狙いを定めて、景品をゲットしよ〜!』
「なるほど……位置調整をするゲームなんですね」
「凄い、真面目な話みたい……まぁそういうこと! どこを狙うかも重要でね……あっ、時間制限もあるから気を付けて!」
「えぇ!? 吟味したかったのに!?」

 若芽は慌ててボタンを押す。あっ、どうしよう、もうちょっと右だったかも!?

「いや、逆にいいかもしんない! 重心をずらせば……」
「えっと……この……あたり……?」
「そう、そこ、いい感じ!」

 榎本の応援を受けながらも、半ば勘でボタンを止める。ゆっくりとアームが降りていき、そして……。



判定 ! 🎲2 ギリ成功!


「あ……嗚呼……!」

 アームに手足が上手く引っかかり、ユラユラと揺れながら、ぬいぐるみは運ばれ……そしてガコン、と落とされた。

「え!? 取れちゃった!!」
「こ、これで大丈夫でした?」
「うん、暖地ちゃんすご〜い! UFOキャッチャーの天才じゃん!」
「いえいえ……榎本さんのアドバイスのお陰だと思います」

 榎本がニッコニコの笑顔でぬいぐるみを取り出すと、「やっと迎えられた〜!」とぎゅーっと抱きしめた。何となく、尻尾をぶんぶんと振っている大型犬を見守っているような心地になった。榎本が喜んでくれたなら良かった、と若芽も笑顔になる。
 暫くぬいぐるみを抱きしめたり撫でたりしていた榎本は、ハッと我に返った。ごそごそとポケットを探りだす。

「なんかお礼しなきゃ〜……、あっ、これあげる!」

 そう言って、榎本は若芽にキーホルダーを差し出した。
 偶然にも、それは若芽の瞳の色と同じ……橙に近い色をしたミニキャラクターだ。

「そんな大した事はしていないんですが……良いんですか?」
「良いよ、よければ貰って〜。遊んでたときに取れたやつなんだけど、暖地ちゃんっぽい色だな〜と思ってさ」
(わ……! な、何だか恥ずかしい……!)

 さらりととんでもない事を言う。本人にはその気が無いのだろうから、天性のものだろうか。

(榎本さん、無邪気だからって油断してると、こういう殺し文句みたいなの飛び出してくるんだよなぁ……恐ろしいひと……!)

 勿論、若芽には和戸村という想い人がいるので靡いたりはしないのだけれど。人懐こさの中に、言い方は悪いが、人たらしめいた所もあるひとだなと思っている。
 若芽がやや失礼なことを考えているとも知らずに、榎本は満面の笑みで若芽を見ている。

「えぇと、ありがとうございます。早速鍵に付けちゃおうと思います」
「うんうん。今日はとても満足です!」
「ふふ、良かった」
「じゃ、また遊ぼ! ばいばい!」
「はい、さようなら。気を付けて」

 榎本はブンブンと手を振って去っていく。やはり、大型犬が目に浮かぶ若芽なのだった。

 

▶桜の欠片
🎲4+2=6枚 251→257枚



榎本くんさん、可愛いなぁ……と油断してると思わぬところから刺されそう(癖的な意味で)です。
ワカちゃんは宝石のような瞳をしているので(キャラデザ診断結果)、キラキラそうですね。
四方田邸の鍵につけよう!





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