※刑事探偵黙示録 時空
※自PC、津西さんキャラスト後あたり
※BLあり(コメディ寄り)
若芽がヒーロー課を訪れた時のこと。
中では話が盛り上がっていた。好き嫌いの話になっているようだ。何となく入りづらく、話が収まるのを部屋の外で待っていると。
「うーん、ワカメが苦手かな」
(つ、津西さんの声……!)
そんな、苦手意識を持たれていたなんて……!と若芽はショックを受ける。何か津西の心象を悪くしてしまうような行いや言動をいつの間にかしてしまっていたのだろうか……今までの津西は普通だったように感じたし、思い当たる節は無かったが、とはいえ、苦手だと感じさせてしまっているのであれば、悲しいけれどあまり話しかけない方が良いだろう。
(四方田さんのお話とか、お聞きしたかったんだけどな……)
シュン、としつつ、ヒーロー課の扉をノックし、ササッと用事を済ませる事にした。
「あら! 暖地ちゃん、いらっしゃい」
「よぉ、暖地」
「どうしたの、何か用事?」
まず明るく出迎えてくれるのは冴木と志木川。そして蛇目が首を傾げて話しかけてくる。
「こんにちは、皆さん。えっと、四方田班長から、つ、津西さんにお届け物を……」
「あぁ、悪いなわざわざ……おっと」
津西にファイルを渡す時、動揺を抑えきれずに少しばかり手元が狂った。挟まっていた資料が落ちかけるが、津西が何とかキャッチする。
「あぁあ、すみませんすみません……! し、失礼しますっ」
スマートに渡したかったのに、これでは更に苦手に思われてしまうかも! やや半泣きになりつつ、若芽は逃げるようにヒーロー課を後にした。
「あんなに謝らずとも良かったのに……行ってしまったな」
「……暖地、様子がおかしかったですね」
静かに二人のやり取りを観察していた犬神が呟く。いつもの若芽ならたとえ忙しくても、ヒーロー課の面々と一言二言話したり、皆の体調を気遣ったりしてから出ていくというのに。
「……何だか、津西さんを避けてなかったかしら?」
「え?」
「うん、目が泳いでた」
冴木の発言に、志木川も同意する。そんな筈は……と動揺する津西に、蛇目が謎のポーズで津西をビシッと指さす。
「もしかして……ハラスメント!?」
「え!? 2人きりになって肩を叩くくらいでもNGか!?」
「やだ、2人きりになったのね!?」
「事案じゃん」
「え!?!? 俺が屋上でのんびりしてたら暖地が来ただけの感じなのに!?」
「……少し、外に出てきます」
「犬神!?」
何か思い当たる様子で、犬神が外に出ていく。その大きな背中を、津西が慌てて追いかけて行った。
「大丈夫かしら」
「分かんね」
「……まぁ、多分すれ違いだと思うけどね」
一番場を掻き回していた蛇目が、冷静にそう言うので、残された冴木と志木川はそうであれと頷くばかりであった。
❀ ❀ ❀
「はぁ……」
一方、ヒーロー課を飛び出してきた若芽は、自販機の前で反省会中だった。
(ヒーロー課の他の皆さんにも変な態度取っちゃった……自然な対応が出来るようにならないとなぁ……)
カフェオレでも飲もう、とポケットを探ったが、元々届け物だけの予定だったので財布を忘れていることに今更気づく。
(うぅ、こういうどんくさい所が苦手に思われているのかも……津西さん、仕事出来そうな方だもんね……)
「暖地」
「ひゃ!」
突然声を掛けられて、肩をビクつかせながら振り向くと、犬神がいつの間にか立っていた。申し訳なさそうに眉を下げる。
「……すまない、驚かせた」
「い、いえ……犬神さんは何か買われますか? すみません、退きますね」
「いや。……暖地は何にする」
「えっと?」
「財布を持ってきてないのだろう」
「お見通しでしたか……次の機会にはお返ししますね……」
「良い、奢ろう」
犬神が丁寧な手つきで自販機に硬貨を入れる。恐る恐るボタンを押して、ガコン、と出てきたカフェオレを有難く取り出した。
「ありがとうございます。……先程はすみません、ろくな挨拶もせず」
「……いや。もしかしたら、暖地は勘違いしているかもしれない……と思ってな」
「勘違い……?」
「さっきは、好き嫌いの話をしていたんだ。食べ物の」
「あ……盛り上がってたのはその話題だったんですね」
話すのが苦手な犬神は、ゆっくりながら少しずつ話を続ける。話の流れが分からないながらも、若芽は相槌を打つ。
「津西さんの好きな物は、だし巻き卵だ。苦手なものは……強いて言うなら、ワカメだ」
「え……あっ!?」
漸く、合点がいった。
津西が苦手なのは、若芽ではなく、海藻の「ワカメ」の方だったのだ。
たまにそれでからかわれたりもするのに、全然思い当たらなかった。
「そもそも、津西さんはいつもお前のことを『暖地』と呼んでいるだろう」
「はっ! そうでしたっ」
言われてみれば、である。とんでもない恥ずかしい勘違いと、失礼な態度を取ってしまったと、若芽は赤くなったり青くなったり忙しい。
「じゃ、じゃあ……私、嫌われてはないんですね……!?」
「嗚呼。津西さんは……暖地の事は好きだと思う」
津西をよく知る犬神は、安心させるように断言する。犬神としても、津西を誤解されたままなのは嫌だったのだ。それを聞いて若芽は良かったあ、と脱力する。
そこに。
「いや、俺が好きなのは犬神だが!?」
「津西さん……!?」
「あっ、えっと、その……!?」
犬神の後を追いかけてきた津西が慌てたように乱入してきて、またひと騒動起きたのだった。
勘違いに次ぐ勘違い
人の話はよく聞こう!
(お二人って……)
(うん。付き合ってるし同棲もしてる)
(わぁ……素敵ですね! 全然気づかなかったです……! )
(一応、秘密にはしておいてくれ……)
(はい。だからあの時の敵の姿が、津西さんだったんですね)
(何の話だ?)
(秘密です……)
(ふふふ)
自PCワカちゃんならではの話だったのでSSに。
何となく津西さんはオープン(普通に話すし聞かれたら答える)、犬神さんはクローズ(余程自分からは話さない)な感じかなと思っています。全然違うかもしれない。
あの時の敵〜は、けいもく2日目くらいに犬神さんに同行してもらった時、1T目の攻撃がワカちゃんも犬神さんもファンブル→お互い戦いづらそうだな→自分にとって大事な相手(ワカちゃんはコンさん、犬神さんは津西さん)に見える技を使ってくる敵にしよう! という時の事です。
ワカちゃんもなかなか報われにくそうな恋する側なので、二人を偏見なく応援しています。
むしろ馴れ初めとかを聞きたい…けど聞けない、みたいな感じかも。
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