破天荒な恋人と


〜●姐
〜●姐
〜わーれらが姐さん
〜真島の女
〜誰もが認める美人妻
〜真島に惚れた
〜真島が惚れた
〜いい女

何だこの男たちの歌声は!?
トイレの窓から聞こえてくる謎の歌声に驚いて声がする屋上へ行くと社員が声を合わせて歌っていた。その前に吾朗さんが応援団のように胸を張って後ろ手に手を組み、声がちぃーさい!!!!と注意する。叱られた社員はもっと大声で歌うので近くの建物の人たちにこの歌が届いている。

「ちょ、待ってくださいー!!歌わないでーー!」
「お?なんや●、歌詞気にくわんか?」
「そうじゃなくてなんですかこの歌は!?」
「ああ?わしと●の愛の歌やで!社歌もできたんやし、次は社長夫婦の歌が必要やろ。」
「まだ夫婦じゃないですってっ…って!こんな恥ずかしいことしなくていいから、やめてさせてください!皆さんもかわいそうじゃないですか!」
「はぁー、ノリ悪いのぉ。しゃーない、誰かもっと上手い歌詞考えてこんかい。●を納得させたもんにはボーナスやったるでぇ〜。解散!」

吾朗さんは何でもありな人だから、時々頭を抱える。はーーって疲れては、近所さんにこんな恥ずかしい歌詞を聞かれたと思うと顔が赤くなるのを感じた。

「●、ええか?今真島建設に大事なもんは見栄やで。建築初めての連中やからどーせろくなもん造れんやろ思ってる奴らを圧倒せなあかん!」
「いや、だからってなぜ、私たちの歌になっちゃうんですかっ。」

絶対楽しんでるよ、この人。顔が赤い私を見てイッヒヒ!と笑う吾朗さん。彼とは付き合って半年が経つけど、未だに掴めないし、振り回されてばかりだ。でも、こう見えて信念があるし、真面目な時は本当にまともになる。

「せや、あれ本当か?」
「あれって?」
「まだ夫婦じゃないってやつや。」
「え、それはそうですよ?」
「まだってことはいつかはええって事やねんな?」

こうしてまともになる真島さんが音もなく現れる。ニヤッと笑うでもなく、真面目に形のいい目で見据えてこられて、恥ずかしいけれど頷くと。

「もう同棲せんか?」

急に高い裏声で問われた。気が抜けたものの、それも悪くないと思ってまた頷いた。

ーーーー

同棲することになって、吾朗さんの広い部屋に私の私物が点々と置いていかれる。沢山の化粧品を見て、こないに沢山よぉ順番間違わずに付けれるなぁ〜と感心された。服を少し持ってきて、このひらひらのスカート初めて見たわ!何で今までデートで来てこんかったん?と詰られた。下着をこっそり棚に入れると、ヒッヒヒ!…おぉ〜どりどり…、と変態のような声を出して覗いてくるので手を叩いてやった。

「しっかし、いつでも●がおるんはええ事やのぉ。今何しとるんか、誰とおるんか、っていちいち考えんでええからの。」
「あれ、そんなこと考えてたんですか?」
「勿論や。自分の女のこと気にかけん男はおらん。●はどうなんや?」
「私もですよ。」
「かわええのぉ。…ほな、こないな時間やし、ベッド行こか。」

外で食事を済ませたせいか、眠くなってきた。吾朗さんが部屋の電気を消して寝室へ移る。布団派かと思ってたら、ベッドだった。キングサイズで枕が二つあるので眉を顰める。

「何で枕が二つあるんですか?」
「ああん?そりゃ●をお迎えするためやろ。」
「よかった…。」
「なんや、他の女でもおったとおもったんか?なわけあるかいな。よし、わしを疑った罰や。今日はチューしまくるで。」

最初からその気だったのか、私をベッドに押し倒すとキスの嵐が降ってきた。こんなの罰でも何でもないのに。嬉しくて、目を閉じると吾朗さんが笑う。

「全部わしに委ねとる顔やな。そそるでぇ。」
「一緒に過ごせて嬉しいです。」
「フッ…わしもや。逃げたら追い回すからの?…あと、もうそろそろやめようや、敬語。わしのこと社長やから、年上やから、って気遣いはもうええて。」
「じゃあ、あの…吾朗でもいい?」
「お、おう!」

嬉しくなって笑顔で名前を呼んで抱きつくと、意外と気遅れしたのは吾朗。でも、すぐに嬉しくなったのか、もっと呼べや。と低い声でねだり、グローブを床に捨てると長い指で私の服を脱がせていった。

ーーー

「ええ朝や。」
「ん…ご、ごろう…服着てから窓を見てよ。ガラス張りだから見えちゃうよ…。」

朝起きたら全裸で腕を組んで日光に照らされていた神々しい吾朗がいた。後ろから見ると太ももまで刺青があるからあまり裸に見えないのだけども、一応裸なので朝から刺激が強い。
私は腰が痛くて布団の中でモゾモゾしていたら、全裸の吾朗がベットサイドに腰をかけて私の頭を撫でる。

「昨日の敬語禁止、言ったら地獄のピストンゲームおもろかったなぁ?」
「…!も、悪ノリしすぎっ。」
「フッヒヒ、ええやんええやん。お陰で空になるまで●を喜ばせれて悔いなしや…今夜もやらなかあかん。」

吾朗の悪ノリは時に危険だけども、この人といてずっと飽きることがない毎日が待ってるに違いない。
私は頭を撫でてくる手を握ってから、彼と一緒に時間が過ごせる日々を嬉しく思った。
これからが本当に楽しみだ。

「せや。結婚式で流す歌を社員に考えさせなあかんな「それやめて。」

…ん。
やっぱり少し大変なことが多いかもしれない。

end


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