空座町決戦から五ヶ月。
護廷隊も大分変わった
仮面の軍勢から三・五番隊の隊長を決め、ずっと空席だった十三番隊の副隊長も決定。
内部で死神としての体裁を護ろうとする奴等が隊長就任に関して最後まで喚いていたらしいが、それは総隊長によりスルーされた。
取り敢えずざまぁ見ろとは思ってる。うちの隊にも仮面の軍勢の方が二名入られたから、正直体裁主張なんてどうでも良い。

「白さんは大変だったな…」

『あー…うん…』

修ちゃんの呟きに頷く。
あの人は確かに大変だった






















「えー!?そんなのズルじゃん!!拳西が隊長やるならあたしだって副隊長やーりーたーいーっ!!」

そう言って隊首室に乗り込んできたのは元九番隊副隊長の久南白さん。仮面の軍勢だった彼女は、平子さんや鳳橋さんが隊長に就任するという話を聞いて尸魂界に来たらしい。そして拳西さんが九番隊に戻るなら自分も、と
白さんの一言で判ったが、彼女は拳西さんが隊長に戻るのだと考えているらしい。…ぶっちゃけ僕が隊長なんだが譲っても良いかなこれ

「白、俺は隊長じゃねぇぞ」

「え?」

きょとんとした顔で溜息を吐いた拳西さんを見る。彼は執務机に向かう僕の隊首羽織を引っ張った

「今の九番隊隊長はコイツだ」

『…え、と……桜花独月です』

拳西さんに目で促され自己紹介すれば彼女は首を傾げた

「何で副官章着けてるのー?」

白さんが指差したのは僕の右腕。それを見て納得する。確かに隊長が副官章着けてたら気になるわな

『今この隊は副隊長が不在だからです』

「っ馬鹿……!」

素直にそう言えば拳西さんが焦り顔。え?何で?
そう思いながら視線を戻し────納得した

「副隊長居ないならあたしがやるーっ!!」

白さんが目を輝かせてそう言った。ああ、こうなる事が判ってたから拳西さんが慌てたのか。
ちらりと見ればじとっとした視線を返される。その視線は面倒な事にしやがって、と言っている。うん、ごめんなさい。謝るからそんな目で見ないで欲しい

「副隊長は居る。テメーにゃなれねぇ」

「何でー!?副隊長やーりーたーいーっ!!!」

……あれ、この人拳西さんの話聞いてた?
副隊長は居ると言ったんだがそれを白さんは完全無視。や、居るんだってば、檜佐木修兵っていう副隊長が

「拳西のバカバカバカーっ!!」

『………』

どうしようこの人。何か床でじたばたしだしたんだが。助けを求め拳西さんを見れば彼は深い溜息を吐いた。そして小さく呟く。上手く合わせろよ、と。え、何を?

「……お前には、別の役職を用意してある」

拳西さんが静かにそう言った瞬間、ぴたりと白さんが止まった

「別のぉ……?」

不満げに口を尖らせる白さんが拳西さんを見る。拳西さんは僕を見た。え、まさか僕が役職決めるのか。大体どんなのを?そう思い拳西さんを見れば小声で横文字で長いヤツ、と。
長いヤツ、長いヤツ……

『えーと…白さんには、"ウルトララジカルスクープエディター"になって頂きたい』

自分で言っといて何だこれ。
けれど彼女には効果覿面だった様で

「ウルトララジカル…スクープエディター…!何それ何それっ!?」

おお、食い付いた。
目をキラキラさせる彼女にどう言おうかと頭をフル回転させる
………もう良いや、どうにでもなれ

『……尸魂界と現世────二つの世界を股に掛け、まだ誰も見た事のない現象・事件を読者にお届けする、クールでマーベラス、スタイリッシュでファンタスティック、ビューティフルでエキサイティングな究極の編集記者……それが"ウルトララジカルスクープエディター"なのですっ!』

「やるっ!!!」

即答、だった





















「あれは凄かった」

『ん………』

あの日ずっと頭に引っ付いていた修ちゃんがくつくつと笑う。
おい笑うな。あの時は僕も必死だったんだ

「クールでマーベラスでスタイリッシュでファンタスティックでビューティフルでエキサイティングって意味判んねぇし」

『…横文字って言われたから適当に……』

「そもそもウルトララジカルスクープエディターって何だよ」

『う………』

思い付いた横文字適当に並べただけとか言えない。
その後ウルトララジカルスクープエディターの頭文字を並べて"URSE"=うるせえになる、と拳西さんが喜んでいた事は絶対に白さんには言えない。

「白さんを編集記者にしたのも次の連載考えずに済むからだろ?」

『………』



The reason is impure



(まぁ良いんじゃねぇの?お前が横文字言ってんの面白かったし)

(頼むから忘れて下さい……!)