『檜佐木さん上がって下さい』

「隊長は?」

僕はまだ書類が残ってるから上がれない。手元の原因をひらひらさせれば修兵さんが呆れた様に溜息を吐いた

「明日でも良いだろ?」

『今日終わらせられるものは今日終わらせる』

そうやってだらだら次の日に持ち越すと京楽隊長みたいに書類の山と戦う事になる。それは嫌だ。椅子に縛り付けられて書類整理とか無理。それを言うと俺は縛り付けたりしねぇよと頭を叩かれた。痛い

『取り敢えずこれが終わったら上がるんで檜佐木さんは先に上がって下さい』

「…しゃーねぇな……先上がります。お疲れ様でした、隊長」

『お疲れ様でした』

不服そうな修兵さんを見送って再び書類整理に戻る。これなら二時間あれば終わるかな













『んー…終わった……』

大きく伸びをすればばきばき骨が鳴る。流石に疲れた。外は真っ暗だし早く帰ろう。そう思った時かちゃりと扉が開いた。ノックも何もないって事は修兵さんか?

「……独月…」

『どうしたの修兵さ……ん』

顔を見て固まる。え、涙目?顔を凝視していれば近寄って来た修兵さんに引っ付かれる。ちょっこの人この二時間の間に何があった

『ど、どうしたの修兵さん』

聞いてみるも反応はなし。背中をぽんぽんと叩けばぎゅうぎゅう締め付けられる。ちょっと待て絞め殺す気か
何とかソファに座らせれば小さな声が聞こえてきた

「…ギター…下手くそだって言われた…」

『………ギター?』

こくりと肩に埋められた頭が頷く。そういえばこの人はギターにハマってるんだったか。只弾いていると周りからの苦情が酷かった気がする。僕はそんなに気にした事はなかったけど

『誰に言われたの?』

「……黒崎…」

あのタンポポ頭今度シメてやる。そう思いつつ頭を撫でれば修兵さんが此方を見上げて来た

「…俺…そんなに下手か…?」

涙目+上目遣いでそう呟いた。何この可愛い生き物。ギャップ半端ないんですけど

『少なくとも僕は嫌いじゃないよ』

「……本当か…?」

寧ろ今の状態の修兵さんを僕が突き放す訳なかろうに

『修兵さんがするなら何だって好きですよ』

ぶっちゃけ下手でも修兵さんがしてる事なら嫌いにならないと思う。
そう言えば修兵さんがまた肩に顔を埋めた。あ、照れてる

「……お前急に直球で来るよな…」

『僕は何時でも真っ直ぐです』

「いやお前はツンデレだ」

『何だそりゃ』

途轍もなく話がズレた気がするけれど、修兵さんが笑ったのだからまぁ良しとしよう


ギター、ツンデレ、直球


(やぁ黒崎面貸せや)

(桜花?どうしたんだよ…っていでででででで!!)

(うちの副隊長泣かすな馬鹿者!あの人見た目厳ついけど中身はデリケートなんだぞ!)

(ギブギブキャメルクラッチはナシだろオイ!!)