――急ぎやれ 急ぎやれ
この藪は



――日暮にゃ狐の出る藪じゃ



――さぁさ日暮じゃ急ぎやんせ



――おお こわ こわや



――日暮はこわや
















『…………』

「……独月?」

『……え?』

肩を揺さぶられる感覚。何だと見れば人型の修ちゃんが怪訝そうな顔で此方を見ていた。
え、何?どうしたの?

「……大丈夫か?」

『え、うん』

そう言うと修ちゃんは溜息を吐いた。人の顔見て溜息って失礼だなおい

「お前、最近変だぞ」

『……変?』

何だか失礼な事を言われたんだが何故だ。変な事なんかしてるつもりもないし。そう思いながら修ちゃんを見れば彼は眉を寄せていた

「……急ぎやれ急ぎやれ」

『………え、?』

修ちゃんが静かに言った言葉に目を見開く。何で修ちゃんがその唄を知っている?

「お前、さっき歌ってたんだよ」

『……僕が?』

ああと頷かれ首を捻る。僕はそんな唄を歌った覚えはないし、第一さっき初めて聴いた。今朝もそれの歌詞が少し違う唄を聴いたけど、何れも初めてだ。それを歌詞も見ずに歌うなんて有り得ない

『…何処まで歌ってた?』

「あ?確か…日暮はこわや、までか?」

『…………』

――全部、歌っていたって事?
身に覚えのない事に、うっすらと寒気がした。
普通の歌ならまだしも、初めて聴いた童歌となると気味が悪い。

『……何なんだ』

小さく呟いて、目を閉じた



こんこん狐



(疲れてるのかな…)

(働き過ぎなのかもな)