2022/12/11

Untitled

ヒュー 風邪引く

ヒューベルトのばか、…ばかばかっ。

ヒューベルトは#主#に抱かれながら、倦怠感で動けない体を笑った。雪の中、出張中の#主#を出迎えようと外に待っていたのだが、#主#は雪道を馬が走れずに倍の時間をかけて帰宅した。その間ヒューベルトは屋敷に戻ることもせずに立って待っており、その結果当然ながら発熱した。

我ながら馬鹿ですな。

吹雪の中、足の感覚も無くなるくらい外の寒さは異常だったが、自分の頭の方が異常だった。7日も会えない恋人に会いたくて、どれほど遅くなっても目をこらして外で待っていたのだ。窓の外から外を伺っていればよかったが、待ち望んでいた姿を見せたかった。そうしたら、彼女は喜んで駆け寄ってくれると分かっていたから。しかし、実際は心配して駆け寄ってくれた。蒼白な顔で震えを堪える恋人に何があったのかと心底驚いた顔で。

暖炉の火と恋人に抱きしめられた体は暖かいが寒気がそれをかき消してしまう。薬を飲んだが即効性がないらしい。熱いような寒いような気持ちの悪い感覚に耐えながら、やっと会えた恋人の顔を見つめる。

私は絶対に帰るから、今度は中で待ってるんだよ?
そうしましょう。これ以上情けない姿はさらけ出せませんのでな。

眉をかすかに垂れたヒューベルトの頭を撫でる#主#は彼の額にキスをしながら困ったように笑う。まるで、こんな姿の恋人もたまにはいいというような目。つくづく自分は甘やかされていると思う。その甘さが心地よくてつい愚かなことをしてしまう。それでも彼女はそんな自分を愛でるのだから、お互い困ったものだった。



 
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