今日の鬼道は五回生との合同演習だった
まだ鬼道の演習が数回しかない一回生は五回生の見学、それから実習という流れになった
壁に沿って一回生が並び、四つの的を一人一つずつ狙い鬼道を放つ

「破道の四・白雷!」

「破道の三十一・赤火砲!」

「破道の三十三・蒼火墜!」

「破道の四・白雷!」

まぁ好きなのを使って良いって話だったから相当目立ちたい人以外は無難な白雷や赤火砲辺りを使うだろう

「良し、次!」

教師の声で次の列が前に出る。あの教師流魂街出身者には差別するからあまり好きじゃない。あ、次修兵さんだ
何を使うのかと見ていれば彼は一回生の方を見た。きょろきょろと誰かを探しているかの様に視線を彷徨わせ、僕と目が合うと少し笑った。そして徐に口を動かす。何だろう、口パク?み・と・け・よ?…見とけよ?と。頷くと満足そうに笑った

「檜佐木!何してる、早くせんか!!」

あ、怒られた
へいへいと軽く流すと修兵さんは構えた。瞬間空気が変わる

「血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ 蒼火の壁に双蓮を刻む 大火の淵を遠天にて待つ」

霊圧が上がる。びりびりとした空気が肌に痛い

「――破道の七十三・双蓮蒼火墜」

唱えた瞬間けたたましい爆音が響いた





「きゃああああああっ!」

『………っ』

巻き起こった爆風に身体が持って行かれそうになる。良く見ようとして壁際から離れたのが良くなかったか
足が地面から離れそうになった時、急に誰かに肩を抱かれた。反射的に拳を握ったものの、この匂いには覚えがある事に気付き拳を緩めた。それにこんな事を僕にするのはあの人しか居ない

「悪ぃ…やり過ぎた」

やっぱり。まぁ僕が飛ばない様に風避けになってくれているのには感謝する

『…詠唱破棄で良かった気がする』

「可愛い後輩に良いとこ見せようとしたんだけどな」

良いとこ見せたいなら先ず加減を知れ。普通に詠唱して双蓮蒼火墜なんかぶっ放したら演習場はぐちゃぐちゃになるっての
見上げれば自分のやらかした事を少なからず気にしている様で少しへこんだ様子の修兵さん。仕方ない、励ますか

『…凄かった』

「……へ?」

『……鬼道、凄かった』

「…励ましてくれてんのか?」

寧ろ他に何がある

「…ありがとな」

頭をわしゃわしゃと撫でられた。至近距離で笑顔で頭撫でるな。イケメンは心臓に悪い
煙が晴れると教師が此方に走ってきた。