「おう、ちびさぎ隊長」

立ち止まり振り向けばそこに居たのは日光を反射するハゲ……斑目さんだった。
この人が九番隊隊舎に来るとは珍しいな。

『どうしたんですか?』

「ちょっと付き合え」

『は?』

「っしゃあ行くぞ!」

『え、あの…ちょっ』

抵抗する間もなく斑目さんは僕の手を掴んでずるずると引っ張って行く。いや、今了承してなかったよね僕。何で連れて行かれてるの







理解出来ぬまま連れて行かれたのは修練場。其処で斑目さんが放って来たのは木刀。反射的にそれを掴み、うげっと呟く。これはもしかしなくとも稽古コースか…?

「構えなちびさぎ!」

そう言った斑目さんは嬉々とした表情。嗚呼やる気満々なんですかそうですか。つまり僕に拒否権はない、と
溜息を吐いて木刀を構える。この人は一度言い出したら止まらないし、相手するより他はないんだろう

『お願いします』

「てめぇの方が立場は上なんだがな……まぁ良い、行くぜ!」

ニヤリと笑った斑目さんが床を蹴った。一気に距離を詰められ、木刀が振り下ろされる。

『………っ』

両手で受け止める。がきん、と硬い物が打ち合わさる音。一撃が重い。ぐっと脚に力を入れて踏ん張り、振り払う。後退した斑目さんに直ぐ様飛び掛かった

「軽ぃぞちびさぎぃ!!」

『ちっ…』

片手で弾き飛ばされ、宙で一回転して着地。
やっぱり体格差があると力負けしてしまう。寧ろ僕が今まで力で負けなかったのって、ルキアと山田ぐらい…?あ、やばいへこむ

「気ぃ抜いてんじゃねぇぞ!」

『くっ…!』

真横に薙ぎ払う太刀を数歩下がって躱し、斜め下から顎を目掛けて掬い上げる様に木刀を振るう。それを上を向く事で回避した斑目さんが素早く木刀を振った。屈んでそれを避け、脚を狙い横に薙ぐ

「ちっ……!」

舌打ちをした斑目さんが木刀の先を床に向ける事で防ぐ。
――掛かった。
身を低くしたまま床を蹴る。そのまま斑目さんの背後に回った。斑目さんが慌てて振り返るがもう遅い。僕は最小限の動きで素早く木刀を振るった
木刀が強かに広い背を打つ

「ぐあっ」

『……僕の勝ちですね』

小さく溜息を吐いて木刀を木刀立てに戻す。ちらりと見れば斑目さんは眉を寄せていた。…不満があるんですかあんた

「まさか背を取られるとはな…」

『速さで負ける訳にはいかないんで』

僕はこの体躯ゆえ力押しよりもちょこまか動き回って相手を引っ掻き回すヒット&アウェイ戦法の方が合っているのだ。速さを磨けと院生の時から修兵さんに言われてきたし

「ありがとな、ちびさぎ」

『?』

不意に斑目さんに頭を撫でられた。何だと見れば彼は笑っている。え、僕何か礼を言われる様な事したか?
首を傾げそれを聞いても斑目さんは笑うだけで結局答えてはくれなかった。本当なんだったんだろう、あのお礼



His mysterious action



(なんなんだあの人)