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チュンチュン
雲一つない晴天の朝。
結城家では、朝から威勢のいい怒号が鳴り響いている。
「瑛舞 !いい加減起きなさい!何時だとおもってるの?!」
ドスドスと階段を登ってくる音がいやに大きく聞こえる。
もうそんな時間かと腕を伸ばして時計をのぞき込む。
「え・・・?遅刻だぁ!」
今日は朝礼がある日だ。
どうしてこんな日に寝坊してしまったのだろうと、うんざりしながら家中を駆け回る。
そして、こんな日に限って探しているものは見つからない。
「まま〜!私の制服どこぉ〜」
「また、あんたがどこにでも投げているから見つからないんでしょ!」
どうやら母の説教が始まりそうである。
いっそ学校を休んでしまえばどんなに楽であろうか。
しかし、そんなことが簡単に許される家庭ではなく、仮病でずる休みをしたなんてことがあればどんなめにあわされるものか。
「よしっ、行ってきます。」
「こら、瑛舞!朝ご飯は?」
「いらない!!」
そんなにのんびりしている時間はない。
瑛舞の返事に続いて今日初の父の声がした。
「瑛舞、ちゃんと あれ は持ったのか?」
「もちろん」
あれ とは、結城家に古くから受け継がれている書物のことだ。
訳あって瑛舞が肌身離さず持っていなければならない。