今日は今剣を連れて万屋さんへ。審神者専用のお店だから他のお客さんも皆審神者。そして護衛必須だから皆刀剣男士を連れていて、同じ顔の刀剣男士があっちこっちに居たりするから審神者初心者の私はなんだか混乱する。
普段は跳んだり跳ねたりしてる今剣だけど、初めてのお店にきらきらと目を輝かせてはいるものの、店内で走り出したりはしない。いい子だ。
「わー、おせんべいがいっぱいあります!」
「なまえさま、ぼくもなにかかっていいですか?」
「物によるけど……何か気になるものがあった?」
「あれです!」
小さな手が指差す先を見て、私は少し固まってしまった。
「えっと……これで合ってる?」
「はい!これです!」
そこには笠を被った、今剣よりも大きな狸の置物。たまに店先とかにあるやつ。
……何故こんなものまで売っているんだろう。一瞬この店の飾りかと思ったけど、ちゃんと値札が付いてた。よく見なくてもゼロが多いのがわかって、思わず目を逸らしてしまう。
「……ごめん、ちょっとこれは無理かなぁ」
「そうですか……わがままをいって、ごめんなさい」
しゅんとした今剣。ちゃんとごめんなさいが言えるいい子だ。
「では、これはどうですか……?」
これはもしかしてあれではないだろうか。そのまま普通にお願いするのと、先に大きなお願いをして断られてから本命のお願いをするのとでは、同じお願いでも後者の方が通りやすくなるという交渉テク。今剣の瞳も最初からこっちが本命だったと言わんばかりに輝いている。その可愛さに、今この瞬間私の大本命は今剣に決まった。
「かしてください。ぼくがもちます!」
いい子だ。