だらだらと午前の最後の授業を受けながら、終わりを待つ。
因みにこの授業は尸魂界の歴史について。今授業でやっている所は修兵さんに教えて貰った事なので、大体頭に入っている。

「なので此処はこうなるのでありー…」

この教師の話し方は睡魔を誘う。只でさえ復習というのは退屈なのに、だらだらと話されてしまえば眠い事この上ない。
だが周りは眠る事なくメモを執っている。そんな必死になって書く様な事じゃないと思うんだけど。
退屈過ぎて溜め息を零す。授業早く終わらないかな























授業が終わり昼休みになった。
各々動き出すクラスの人間を見て、僕も机の上の片付けを始める。
背後では相変わらず僕の陰口。あの日修兵さんが脅したとは言え、やはり全てを押さえ込める訳ではない
まぁ、面倒だから気にしないけど。
机の上を綺麗にして席を立とうとした時、教室に誰かが入って来た。
瞬間────────室内が静まり返る

「おーっす。独月居るか?」

何故。
何故来た

『…こんにちは修兵さん』

反射的に挨拶をする。
僕にはまだお婆ちゃんの教えが染み付いている様だ。
固まった周りを一切無視した彼は、挨拶した僕に向かってへらりと笑った

「おうこんにちは。飯食おうぜ」

『ん』

一緒に食事する事自体は嫌じゃないので素直に頷き、先に歩き出した修兵さんに続く。
…ああ何だか視線が痛い。背中に穴が空きそうだ






















何時も昼休憩の時に使う木の下で、修兵さんに言う

『修兵さん。僕教室に来ないでって言った』

「あ?そうだったか?」

…やっぱり忘れてたのか

『ん。女子が騒いで面倒だからって、言った』

そう言うと修兵さんは視線を斜め下に向けて、それから頭を掻いた。どうやら思い出したらしい。
まぁ何回も言えば、直ぐに思い出せる様になるか。
というか何故何回も言われている事を繰り返すのか。この人に学習能力はないのか

「…あー…悪かった…」

『………』

ほんっと何回も言ってるんだけどね
修兵さんはモテるらしく、うちのクラスに来る度周りの女子共が色めき立って五月蠅い。彼が居る時の女子の僕に向ける視線といったら。
あれだ、眼力で殺せる力があったなら僕は軽く百回は殺されてる。
いっその事暫く許さなければクラスに来なくなるんじゃないかと思ったけど、修兵さんは捨てられた子犬の様な表情でしゅんとしている。
…何だろう、凄く自分が悪い事してる気分になってきた

『…もう、良い。許す』

ぽつりと言えば、修兵さんは嬉しそうに笑った。普段からそんな風に笑えば良いのに

「ありがとな。じゃ、食おうぜ」

『ん』

弁当の包みを広げ始めた修兵さんを見て、僕も自分の昼食の飴を巾着から取り出した。
飴、因みに普通の飴だ。
腹が膨れる様に感じるとかそんな効果は一切ない。
確かにその場しのぎとしか言えないだろうが、自分で弁当を作るか毎日定食屋に通ってお昼代を使うかと言ったら、断然飴である。
まぁ飴三つ食べたらお腹膨れるし。
前に修兵さんにそれを言えば呆れられたが、止めるつもりはない

「待て、飴食うな。ほらよ」

『?』

飴を止められて、包みから出て来た小さめの弁当箱を渡された。
重さからして中身は入っているだろうが、これをどうしろと?

「弁当だ。お前どうせ午後も飴で凌ぐつもりだったんだろ?」

因みに修兵さんは自分の弁当を並べ始めていた。ああ、だから妙に包みが縦長だったのか。弁当を二つ持っていたから。
という事はこの人朝から弁当二つも作って来たのか。朝は忙しいのに

『……ありがとう』

小さく呟けば頭をくしゃりと撫でられた

「どーいたしまして」






















『「いただきます」』

手を合わせて食べ始める。うん、美味しい。前に修兵さんの料理を食べたいと言った事はあるけど、正直こんなに上手だとは知らなかった

「美味いか?」

『…美味しい』

「そっか」

それを聞くと修兵さんは黙々と食べ始めた。
今までずっと僕を見ていたのは何故か…ああ、作って来た人は気になるよね、相手の反応

『……これ苦い…』

もしゃもしゃ食べていると苦手なアイツを発見した。そう、ピーマンだ
コイツの苦味はもう食べなくても判る。ぶっちゃけ食べたくない

「こらピーマン残すな」

バレない様にこっそり避けていたピーマンはばっちり見付かっていた










お昼休み










(……苦くなかった…(何故だ。ピーマンなのに))

(良し、頑張って食えたな。偉いぞ)

((……子供じゃないんだけど…))


執筆訂正
20140608