配達イタチになっているのだ

もふもふ!

お久しぶりなのだ

元気にしていたか?

水害の次は地震…皆は無事か? 我の心配もありがとうな。我は元気ぞ

我はな、ちょろっと旅に出ていたために、またもや北海道地震を止めることが出来なかったぺなるてぃーで、印刷所で1冊1冊加護を込めたカナタの本を、全国に配達しているのだ

斜めカバンに帽子を被って、てくてく我は歩いて届けにいくぞ! あと…ひぃ、ふぅ、みぃ……我の両手では数を数えられぬな。まあよい。次の加護つき本の届け先は…

イタさん…。なんだかお気の毒で泣けてきちゃう…。エリアごとのリストがあるならまだしも、全国ばらばらな上に、あんなに荷物を持って二足歩行でなんて…(今年中に本が届くのかしら?)

よく考えろ、ヒマリ。仮にそのイタチに、災害から人間を守る使命があったとしても、守れなかったことと、本を手渡しする配達イタチになることが、なぜ同等になる?

きっと神獣には、わたし達がわからない苦労があるんですよ

そうだとしてもな…。おかしいと思ったんだよな、やけに「送料無料/到着日未定」のところが多いから

…ふう。今日届けたところもいい奴だったな。我にご馳走を作って、お風呂に一緒に入ってくれて、もふもふしてくれたのだ

皆が甘やかすから、余計遅くなってるんじゃ…

ちょっと疲れたから、ここでお休みするのだ。ジョウガ印のネズミおにぎりを食べて…。しかし皆なぜそこまでこの本が欲しいのかの? もふもふ草紙よりかなり厚いが…値段も高いな。我の本は100円で買えるのに

こ、こら! のりがついた手で商品に触るな! 俺が、ヒマリが、あああ…

師匠、落ち着いて! 大声上げると、気づかれちゃいますよ! 今日のわたし達はイタさんの監視役担当なんですから!

ヒビキとヒマリの話だということは聞いたが、どんなお話なのだ? どれどれ…んんん?

おい!初っ端の挿絵で食い入るように見つめるな

あわわわ。なんでそんな場面を…

ヒマリは、随分と寝相が悪いようだ。顔が赤いが…熱でも出したのかな

ふぅ…

ふぅ…

もっと先を見てみるか。ええと、このへん…

びゃ、びゃったん! お前の力で風を!

…ほい、きた。わかったのだ。ふー

きゃあああ! 風で吹き飛ばされる…! また台風か!?

師匠、びゃったんさんのお力を借りられるなんてびっくりです。いつから人間越えを…

万が一のために、カオルの情報網で神獣の弱み見つけておいたんだよ。…あ、悪かったな、びゃったん。また呼んだら頼む

わかったのだ。さらばなのだ

師匠、すごい…

ん? びゃったんの気配を感じた気がしたが…気のせいぞ。ああ、本が。…よいしょ、よし汚れてないな

今、ぬかるみに沈んでいたじゃねぇかよ! こうなったら、せーたん! 水!

わかったのだ! ちょろちょろ…

こ、今度はせーたんさんまで!

な、なぜ水が!? 我は力が使っていないのに。こら、やめ。やむのだ!

よし、水洗いが出来たようだ。ヒマリ、今のうちに…

はい、師匠! 保存には……サランラップです!

OKだ。せーたん、ありがとな

なにぞこれしき。また呼べな

ありがとうございました!

よし、本は綺麗なままぞ。おや、開かなくなってしまった。どうしたのだ? お、本の後ろにも文字が書いてあったのか。あらすじだな。なになに…ん? ひとりエッチとはなにぞ?

なぜにそこだけをピックアップしちゃうの、イタさん…

エロいお前が悪いんだろ、すぐ俺の声に反応するから

わ、わたしが悪いんですか!? 元はといえば師匠が…

一体ヒマリはなにをしているのか。本人はおらぬから……よし、わからない時は、『四神獣お悩み相談室』。スマホで、410410…他に聞くところはないかの?

可愛い、あの小さいの、スマホ!?

注目すべきはそこじゃねぇだろ。すーたん、いるか? ちょっと火であの白いもふの毛先を、ハゲにならない程度に燃やしてくれ。くれぐれも本は無傷でな

了解ぞ パチパチパチ…

あ、もしもし。四神獣お悩み相談室か? ん…混んでいるからまた電話をかけ直して欲しいと言われたのだ…。よし、もう一度、410410…

…燃えてるのに気づいてねぇ…

あわわわ、イタさんが黒イタチになってしまう。すーたんさん、ストップストップ!

わかったのだ。ふむ、いーたんは水に守られているから、火の知覚が鈍いのかもしれぬ

…ち。わかったすーたん、戻っていいぞ。…くそ、こうなったら、ヒマリ…隠れてねえで出るぞ。直接止めよう

わかりました!

よし、今度は繋がりそうだ。あ、もしもし。四神獣お悩み相談室か? 実は…あれ、ヒビキとヒマリだ。あ、本人に聞くからいいのだ。…こんなところで会うとは奇遇だな。ところでヒマリ、ひとりエッチとはなんぞ?

い、いきなり!? そ、それは師匠が知ってます

え、俺に振るか!?

わ、わたし無理です。この純粋無垢なふわふわイタさんに嘘はつけません

俺だって…

真っ黒王子、降臨!

ふふふ、嫌だなあ、もふもふくん。ひとりエッチということは、ひとりでエッチなことをするということさ

ひとりで? んんん? どうやって?

(ぐ…こいつ、俺以上のドSじゃねぇか) だから自分の手で、自分の一番感じる…ぐ……駄目だ。ヒマリ、俺は倒れる…バタッ

ええええ!? ここで!?

我の手で、我の一番感じる…?

(イタさんの手が短すぎてなにも出来ない…) ええとですね、イタさん。つまり、喜怒哀楽を感じられる自分の胸に手を置くことです! む、胸に手をあてるから、エッチ!みたいな…

(く、苦しい…)

なるほど! よくヒマリも風呂で見ていると、胸に手をあてて「エッチ!」と恥ずかしがるものな

そ、そう! それです!

いつ俺のヒマリと風呂に入っているんだよ!

そうか、この物語はヒマリの恥ずかしい話なのだな?

そ、そうです…まさしくそうです。ちなみに師匠も…

そこに俺を出すのか!?

わたしを…ひとりにしないで。ヒビキ…

////// 俺とヒマリの恥ずかしい話だ。だから神獣は見てはいけないぞ? お前も恥ずかしいところを知られたくないだろう? 他の人間達はちゃんと前もって俺達の許可を取り、順番待ちをしてくれていたんだ。配達イタチのお前が、人様のものを先に読んではいけないだろう

確かにそうだな。では我は、ご加護も届ける配達イタチに徹しよう
…こうして9/22発売の「隣人の声に欲情する彼女は、拗らせ上司の誘惑にも逆らえません」は、どれもご加護つきで皆様のお手元に届けられています。
もし配達イタチが愛くるしい笑顔でお届けに行ったら、頭を撫でて声をかけて上げて下さいね。
もちろん、思う存分もふもふしてあげると、尻尾を振って喜びます。

ふむ、我も先輩作家として、帯を作るのだ!ええと…


なに俺達の本で、自己主張しているんだよ! 没収! 回収!

あああ、我が書いた帯が…!
…もしもそんな帯の本を見つけましたら、超レアもの、大当たりです(笑)