2022/02/12

Untitled

風邪ひき主と看病ひゅー

↓激短
連日の夜更かしが祟り、ついに体を壊してしまった。とは言え講義はあるし仕事もある。マヌエラに頼んで活力剤を作ってもらって何とか1日を凌いだものの、早く寝なければ酷くなる気がする。…と、言う時にハンネマンと食堂で出会って今日見つけた珍しい紋章について長々語られてしまった。怠さと頭痛で食欲もなくなり、あの仕事があるので…、と彼を制して学食を後にする。この数十分でかなり悪化したらしい、体が重くて階段を登るのもゆっくりになった。額に触れれば熱く、頭痛がひどくなる。

「やはり具合が悪いのですか?」

その声が聞けて嬉しい。婚約者のヒューベルトに声をかけられれば親に出会った子供のように気持ちが安心から弱り、彼に手を伸ばしてしまう。

「だから言ったでしょう。夜更かしはほどほどにしないと、と。動かずに。私が部屋まで運びます。」

意外と面倒見のいいヒューベルトに背負われて安心する。ナイスタイミングと言うと、朝見かけた時から顔色がおかしかったことや、マヌエラから薬を貰ったことを知り、察したと。
私は彼に謝ると怠さから、部屋に着くまでのほんの少しの時間でも寝ていた。

◆ ◆

目を覚ますとヒューベルトの部屋のベッドで寝ていた。額には濡れタオルがかけられており、服は部屋着に着替えられていた。布団をしっかり被せられ、病人モードだった。もぞもぞしていると、机に向かっていたヒューベルトが顔を上げる。

「ヒューベルト…ごめん。」
「起きましたか。薬を飲んでください。マヌエラ先生からもらってきました。」
「ありがとう…。」

怠くて一人で起きられず、ヒューベルトに背中を支えてもらう。水を手渡され口に含めて丸薬を受け取ろうとすると、それはヒューベルトの口の中に入っていく。え?と思ったら二人の唇は重なっていた。

(口移しなんて…ヒューベルトがそんなことを。)

意外なことに目を細めて受け入れ、薬をもらう。飲み込んだ後に頬を赤くすると、彼は目を細めて笑う。そして、まるで赤ん坊を抱いて支えるような優しさで、座っている私を支えてくれる。見下ろす眼差しはとても穏やかだから無性に甘えたくなった。

「ヒュー…。」
「くく…。流石に今夜は襲いませんよ。」
「でも、一緒に寝たい…。」
「それは勿論。ただ、一つ書類を書かねばなりません。貴殿が溜めた明日締め切りの物ですから、何としてもやらねばなりません。」
「ああ、ごめん…。」
「ご心配なく。治ったらしっかり褒美をいただくとしましょう。…すぐに隣に向かいますから先に寝ていてください。今日の貴殿の仕事は休んで体を回復することです。」
「うん。早く来てね?」
「…ッ…、はぁ。参りましたね。」

素直に甘えると照れた彼は目を逸らした。私はもっと彼と話したかったけど、やはり不調から眠気に抗えず再び深い眠りに落ちてしまった。


end



 
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