「決戦は冬じゃ」

総隊長の厳かな声に自然と背筋が伸びる。集められた各隊の隊長を見渡して総隊長が口を開いた

「皆、死す覚悟を持って戦うのじゃ」













『………死す覚悟、か』

先程の総隊長の一言が重く胸にのし掛かる。これは隊長だけが聞かされた言葉。最悪相討ちには持ち込めって事だろう。最終決戦は冬。それまでに強くならないと

『!』

ぽん、と頭に手を置かれた。
見上げれば顔面卑猥様が微笑んでいる。え、何時来たの?

「死なせねぇよ」

その一言に思わず口が開いた。まさかさっきの聞かれてた?
そう訊けば修兵さんが頷く

「お前は俺が護る。だから絶対死なせねぇ」

『………』

何も言わない僕を見て、修兵さんがおどけた様子で口を開く

「強くて格好良い檜佐木副隊長が護ってやるって言ってんだ。マジ無敵。感謝しろよ隊長?」

『……ふふ。うん、感謝する』

格好良いとか自分で言うなよ。思わず笑えば修兵さんも頬を緩めた

「お前は笑っとけ。そうやって笑っててくれれば俺も頑張れる」

『…努力する』

「笑顔は努力するもんじゃねぇだろ」

そう言った修兵さんが優しく笑った。うん、修兵さんが笑っててくれたら僕も頑張れる気がする

『じゃあ檜佐木さんも笑ってて』

「お、隊長命令か?」

『ん』

おどけた修兵さんに頷けば職権乱用だと小さく笑う。
ぴっと敬礼をした修兵さんがにやりと笑った

「了解しました、隊長」

『精々励みたまえヨ、副隊長』

そう言った後同時に噴き出した。誰の真似だと訊かれたので涅隊長だと返せば更に笑い出す。

「似てなっ」

『あの声真似すんのは無理』

似てたら似てたでへこむ。つか何時まで笑うつもりだ修兵さん。ひーひー言ってるし。何がツボった。取り敢えず腹抱えて笑うのは止めて頂きたい、何か恥ずかしいから

「はぁ…あー笑ったわ……笑い過ぎて苦しい」

『修兵さんのツボが判らない』

一頻り笑った修兵さんが涙を拭う。笑い過ぎて涙目ってどうなの。ほんと修兵さんの笑いのツボは理解出来ない
首を傾げていればにやりと笑った修兵さんに頭を撫でられた

「肩の力も抜けたみてぇだな。…改めて、頑張ろうな隊長」

『……サポートお願いしますね、副隊長』

勿論、と修兵さんが笑った
乗せられている手に安心する。
総隊長は死ぬ覚悟を持って戦えと言ったけど、尸魂界の為には死ねない。未だに僕の中で根付いている十四番隊隊長の一言。

護りたい唯一を護って隊花誇って勝手に死ね

この言葉は僕の戦う意味だ。だから尸魂界や瀞霊廷の為には死ねない。例え死ぬとしても修兵さんを庇って死ぬ。それが散々迷惑を掛けた僕が出来るせめてもの恩返し
ちらりと修兵さんを見れば彼はふっと笑った

「死ぬ時は一緒だ。だからんな顔すんじゃねぇ」

『……え…』

思わず目を見開けばデコピンされた。額を押さえれば呆れた顔で溜息を吐かれる

「お前が言ったんだろうが」

何を、と言いかけ止まる。浮かんだのは双極の丘。傷だらけの僕は確かに言った
修兵さんが居ないのに生きてる意味なんかない、と

「思い出したみてぇだな」

無言で首肯。にやりと笑った修兵さんが頭を撫でる

「万が一死ぬ事があっても一人にはさせねぇよ。だから安心しな」

『……安心しちゃいけない気もする…』

少なくとも残された人達は何後追い自殺してんだてめぇってなると思うし。そう言えば修兵さんは目を細めた

「周りは関係ねぇさ。俺達が考えて選んだ事だ。何言われても気にする事はねぇ」

な?と頭を撫でられ何も言えなくなる。溜息を吐いて頷けば修兵さんがにっと笑った



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(良し、仕事しますよ副隊長)

(へいへい)