「過去なんて、どうでもいいじゃないですか」
そう言ってみるけど、なまえさんの表情は晴れない。そんな紙きれより俺を見て欲しいのになぁ。政府から戦績の通知が届く度ににらめっこ。
「うーん、でも、やっぱり気になるんだよね。特に演練の成績がどんどん落ちてきちゃってて……」
「それだけ強者とやれてるって事ですから、俺は寧ろいい経験になってありがたいと思ってますよ!」
「そうは言うけど、吹っ飛ばされた時悔しそうに『もう勝ったつもりかよ』とか吐き捨ててたの聞こえてたからね」
「えっ、あっ、あれは気持ちが昂ったからというか、真剣に取り組んでたからというかっ!」
「うん。皆、真剣にやってくれてる」
「鯰尾も他の皆も頑張ってる。相手の練度は同じくらい。……なのに負けるのは、やっぱり私が」
「違います、負けたのは俺がっ!」
憶えてない過去なんてどうでもいい。だけど……もし俺が薙刀のままだったら。
「俺が、」
今よりもっと強くなれてたんじゃないかって、考えて、悔しくなる。
今の俺はお世辞にも背が高いとは言えないけど、もしも薙刀のままだったら。なまえさんを軽々抱っこできる位の体格だったかもしれない。
なまえさんは自分が勝ちたいわけじゃない。なのに勝ちに拘るのは、俺達の努力を知った上で『勝たせたい』って思ってくれてるから。負けるのが悔しいんじゃない。なまえさんの気持ちに応えられないことが悔しい。
「俺が、薙刀じゃないからっ…!」
「違うよ」
びりびりと千切ってくず籠に放り込んだ。
「過去ばっかり気にしても仕方ないね。これから勝てるように、一緒に頑張ろう!」
「私、脇差の鯰尾が大好きだからね!」