死覇装をそっと置いて立ち上がる。まだ他の隊長達は戦っている。僕も行かなくては

『……行って来ます、修兵さん』

転がっていた赤い丸薬にそう告げて、走り出す。
何時の間にか雨は止んでいた
























『─────っ!?』

走っていると向かってきた桜の渦。飛び退いて発生した方を見る。さっきのあれは千本桜…という事は、朽木隊長か?けど色が白かった気が…
藤凍月に手を掛け─────柱の影から現れた人物に目を見開いた


『……やぁ、原種の僕』

『……やぁ、霊骸の僕』


銀髪に左右で色の違う瞳。左頬の桜の痣に、右頬の涙の筋の様な傷痕。僕と瓜二つの姿をした霊骸は、始解した藤凍月を握っている

『修兵さんを倒せたんだね。てっきり素直に刺されて死ぬと思ってた』

『修兵さんに死ぬなって言われたからな、僕は死ねない』

『ふぅん……言ってた通り、か』

呟いた霊骸が藤凍月を構えた。僕も鞘から抜いて始解した藤凍月を構える。
互いに睨み合い─────かさりと葉が落ちた瞬間、同時に地面を蹴った

『『─────はっ!』』

噛み合う刃がぎりぎりと音を立てる。拳銃を向けようとすれば脇腹に衝撃。蹴飛ばされた身体が柱に叩き付けられた。

『っ……』

身を起こせば此方を見下ろす自分と目が合う。彼女はゆっくりと口を開いた

『弱いね。さっさと卍解したら?』

『…うるさい』

此方は修兵さんと一戦やったばっかりなんだよ。卍解したら霊圧をがんがん消費するだけだし、使えない
そんな僕の考えを見通しているのか、霊骸が鼻で笑った

『霊圧を消費したくないから卍解出来ないんだろ?なら───無理矢理にでも卍解させてやるよ』

そう言った霊骸が藤凍月を構えた。膨らむ霊圧。目から青白い光を散らしながら、彼女は紡ぐ

『────卍解』
























『っ…雷吼炮!』

襲い掛かってくる風死を雷撃で撃ち落とす。良かった、番無しだったがそこそこの威力は出た。
一端手放した長刀を鎖を掴んで引き寄せ、拳銃を向ける。
────狙いは浮かぶ扇

『ああ、扇を狙ってるのか。狙いは良いけど……甘いよ』

『っぐ!』

引き金を引こうとした瞬間、向かってきた蛇の骸骨に弾き飛ばされた。そのまま背後の柱に叩き付けられる。余りの衝撃に一瞬息が止まった。

『ほら、休む暇なんてあげないよ』

声と同時に向かってきた桜吹雪。瞬歩で躱せば目の前に炎が迫っていた

『縛裟氷映!』

長刀に冷気を纏わせ横に振るう。現れた氷を楯代わりにして炎から逃れた。

『────ぅあっ!』

瞬間、肩を穿つ銃弾。撃たれた右肩を庇いながら追い縋る灰猫から逃げる
瞬歩で背後を取り撃てば風死に阻まれた

『良い加減諦めたら?実力差、判ってるんだろ?』

『実力差?そんなものくそ食らえだ』

というか自分の偽者になんか負けたくない。長刀を振り下ろしながら───拳銃で扇を撃った

『っ!』

『相手から目を離すなんて嘗めてるのか?』

霊骸の脇腹に脚をめり込ませる。勢い良く瓦礫の中に突っ込んだ霊骸目掛け、拳銃を乱射。体勢を立て直す暇なんて与えない。早く倒して進まないといけないし

『縛道の六十二・百歩欄干!』

光の棒を粉塵に投げ付ける。幾重にも分裂したそれが霊骸を捕らえた

『縛道の六十一・六杖光牢!』

『ちっ…!』

光の帯で霊骸を縛り付ける。これで奴は動けないだろう。ゆっくりと構え直す

『血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 蒼火の壁に双蓮を刻む 大火の淵を遠天にて待つ』

『くそっ…!』

拘束を解こうと暴れだす自分を眺める。
確かに霊骸の能力は僕より上だった。なら何でこんな事になったのか。その理由は只一つ

『力に頼り過ぎだ。良く覚えておけ、慢心は身を滅ぼす』

卍解で長時間扇という弱点を晒し続けたのが霊骸の失敗だ。使える時間が延びればその分扇も増える。つまり弱点が増えるのだ
一瞬の油断で勝負は決まる。あの時扇に気を取られなければ、きっとお前が勝っていたのに

『さよならだ。破道の七十三・双蓮蒼火墜』

『────畜生…っ!』







独月vs独月








(…十二番隊に行かないと)