嫉妬も恋人の役目だが


ハンジさんに肩を掴まれて絡まれていたら突然ハンジさんが「あいたー!」と叫んでお尻を押さえる。

「いったいじゃないかぁ!リヴァイ!」
「どけ、クソメガネ。誰の許可を得て●にベタベタと触ってやがる。汚れる。手を退けろ。さもないともう一発…「待って待って!暴力はダメ!」
「そうだよ〜、言ってやってよ、●!」
「あァ?黙ってろ、クソメガネ。」

ハンジさんの後ろにいて見えなかったリヴァイが不機嫌そうに片足を浮かせていつでも蹴られる構えをするので私が止めた。

「ハハッ。君の取り合いでいつも喧嘩になるな。」
「あ、団長!助けてください、2人がまた喧嘩を…。」
「私が言うよりも君が言った方が早い。」

たまたま階段から上がってきた団長が私たちを見て楽しそうに笑う。困った私が団長に近づいて助けて欲しいと頼むと彼の目線は下に向かう。その目線を追うと私は無意識に彼の手を握っていた。

「あっ、すみません、握ってしまって!」
「いや、構わない。君になら。」
「エルヴィンに構うな、●。」

ぐいーっとリヴァイに引っ張られるので団長から手を離す私。

「●!こんな独占欲むき出しのリヴァイの何がいいのぉ?リヴァイのせいで私たちと話せなくなったらつまらないでしょ〜?」
「お前は巨人と会話していろ。●は俺の女だ。…分かったな?」

鋭い目で団長にも目を向けるリヴァイは私の手を引いて自室へ向かう。ツカツカ歩くリヴァイは不機嫌だった。

「リヴァイ、怒んないで。」
「お前に媚を売る奴等に寛容でいろ、だと?だいたい、何故お前はハンジにベタベタ触られて平気でいた?何故嫌がらない。…だいたいお前は、」

文句からお説教に。彼の部屋であれこれ文句と指摘を受け、ごめんなさい、と言うが、言ったところで彼に効果はない。言葉よりも態度で示せと言われ、いつものように愛し合うことで許された。


ーーーー

「リヴァイとうまくいっているようだな。」
「あ、ええ、今のところは…ふふ。」
「今のところは?破局する可能性があるのか?」
「ああ、いえ、特にないかと。」

団長に書類の整理をして欲しいと頼まれて団長室にいたら、他愛のない話からリヴァイとの話になった。

「君が幸せならそれでいいが、何か不満があるのなら私が話を聞こう。」
「ありがとうございます…。特にないんですが…まあ、その、少し嫉妬しやすいのかなって。」
「そのようだな。私やハンジにも君のことになると本気で警戒をするからな。」
「ええ、昨日もですがハンジさんを蹴っちゃうし…困ります。」
「私なら耐える。」
「え?」
「君を困らせずに君を愛そうと試みる。」
「だ、団長っ?」
「……。」

椅子に座っていた団長が立ち上がって私の前に来ると頰に手を添えてきた。綺麗な青い目が挑戦的に輝き、据わった目で想いを口にした。

「リヴァイに先手を打たれたが、俺は君を諦めてはいない。今のように隙があるのなら君を落とす気でいる。」
「なっ、だ、だめです、私にはリヴァイが。」
「ああ、だから無理に奪う気はない。自然な流れで手繰り寄せられたらと、」

ー バーーーンッ!!

団長室のドアが蹴破られる。私はビクッと驚き、反射的に団長に寄ると団長が私を守るように抱きしめる。

「●、お前が飛び込む相手はこの俺だ。」
「リヴァイ、もっと静かにドアを開けられないのか?」
「エルヴィン、いつまで●を抱いてやがる。その腕を削がれてぇのか。」

怒りマックスのリヴァイを見て慌てて団長から離れる。
…ああ、もう。連日こういうことばかり。
団長は冷静に謝罪するけどリヴァイの怒りや不満は収まらない。私を抱き寄せるとツカツカと歩き出す。

「リヴァイ…ごめん、」
「……ハァ。」
「リヴァイ、ねぇ。」
「もういい。お前には言葉ではなく教訓が必要だ。」

怒った時のリヴァイの行為は激しくて飛んじゃう。でも、私のせいでもあるから意を決して受けることにした。


ーーーー

●は人気な女だ。人当たりがいいし実力もある。落ち着いていて親しみやすい。だから、付き合った後も嫉妬が絶えないのは覚悟していた。

特にエルヴィンとハンジだ。
あいつらは俺たちが付き合ったからと言って遠慮するとは思えねぇ。
エルヴィンなんて何を考えているのか。どんな手段でも使う男だ。こんな時は厄介な相手だ。
ハンジは猪突猛進だ。気になったものには遠慮なく飛び込み掴み取る。
つまり、この2人にはずっと警戒していた。

「どうしたらお前は俺だけを見る。」

そう聞けば「見てるよ」とはっきり言う。それを信じたいが、他の奴らに対する警戒心が薄く、触られても気にせず、押されたら困るがはっきり拒みはしない●を信用ならない。

「嫉妬で壊れそうだ。なんとかしろ。」
「リヴァイ…。本当に私を自分のものにしたい?」
「あぁ?当たり前だ。何だ急に。」
「なら、手段はあるよ?」

●は左手を軽く振る。目に留まったのは薬指。

「フッ。そうだったな。お前がいいのなら俺は望むところだ。流石に結婚しちまえばメガネは弁えるだろう。だが、エルヴィンだけはこれからも注意しておけ。あいつの頭は何でもありだ。」

とは言え嬉しかった。こいつは俺のものだとはっきりと証明出来る。●もいいと言うのなら…。

「よし、三ヶ月待て。お前が気に入った指輪を買ってやる。その間、ほかの奴らに誘惑されるなよ。」
「もちろん!ふふ!」

なんだよ。結構喜んでるじゃねぇか。そんな顔をされるとさっきまで怒っていたことを忘れそうになる。
俺は●の手を握り、約束として薬指に唇を落とした。


end


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