Person qualified to hold the sword who are not afraid of his power is not
着いた瞬間、柱が襲われているのが見えた。
『各自配置に就け!柱を護るんだ!』
「っしゃあ!」
「遂に本番だね」
僕の声に十一番隊の二人が先に飛び出して行った。
無言で吉良も飛び出して行く
「行って来ます、隊長」
『……行ってらっしゃい、檜佐木さん』
僅かに振り向いた修兵さんは笑った。
四人が虚を倒し柱が無事な事を確認してから総隊長の下に行く。
『桜花第二部隊、只今到着致しました』
「うむ、ご苦労じゃった」
その言葉を訊き数歩後ろに下がる。四つの柱を護る修兵さん達の前に四体の破面が降り立った。何れにしても誰かの部下。先ずは様子見って訳か
静かに修兵さんの方を見る。あの人は始解したがらない人だから、今回もギリギリにならないと使わないんだろうな。そう思うと溜息が出た
恐れる事は只一つ
恐れを知らぬ戦士と為る事
「破道の六十三・雷吼炮!」
「あはははははは!」
電撃は近くの家を盛大に破壊しただけだった。其処に奴の姿はない
くそ、ちょこまか動きやがって
「………ちっ」
斬魄刀を逆手に持って斬り掛かれば奴は姿を消した。これが響転ってヤツか。直ぐさま霊圧を探す。咄嗟に飛び退けば上空から奴が降ってきた。刀を持ち上げる間に斬り掛かれば受け止められる
反動を使って後退すれば破面が斬り掛かって来た
「どうしたんだ副隊長!!」
無理矢理弾き飛ばした破面がニヤニヤと耳障りな言葉を吐く
「随分消耗しているな!?副隊長同士の戦いでこうも一方だけが消耗するものなのか!?」
ぺらぺらと良く喋る奴だ。斬魄刀を構え直す間にも金髪を靡かせて奴は話し続ける
「これは一体どういう事だろうな!?副隊長相当の能力となったこの俺と戦って、君一人だけが消耗する。これはどういう事だと思う!?」
「…うるせぇ奴だ。俺の力が副隊長には足りねぇって言いてぇのか?」
待て。後ろで物凄い殺気出してる奴が居る。ちらりと振り向けば総隊長の斜め後ろで俺と破面――正確には破面を睨み殺す気かって程睨んでる銀髪が一人。あいつの足元の霊子がパキパキ凍ってる。相当キレてんな。つか此処まで冷気が来てる。お前そんなに俺が貶されるのが嫌か。
独月は総隊長に落ち着けと頭を撫でられた。それで漏れ出す霊圧を制御したみてぇだが依然として目は破面を睨んだまま。
「正解!流石は副隊長だ!」
指差すなてめぇ。あーまた冷気が
「俺が君ら護廷隊の力を計り損ねていないとすればまさしくそういう事になる!」
つかさっきから副隊長副隊長とうるせぇな
「…副隊長って呼ぶんじゃねぇよ…檜佐木修兵だ」
最初に名乗っただろうが。
そう言えばこれは失礼と奴は笑った
「うっかりしていたよ。そもそも君一人に名乗らせるというのが礼儀に反していたね」
目を細め破面が笑う
「名乗っておくよ。バラガン陛下の従属官、フィンドール・キャリアスだ」
破面――フィンドールが独月の方を見た
「あの小さな少女は君の隊長か?」
「……だったらどうした」
ちらりと見れば独月はじっと此方を見ている。睨んではいない。あ、俺見てんのかよ
その目は明らかに早く始解しろと訴えている。まぁ待て俺にもタイミングってもんがあんだよ。ほいほい始解したくねぇの。それが通じたのか独月の頬がひくりと引きつった。あ、やべぇ。キレた?左手を握り締め抜刀を防いではいるが足元がパキパキ凍っていく様子が異常に怖ぇ。こりゃ早めに始解しねぇと独月に俺が殺られる。判ったと慌てて口パクすれば渋々といった感じで独月が頷いた
「君ら二人に藍染様が興味を示されていた」
「………何だと?」
意外な名前に眉間に皺が寄るのが判った。続きを聞こうとすれば無駄話は終わりだと奴が笑う。いや、殆ど無駄に勝手にぺらぺら喋ってたのはてめぇじゃねぇか
さて、と言いながらフィンドールはゆっくりと刀を俺に向けた
「君らの礼儀に准じた所でそろそろ戦いにも始末を着けよう。君らのやり方に准じる形でね」
フィンドールの雰囲気が変わる。野郎何する気だ
「つまり俺が君を斬り捨てて終わるという事だ檜佐木修兵!!」
フィンドールの霊圧が膨れ上がる。
「…水面に刻め "蟄刀流断"」
巻き上がった煙が薄れる。其処に立っていたのは右手に馬鹿でかい鋏を持った破面だった。何だあれ…蟹の鋏か?
「…それが破面の"帰刃"ってヤツか…」
「正解。良くご存知だ」
「てめぇらだけが此方の情報持ってると思ったら大間違いだぜ」
「何もそんな風に思っちゃいないさ」
そう言ったフィンドールが跳んだ。
宙に浮いた身体が音を立てて消える。響転か。
――後ろだ
咄嗟に飛び退けば馬鹿でかい鋏が建物を挟み斬った
「正解!響転の速度を良く眼で追った!」
「正解正解とうるせぇ奴だ!」
斬り掛かればその鋏で防がれる。攻防一体ってヤツか。なかなか厄介だ
「生きる事は困難な問題の連続だ!少しでも多く正解を選択した者が生き残る!ならば誰もが少しでも多くの正解を手にしたいと思う筈だ!違うか!?」
「だからてめぇがその正解を与えてやるってのか?」
神にでもなったつもりかよ。
馬鹿過ぎて笑える
「大層な弁舌だ」
右腕の腕輪を左手で弾き飛ばした。奴の目の前まで飛んだ所でそれは派手に爆発する。あれは所謂爆竹みてぇなもん。殺傷能力は低いが目眩ましには充分だ。また阿近さんに頼んで作って貰わねぇと
「縛道の六十二・百歩欄干」
煙に紛れ背後から鬼道を投げる。光の棒は幾重にも分裂してフィンドールを壁に縫い付けた
「終わりだ、弁舌屋」
「舐めるなよ死神!」
斬り掛かった俺に向かって拘束を脱した鋏が向けられた。
「!」
その鋏から放たれた何かを躱す。俺の顔スレスレで躱したそれは後ろにあったビルの給水ダムに当たり――そのまま真横に切り離した。
「高圧水流か!」
「正解。だがそうして敵以外の方向に目を向けるのは良くない」
がちゃがちゃと嫌な音がして其方を見ればフィンドールが拘束する棒を力任せに抜いていた
「不正解。残念だ死神!」
ニヤリと笑ったフィンドールが再び俺に向かって高圧水流を放つ。跳んで避ければ奴の笑い声が聞こえた
「それで躱した気になるか!?」
大量の高圧水流が俺目掛けて飛んでくる。逃げ場はねぇな。ちらりと後ろを見れば銀髪の隊長がじっと俺を見ている。強い瞳。俺の好きな目だ。
独月が小さく頷いた。ああ、負けねぇよ。お前が手を出さずに見てるのは俺を信じてくれてるからだろ?ニヤリと笑えば独月も目を細めて笑った
「刈れ――『風死』」
向かって来る高圧水流を真っ二つに斬る。返ってくる鎌を掴めばフィンドールが小さく成程と呟いた
「…それが君の斬魄刀か。檜佐木修兵」
「…ああ。コイツが俺の斬魄刀、風死」
手に持ったそれを見て溜息が出る。
出来れば始解はしたくなかったんだが
「あまり好きじゃねぇんだけどな」
「……?…どういう意味だ?」
どういう意味も何もねぇ
「そのままの意味だよ。俺はこいつの形が気に入らねぇんだ」
見ろよこの形。言いながらじゃらりと音を立てる鎖を持ち、目元まで引き上げる。確か独月にもこうして見せたな。あいつは格好良いとかずれた事を抜かしたが
「命を刈り奪る、形をしてるだろ?」
フィンドールが目を見開いた。ああ、普通はそれが正しい反応だ。
目を見開いたままのフィンドールに右手に持っていた鎖鎌を投げつける。
「その反応は正解、だな」
咄嗟に避けたフィンドールの髪がばっさり切れた。舌打ちする奴の背後にぶつかった鎌の鎖を引き背中を狙う。それを躱したフィンドールは道路に降り立った。
「縛道の六十二・百歩欄干」
直ぐさま光の棒を投げつけたが躱される。飛び上がった奴に向かって鎌を投げれば数歩後退する事で避けられた。何に気を良くしたのか奴は笑いながら後退し続ける。
「――うおっ!」
気付いた時にはもう遅い。奴は背後の建物に派手に突っ込んだ。後方不注意だな
俺は奴が出て来るであろう場所から風死を投げる。躱しきれなかったフィンドールの頬から血が滴り落ちた
「はっ…はっ……はっ」
建物だった残骸の上で荒い息を吐くフィンドール目掛けて風死を投げつける。風死は寸で躱されそのまま背後のコンクリートの壁を破壊した
「ちィ……ッ」
フィンドールが風死の鎖に鋏を向ける。鎖を斬る気みてぇだが、させねぇよ。その間に奴の背後に飛びかかった
斬りつければ左手の小さな鋏で防がれる。鋏マジで面倒臭ぇ。鎖を斬ろうとしていた右手の鋏が俺の顔面目掛けて突き出される。俺は右手に持った鎌を手放し、下に落下する事で躱した。
「逃がすか!!」
落下する俺に向かってフィンドールが鋏を向ける。
――風死から目を離したな。
右手で鎖を引いた。先程手離した鎌が、奴の首目掛けて落下する
「…読めねぇだろ?コイツの動きが」
奴の背後の瓦礫に足を掛け見下ろす。どうやら左腕を斬っただけで済んだらしい。感覚が軽いとは思ったがそういう事か
此方に振り返ったフィンドールは笑っている。だがその笑みからはもう余裕は感じられねぇ
右手で風死を振り回しながら弁舌屋を見下ろす。
「…怖ぇか?」
「誰が!!!」
そう言ったフィンドールが鋏で俺の顔面を狙う。俺さっきから顔ばっか狙われてね?
「そうか。俺は怖い」
躱して左手に持った鎖を動かした。グンと引っ張れば鎌がフィンドール目掛けて突き進む。
「怖い!?自分の力が巨大過ぎて怖いか!?安い陶酔だ!寝醒めが悪くなるぞ死神!」
右手の鋏で風死を防いだフィンドールが自分の仮面に左手の鋏を向けた
「醒まさせてやろう今すぐに!!」
派手な音を立てて目の上の仮面が砕け散った。霊圧も上がる
「終わりだ!九割の仮面を剥ぎ取った俺の力は隊長格のそれと同等!!副隊長である君に勝ち目は無い!!」
うるせぇ奴だな。
何も言わずに左手で鎖を引いた。
瞬間回転する刃が奴の髪と馬鹿でかい鋏を斬り落とした
「!!」
「…てめぇは自分の力が怖くは無ぇんだな。…敵の力も」
両手でそれぞれの鎖鎌を振り回す
「底が知れるぜ」
安い陶酔でも何でもねぇ。自分の力を恐れるのは剣を握る者として当然の事だ
「"自分の握る剣に怯えぬ者に剣を握る資格は無い"」
俺はそう教わった。
随分前、東仙隊長に
「く…そ……ッ!」
フィンドールが俺に背を向けて走り出す。目に映っていたのは今更過ぎる感情
「…今頃恐怖を覚えたか。漸く俺と対等だな」
狙いを定め、鎖鎌をけしかける。狙いは逃げる敗者の首
「おおおおおおオオオッ!」
――ザンッ
「…隊長格と同等か。見当違いも良いとこだぜ」
返って来た風死を掴み刀の状態に戻す。見ればうちの隊長が此方を見ていた。目が合うと笑って小さく頷かれた。良くやったってか?少しは隊長らしい態度取れるじゃねぇか
柱の下へ戻ろうとした時――遠くにある柱が崩れた
There is nothing to be afraid of only one. Be a fearless warrior
(あれは…斑目……?)
((斑目さんがやらかしたか。どうせ卍解してないからなんだろうけど))
『各自配置に就け!柱を護るんだ!』
「っしゃあ!」
「遂に本番だね」
僕の声に十一番隊の二人が先に飛び出して行った。
無言で吉良も飛び出して行く
「行って来ます、隊長」
『……行ってらっしゃい、檜佐木さん』
僅かに振り向いた修兵さんは笑った。
四人が虚を倒し柱が無事な事を確認してから総隊長の下に行く。
『桜花第二部隊、只今到着致しました』
「うむ、ご苦労じゃった」
その言葉を訊き数歩後ろに下がる。四つの柱を護る修兵さん達の前に四体の破面が降り立った。何れにしても誰かの部下。先ずは様子見って訳か
静かに修兵さんの方を見る。あの人は始解したがらない人だから、今回もギリギリにならないと使わないんだろうな。そう思うと溜息が出た
恐れる事は只一つ
恐れを知らぬ戦士と為る事
「破道の六十三・雷吼炮!」
「あはははははは!」
電撃は近くの家を盛大に破壊しただけだった。其処に奴の姿はない
くそ、ちょこまか動きやがって
「………ちっ」
斬魄刀を逆手に持って斬り掛かれば奴は姿を消した。これが響転ってヤツか。直ぐさま霊圧を探す。咄嗟に飛び退けば上空から奴が降ってきた。刀を持ち上げる間に斬り掛かれば受け止められる
反動を使って後退すれば破面が斬り掛かって来た
「どうしたんだ副隊長!!」
無理矢理弾き飛ばした破面がニヤニヤと耳障りな言葉を吐く
「随分消耗しているな!?副隊長同士の戦いでこうも一方だけが消耗するものなのか!?」
ぺらぺらと良く喋る奴だ。斬魄刀を構え直す間にも金髪を靡かせて奴は話し続ける
「これは一体どういう事だろうな!?副隊長相当の能力となったこの俺と戦って、君一人だけが消耗する。これはどういう事だと思う!?」
「…うるせぇ奴だ。俺の力が副隊長には足りねぇって言いてぇのか?」
待て。後ろで物凄い殺気出してる奴が居る。ちらりと振り向けば総隊長の斜め後ろで俺と破面――正確には破面を睨み殺す気かって程睨んでる銀髪が一人。あいつの足元の霊子がパキパキ凍ってる。相当キレてんな。つか此処まで冷気が来てる。お前そんなに俺が貶されるのが嫌か。
独月は総隊長に落ち着けと頭を撫でられた。それで漏れ出す霊圧を制御したみてぇだが依然として目は破面を睨んだまま。
「正解!流石は副隊長だ!」
指差すなてめぇ。あーまた冷気が
「俺が君ら護廷隊の力を計り損ねていないとすればまさしくそういう事になる!」
つかさっきから副隊長副隊長とうるせぇな
「…副隊長って呼ぶんじゃねぇよ…檜佐木修兵だ」
最初に名乗っただろうが。
そう言えばこれは失礼と奴は笑った
「うっかりしていたよ。そもそも君一人に名乗らせるというのが礼儀に反していたね」
目を細め破面が笑う
「名乗っておくよ。バラガン陛下の従属官、フィンドール・キャリアスだ」
破面――フィンドールが独月の方を見た
「あの小さな少女は君の隊長か?」
「……だったらどうした」
ちらりと見れば独月はじっと此方を見ている。睨んではいない。あ、俺見てんのかよ
その目は明らかに早く始解しろと訴えている。まぁ待て俺にもタイミングってもんがあんだよ。ほいほい始解したくねぇの。それが通じたのか独月の頬がひくりと引きつった。あ、やべぇ。キレた?左手を握り締め抜刀を防いではいるが足元がパキパキ凍っていく様子が異常に怖ぇ。こりゃ早めに始解しねぇと独月に俺が殺られる。判ったと慌てて口パクすれば渋々といった感じで独月が頷いた
「君ら二人に藍染様が興味を示されていた」
「………何だと?」
意外な名前に眉間に皺が寄るのが判った。続きを聞こうとすれば無駄話は終わりだと奴が笑う。いや、殆ど無駄に勝手にぺらぺら喋ってたのはてめぇじゃねぇか
さて、と言いながらフィンドールはゆっくりと刀を俺に向けた
「君らの礼儀に准じた所でそろそろ戦いにも始末を着けよう。君らのやり方に准じる形でね」
フィンドールの雰囲気が変わる。野郎何する気だ
「つまり俺が君を斬り捨てて終わるという事だ檜佐木修兵!!」
フィンドールの霊圧が膨れ上がる。
「…水面に刻め "蟄刀流断"」
巻き上がった煙が薄れる。其処に立っていたのは右手に馬鹿でかい鋏を持った破面だった。何だあれ…蟹の鋏か?
「…それが破面の"帰刃"ってヤツか…」
「正解。良くご存知だ」
「てめぇらだけが此方の情報持ってると思ったら大間違いだぜ」
「何もそんな風に思っちゃいないさ」
そう言ったフィンドールが跳んだ。
宙に浮いた身体が音を立てて消える。響転か。
――後ろだ
咄嗟に飛び退けば馬鹿でかい鋏が建物を挟み斬った
「正解!響転の速度を良く眼で追った!」
「正解正解とうるせぇ奴だ!」
斬り掛かればその鋏で防がれる。攻防一体ってヤツか。なかなか厄介だ
「生きる事は困難な問題の連続だ!少しでも多く正解を選択した者が生き残る!ならば誰もが少しでも多くの正解を手にしたいと思う筈だ!違うか!?」
「だからてめぇがその正解を与えてやるってのか?」
神にでもなったつもりかよ。
馬鹿過ぎて笑える
「大層な弁舌だ」
右腕の腕輪を左手で弾き飛ばした。奴の目の前まで飛んだ所でそれは派手に爆発する。あれは所謂爆竹みてぇなもん。殺傷能力は低いが目眩ましには充分だ。また阿近さんに頼んで作って貰わねぇと
「縛道の六十二・百歩欄干」
煙に紛れ背後から鬼道を投げる。光の棒は幾重にも分裂してフィンドールを壁に縫い付けた
「終わりだ、弁舌屋」
「舐めるなよ死神!」
斬り掛かった俺に向かって拘束を脱した鋏が向けられた。
「!」
その鋏から放たれた何かを躱す。俺の顔スレスレで躱したそれは後ろにあったビルの給水ダムに当たり――そのまま真横に切り離した。
「高圧水流か!」
「正解。だがそうして敵以外の方向に目を向けるのは良くない」
がちゃがちゃと嫌な音がして其方を見ればフィンドールが拘束する棒を力任せに抜いていた
「不正解。残念だ死神!」
ニヤリと笑ったフィンドールが再び俺に向かって高圧水流を放つ。跳んで避ければ奴の笑い声が聞こえた
「それで躱した気になるか!?」
大量の高圧水流が俺目掛けて飛んでくる。逃げ場はねぇな。ちらりと後ろを見れば銀髪の隊長がじっと俺を見ている。強い瞳。俺の好きな目だ。
独月が小さく頷いた。ああ、負けねぇよ。お前が手を出さずに見てるのは俺を信じてくれてるからだろ?ニヤリと笑えば独月も目を細めて笑った
「刈れ――『風死』」
向かって来る高圧水流を真っ二つに斬る。返ってくる鎌を掴めばフィンドールが小さく成程と呟いた
「…それが君の斬魄刀か。檜佐木修兵」
「…ああ。コイツが俺の斬魄刀、風死」
手に持ったそれを見て溜息が出る。
出来れば始解はしたくなかったんだが
「あまり好きじゃねぇんだけどな」
「……?…どういう意味だ?」
どういう意味も何もねぇ
「そのままの意味だよ。俺はこいつの形が気に入らねぇんだ」
見ろよこの形。言いながらじゃらりと音を立てる鎖を持ち、目元まで引き上げる。確か独月にもこうして見せたな。あいつは格好良いとかずれた事を抜かしたが
「命を刈り奪る、形をしてるだろ?」
フィンドールが目を見開いた。ああ、普通はそれが正しい反応だ。
目を見開いたままのフィンドールに右手に持っていた鎖鎌を投げつける。
「その反応は正解、だな」
咄嗟に避けたフィンドールの髪がばっさり切れた。舌打ちする奴の背後にぶつかった鎌の鎖を引き背中を狙う。それを躱したフィンドールは道路に降り立った。
「縛道の六十二・百歩欄干」
直ぐさま光の棒を投げつけたが躱される。飛び上がった奴に向かって鎌を投げれば数歩後退する事で避けられた。何に気を良くしたのか奴は笑いながら後退し続ける。
「――うおっ!」
気付いた時にはもう遅い。奴は背後の建物に派手に突っ込んだ。後方不注意だな
俺は奴が出て来るであろう場所から風死を投げる。躱しきれなかったフィンドールの頬から血が滴り落ちた
「はっ…はっ……はっ」
建物だった残骸の上で荒い息を吐くフィンドール目掛けて風死を投げつける。風死は寸で躱されそのまま背後のコンクリートの壁を破壊した
「ちィ……ッ」
フィンドールが風死の鎖に鋏を向ける。鎖を斬る気みてぇだが、させねぇよ。その間に奴の背後に飛びかかった
斬りつければ左手の小さな鋏で防がれる。鋏マジで面倒臭ぇ。鎖を斬ろうとしていた右手の鋏が俺の顔面目掛けて突き出される。俺は右手に持った鎌を手放し、下に落下する事で躱した。
「逃がすか!!」
落下する俺に向かってフィンドールが鋏を向ける。
――風死から目を離したな。
右手で鎖を引いた。先程手離した鎌が、奴の首目掛けて落下する
「…読めねぇだろ?コイツの動きが」
奴の背後の瓦礫に足を掛け見下ろす。どうやら左腕を斬っただけで済んだらしい。感覚が軽いとは思ったがそういう事か
此方に振り返ったフィンドールは笑っている。だがその笑みからはもう余裕は感じられねぇ
右手で風死を振り回しながら弁舌屋を見下ろす。
「…怖ぇか?」
「誰が!!!」
そう言ったフィンドールが鋏で俺の顔面を狙う。俺さっきから顔ばっか狙われてね?
「そうか。俺は怖い」
躱して左手に持った鎖を動かした。グンと引っ張れば鎌がフィンドール目掛けて突き進む。
「怖い!?自分の力が巨大過ぎて怖いか!?安い陶酔だ!寝醒めが悪くなるぞ死神!」
右手の鋏で風死を防いだフィンドールが自分の仮面に左手の鋏を向けた
「醒まさせてやろう今すぐに!!」
派手な音を立てて目の上の仮面が砕け散った。霊圧も上がる
「終わりだ!九割の仮面を剥ぎ取った俺の力は隊長格のそれと同等!!副隊長である君に勝ち目は無い!!」
うるせぇ奴だな。
何も言わずに左手で鎖を引いた。
瞬間回転する刃が奴の髪と馬鹿でかい鋏を斬り落とした
「!!」
「…てめぇは自分の力が怖くは無ぇんだな。…敵の力も」
両手でそれぞれの鎖鎌を振り回す
「底が知れるぜ」
安い陶酔でも何でもねぇ。自分の力を恐れるのは剣を握る者として当然の事だ
「"自分の握る剣に怯えぬ者に剣を握る資格は無い"」
俺はそう教わった。
随分前、東仙隊長に
「く…そ……ッ!」
フィンドールが俺に背を向けて走り出す。目に映っていたのは今更過ぎる感情
「…今頃恐怖を覚えたか。漸く俺と対等だな」
狙いを定め、鎖鎌をけしかける。狙いは逃げる敗者の首
「おおおおおおオオオッ!」
――ザンッ
「…隊長格と同等か。見当違いも良いとこだぜ」
返って来た風死を掴み刀の状態に戻す。見ればうちの隊長が此方を見ていた。目が合うと笑って小さく頷かれた。良くやったってか?少しは隊長らしい態度取れるじゃねぇか
柱の下へ戻ろうとした時――遠くにある柱が崩れた
There is nothing to be afraid of only one. Be a fearless warrior
(あれは…斑目……?)
((斑目さんがやらかしたか。どうせ卍解してないからなんだろうけど))