緑谷vs心操


『ヘイガイズアァユゥレディ!?色々やってきましたが!結局これだぜガチンコ勝負!頼れるのは己のみ!ヒーローでなくともそんな場面ばっかりだ!わかるよな!心・技・体に知恵知識!総動員して駆け上がれ!!』


レクリエーションも終わってようやくチア服を脱げた。体操服に着替えてタンクの水量もチェックした。私の試合はまだだから、応援席へと座った。お茶子と飯田くんに挟まれて、セメントス先生が作ったステージへと視線を注いだ。

まだ誰も足を踏み入れていないそこへ、出久が現れる。相手は心操くんというらしい。そんな名前だったのか。尾白くん情報によれば、返事をしたら個性発動となって動きを止められるらしい。思考することも出来ないそうだ。

だから、入試のときあんな表情だったんだ。しゃべらないロボ相手では、個性が使えない。


『ルールは簡単!相手を場外に落とすか、行動不能にする。あとは「まいった」とか言わせても勝ちのガチンコだ!ケガ上等!こちとら我らがリカバリーガールが待機してっから!道徳倫理は一旦捨ておけ!』


いたってシンプルなルール。もちろん命に関わるような攻撃は出来ないから、そこだけは守らなくてはいけない。

出久の突如として現れた個性は非常に強い。まだ制御がほとんど出来ないらしいのに、どう戦うんだろうか。あんな力で殴れば、相手は死んでしまう。

みんなが見守る中、マイク先生のスタートの掛け声とともに駆け出した出久だったが、すぐにその足は止まってしまった。

恐らく心操くんの個性にやられたんだろう。これではもう勝ち目はないだろう。ステージから視線をそらして、自分の試合のシミュレーションを始める。

常闇くんならば、得意の水中ヘルメットで十分戦えると思う。ただ、指示がなくても意思をもって動く個性、黒影さえ攻略できればの話だが。

逆に八百万さん相手だと、水中ヘルメットはあまり効果がない気がする。なんでも作れてしまう彼女ならば、シュノーケルとか、そういうのを作ってしまいそうだ。

ぐるぐると作戦を立てていれば、突然の爆発音に驚いて顔をあげれば、場外ぎりぎりのラインで出久が立ち止まっている。


「え、なにがあったの……!?」


「デクくんがギリギリのところで個性使って踏みとどまった……!」


お茶子が手に汗握って教えてくれた。予想外の展開にまた、意識をステージに向ける。心操くんは焦っているのか、出久をまくし立てる。

けれど、出久はなにも答えない。もう彼の個性にかかるつもりはないのだろう。そのまま押し出しを狙って心操くんを力任せに押していく。

直前で心操くんは体を反転させたけど、攻撃の仕方が悪かった。伸ばした腕を掴まれて、いつか勝己にお見舞いした背負い投げでそのまま場外へと心操くんを追いやった。

あとでどうやって心操くんの個性を解いたのか教えてもらおう。いつか、彼のような個性とあいまみえる日が来るかもしれない。

第二回戦に進出を決めたのは、出久だった。

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