乙女ゲームの選択場面


「おーぅ、待ってたぜ●ちゃん。暇なんだろ?だったら付き合えよ。奢ってやるから。」
「ちょお、待てや。●ちゃん、そんなオッサンよりわしと過ごさんか?…ほれ、佐川はひっこんどれ。」
「おいおい、お前ちょっと前まで1人の娘に熱をあげてたのにもう別の女に手を出してんのか?浮気者だなぁ。」
「あぁん?あいつはそんなんやない。あいつはわしらが勝手に裏社会に引き摺り込んだんや。あいつがもう一度まともな人生歩めるように最後まで面倒見なあかんかったのは当たり前や。」
「物はいいようだよなぁ?」


▼休日、アパートを出て数歩歩いただけで佐川、真島から声をかけられた。●を狙う男たちは今日もピリピリした雰囲気を放っており、●が割り込む隙はない。
すると、そこへ大型の車が現れ、立華鉄が降りてきた。


「●さん、お久しぶりです。今日はお休みのようですね。一緒に過ごしませんか?」
「た、立華…何でお前がここにおるんや?」
「真島さん。ご無沙汰してます。先日は妹が大変お世話になりました。今は視力が戻ってとても元気に過ごしています。貴方の希望で貴方が恩人だということは伏せているのが歯がゆいですか…。」
「それでええ。あいつが幸せならええ。」
「なぁ、立華。お前がさっきから踏んでる足、誰のか分かる?」
「あの時は断られましたが、お礼の額を受け取る気になったらいつでもおっしゃってください。」
「いらんで、そんなもん。そんな金あるんやったらマコトに使ったらええ。…寧ろ、わしに感謝しとるんやったら今日のところは●ちゃん諦めてわしに譲れや。」
「それとこれとは別件です。」
「あぁん?」
「おい、お前さ、そろそろ足退けろよ。今度こそ殺されたい?」

▼佐川に対して無表情で陰湿な嫌がらせをする立華も●を狙っていた。この日のために徹夜をして事務処理をしたのだから、ヤクザ2人に睨まれた程度で引く気はない。佐川を一瞥すると●に向き合った。

「今の台詞を聞きましたか?佐川組長は一見柔和に見えて非常に冷酷な一面を持っているんですよ。今からでも遅くはありません。私が安全な場所に匿いますから一緒にいきましょう。」
「なぁに言ってんだよ。俺は決めた女はどんな手を使っても守り抜く男だよ?人を消す方法はたくさん知ってるし、お前らはたったの2人、俺は組長。…動かせる規模が違うの。いいから足退けろよ。」
「立華、お前は体弱いんやろ?あんま無理せんほうがええ!せっかくマコトが戻ったことやし、自分の体大事にして敵増やさんことや。な?ほれ、帰った帰った。」

▼口喧嘩がうまく、一度決めたら譲らない男たち。金や力や権力がある3人の力は拮抗し、ついに3人は互いから顔を逸らして縮こまっていた●を見た。

「あーもうめんどくせぇなぁ!よし、ここは恨みっこなしで●ちゃんに決めてもらうとするか。」
「せやな。選ばれなかった男は男らしく諦めるんや。」
「その提案には賛成です。彼女の意思を尊重しましょう。」

▼佐川司、真島吾朗、立華鉄、

「よく考えろよ?今じゃお前の周りにカタギはすくねぇ。危ない目にあわねぇためにも俺を選んだほうがいいぜ?お前を守ってやるよ。」

「こんな地味な男たちといてもちっとも楽しくないやろ?わしならうんと楽しませたる!2人で狂ったように生きようやないか!」

「裏社会にいてもろくな目にあいませんよ。私と一緒に表の社会で堂々と生きましょう。私なら地位や金…、この社会で生きるための全てを貴女に用意できます。」


▼ さぁ、 誰を選ぶ?



end



乙女ゲームの序盤っぽく書いたのに台詞的に全く乙女ゲームにならなかった。




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