彼の話
重治殿の顔の左側を覆い始めているのは仮面。どうやら完全に虚に取り込まれたらしい
『ちっ……こいつら勢い付きやがった!』
「隊長!一旦固まるぞ!」
『おう!』
活性化した虚達を薙ぎ払いながら修ちゃんと合流する。
出来れば重治殿が此方に向かって来る前に攻撃して片を付けたい。彼方からの攻撃を許せば、虚達が更に勢いを増す切欠になりかねないからだ
『破道の六十三・雷吼炮!』
後方に居る重治殿目掛けて電撃を放つ。
重治殿はそれを一瞥して────片手で打ち払った。バチンと大きな音を立てて電撃が掻き消される
『おいおい…マジかよ……』
幾ら何でも片手で消すとか止めてくれ。確かに詠唱破棄したけどさ、それなりに強烈なのを撃ったつもりだったのに
不意に背後から悲鳴が聞こえた。振り向くと拳をぶつける銀髪
『「拳西さん!!」』
「無事かテメーら!」
卍解をした拳西さんが戦車の如く物凄い勢いで此方に向かって来る。何でだろう、卍解がって言うより拳西さん自身が武器に見える
「隊長、今の内に行くぞ!」
『ああ!』
藤凍月を構え修ちゃんと共に駆け出す。他の虚達は拳西さんが殴り潰してるから大丈夫。
虚を踏みつけ飛び越えて、親玉に突っ込む
『はっ!』
正面から飛び掛かり長刀を振り下ろせばガキンと響く金属音。あの硬そうな右腕が藤凍月を受け止めていた。
左腕がゆらりと持ち上げられる。その手を拳銃で撃ち抜けば虚は悲鳴を上げた。
『っ!』
力任せに振り払われる。
怒ったのか、僕に虚閃を放とうと構えた虚の仮面から────ぐさりと刃が突き出た
「────あばよ」
背後から虚の額を貫いた修ちゃんが風死をぐいっと下に引き下ろす。
────刃は、虚の身体を縦に引き裂いた
「……わたし、は…」
倒れても尚重治殿は口を開いた。喉どころか身体が縦に裂けている為、その声は酷く掠れている
「や……もと、げんりゅ、さ、い……ふくしゅ…したか、た…」
『……山本総隊長に?』
一体何故。
首を傾げれば重治殿は笑う
「かぞ…みな、やつに……ころさ……た…」
「……山本総隊長が…?」
修ちゃんと目を見合わせる。
仮に山本総隊長が重治殿の家族を殺していたとして、彼は一人でずっと此処に居たんだろうか。家族の偽物と共に
三人で何とも言えない表情をしていると、重治殿の身体がぼろぼろと崩れ始めた。
体内の虚の再生力が限界を迎えたんだろう。足から崩れていく重治殿は穏やかな顔をしていた
「…や、と……家族の……もとに…」
『……ああ』
そう呟いた重治殿は跡形もなく消えてしまった。崩れた身体は霊子となり、この尸魂界の一部となる。
何が彼をこんな道に走らせたのかは判らない
けれど、何だか酷く虚しかった
「………そうか」
『はい』
総隊長に蘆之院家での事件の報告をする。
彼の目的は総隊長への復讐だった。一体それは何の為に。そう思い総隊長を見れば彼は湯呑みを口に運ぶ
「……蘆之院重治は、昔死神であった」
「山本……貴様が…!!」
「儂がある虚を滅した時の事じゃ。その虚は喰らった魂魄に姿を変える特性を持っておった」
『………』
その話を聞いて脳裏に浮かんだのは海燕さんと戦った虚。確か奴も対象の姿を乗っ取れた
「儂が斬ったのは、奴の娘を喰らった虚じゃった」
『まさか………』
春霞殿?
おにぎりをくれた時の優しい笑みを思い出す。彼女が虚に?
「奴は虚を斬った儂を見て、娘を斬ったと勘違いした。そして儂の言葉に一切耳を貸さず、死神を辞めた」
奴の復讐が始まったのはきっとその時からじゃ、と総隊長が言った。
「辛い思いをさせてしまったかの。ゆっくり休みなさい」
『……お心遣い、傷み入ります』
優しく笑った総隊長に頭を撫でられ目を細める。庭を眺めるその姿は少し寂しそうだった
叶わぬ復讐
(この菓子は好きかね?)
(はい。ありがとうございます)
『ちっ……こいつら勢い付きやがった!』
「隊長!一旦固まるぞ!」
『おう!』
活性化した虚達を薙ぎ払いながら修ちゃんと合流する。
出来れば重治殿が此方に向かって来る前に攻撃して片を付けたい。彼方からの攻撃を許せば、虚達が更に勢いを増す切欠になりかねないからだ
『破道の六十三・雷吼炮!』
後方に居る重治殿目掛けて電撃を放つ。
重治殿はそれを一瞥して────片手で打ち払った。バチンと大きな音を立てて電撃が掻き消される
『おいおい…マジかよ……』
幾ら何でも片手で消すとか止めてくれ。確かに詠唱破棄したけどさ、それなりに強烈なのを撃ったつもりだったのに
不意に背後から悲鳴が聞こえた。振り向くと拳をぶつける銀髪
『「拳西さん!!」』
「無事かテメーら!」
卍解をした拳西さんが戦車の如く物凄い勢いで此方に向かって来る。何でだろう、卍解がって言うより拳西さん自身が武器に見える
「隊長、今の内に行くぞ!」
『ああ!』
藤凍月を構え修ちゃんと共に駆け出す。他の虚達は拳西さんが殴り潰してるから大丈夫。
虚を踏みつけ飛び越えて、親玉に突っ込む
『はっ!』
正面から飛び掛かり長刀を振り下ろせばガキンと響く金属音。あの硬そうな右腕が藤凍月を受け止めていた。
左腕がゆらりと持ち上げられる。その手を拳銃で撃ち抜けば虚は悲鳴を上げた。
『っ!』
力任せに振り払われる。
怒ったのか、僕に虚閃を放とうと構えた虚の仮面から────ぐさりと刃が突き出た
「────あばよ」
背後から虚の額を貫いた修ちゃんが風死をぐいっと下に引き下ろす。
────刃は、虚の身体を縦に引き裂いた
「……わたし、は…」
倒れても尚重治殿は口を開いた。喉どころか身体が縦に裂けている為、その声は酷く掠れている
「や……もと、げんりゅ、さ、い……ふくしゅ…したか、た…」
『……山本総隊長に?』
一体何故。
首を傾げれば重治殿は笑う
「かぞ…みな、やつに……ころさ……た…」
「……山本総隊長が…?」
修ちゃんと目を見合わせる。
仮に山本総隊長が重治殿の家族を殺していたとして、彼は一人でずっと此処に居たんだろうか。家族の偽物と共に
三人で何とも言えない表情をしていると、重治殿の身体がぼろぼろと崩れ始めた。
体内の虚の再生力が限界を迎えたんだろう。足から崩れていく重治殿は穏やかな顔をしていた
「…や、と……家族の……もとに…」
『……ああ』
そう呟いた重治殿は跡形もなく消えてしまった。崩れた身体は霊子となり、この尸魂界の一部となる。
何が彼をこんな道に走らせたのかは判らない
けれど、何だか酷く虚しかった
「………そうか」
『はい』
総隊長に蘆之院家での事件の報告をする。
彼の目的は総隊長への復讐だった。一体それは何の為に。そう思い総隊長を見れば彼は湯呑みを口に運ぶ
「……蘆之院重治は、昔死神であった」
「山本……貴様が…!!」
「儂がある虚を滅した時の事じゃ。その虚は喰らった魂魄に姿を変える特性を持っておった」
『………』
その話を聞いて脳裏に浮かんだのは海燕さんと戦った虚。確か奴も対象の姿を乗っ取れた
「儂が斬ったのは、奴の娘を喰らった虚じゃった」
『まさか………』
春霞殿?
おにぎりをくれた時の優しい笑みを思い出す。彼女が虚に?
「奴は虚を斬った儂を見て、娘を斬ったと勘違いした。そして儂の言葉に一切耳を貸さず、死神を辞めた」
奴の復讐が始まったのはきっとその時からじゃ、と総隊長が言った。
「辛い思いをさせてしまったかの。ゆっくり休みなさい」
『……お心遣い、傷み入ります』
優しく笑った総隊長に頭を撫でられ目を細める。庭を眺めるその姿は少し寂しそうだった
叶わぬ復讐
(この菓子は好きかね?)
(はい。ありがとうございます)