普段は格好良いのに変な所で壊れる
「今日から俺が副隊長に復帰する。ま、宜しくな」
そう言った修兵さんがちらりと僕を見た。
うん、特に異存はないからちゃっちゃと今日の予定言っちゃって
「昼から剣術指南をする。拳西さんと国後が担当だ。しっかりやってくれ」
連絡事項を聞きながらさて今日は何から片付けようか、そう思っているとぽんと頭に何か置かれた。見れば修兵さんの手。え、何?
「見ての通り隊長は仕事し過ぎで上の空だ。何かあったら俺に言え」
『や、ちょっと』
修兵さんの手をぺしりと叩いて抗議しても知らん顔。うわ、腹立つ。睨んでいればにやにやと笑う修兵さん。蹴飛ばして良いかな
じとっとした目で見ていると隊士達が笑っている事に気付いた。何故笑う?
「やっぱり隊長には檜佐木副隊長が居ないと」
「これでこそ九番隊ですよね!」
『…………』
つまり修兵さんが九番隊の副隊長に相応しいと。理解したらしい修兵さんが頬を掻き、はにかむ様に笑った
「そういやお前らに一つ言い忘れてた」
隊士達を見渡して、口を開く
「────ただいま」
修兵さんが復帰して五日。今日は修兵さんを非番にしておいた。帰って来たばっかりで働き詰めは可哀想だからと休暇を取らせたんだが、彼は少し不満そうだった。まぁそれでも強制的に休暇を取らせる事に変わりはないんだが
書類を書き上げて筆を置く。これで今日の急ぎの仕事は終わった。さて編集室にでも顔を出すかな。ついでに書類を届けるのも良いかも知れない。そう考えて席を立った。
「俺が行こうか?」
『いや、良いよ』
後頭部に引っ付いた修ちゃんを連れて部屋を出る
「おう、隊長。執務は終わったのか?」
『拳西さん』
廊下を歩いていると向かい側から来た拳西さんに出会した。終わった旨を伝えれば早かったなと頭を撫でられる。
「今日は修兵は休みだったか」
『はい。酷使すると可哀想だと思ったんで』
殆ど休んでないみたいだし今日くらいはゆっくりしててくれないかな。そう言うと修ちゃんが無理じゃね?と
それに同意する様に拳西さんも頷いた
「あいつの事だ。どうせちょろちょろ動き回ってんだろ」
『あー…やっぱり?』
「少なくとも家事はやってんだろうな」
取り敢えず家事、そのまま何だかんだでずるずると一日中動き回る、と。休暇あげた意味が全くないんだがどうしよう。溜息を吐くとまぁ頑張れよと拳西さんに肩を叩かれた。正直その励ましは要りません
『……ただいまー』
「お帰りー」
すっかり癖になった言葉を口にすれば直ぐに返事が返ってきた。やっぱり僕の部屋に居たのか修兵さん
履物を脱ぎ中に入る。そしてテーブルの上に並ぶ料理に目をぱちくりさせた。見た目からしてやたら凝った料理が並んでいる。え、今日は何かのお祝いですか?
「今シェパードパイ焼けるから着替えてきな」
『あ、はい』
シェパードパイって何だ。そう思いつつ素直に部屋に向かう。修ちゃんはぽてぽて歩いて台所の方に行った。修兵さんの手伝いに行ったんだろうか
着替えて居間に向かえばもう二人共席に着いていた。自分の席に座り三人で手を合わせる
「「『いただきます』」」
先程焼けたばかりのシェパードパイにフォークを向ける。湯気の立つそれに息を吹き掛けて口に運んだ
『美味しい』
「そいつは良かった」
満足そうに笑った修兵さんがローストチキンを切り分けて口に運ぶ。前から思ってたけどこの人食べ方綺麗だよな。そう思いつつふと修兵さんを凝視。
ああ、さっきの違和感はこれか
『髪切ったの?』
「ああ。長いと邪魔だしな」
前髪の片方を掻き上げた髪型。お陰で顔の左半分がはっきり見える。
『結構短くなったね』
「そうか?」
首を傾げながら修兵さんが前髪を摘まむ。
短髪だが前よりは少し長いからか、幼くは見えない
「……似合わねぇか?」
少し沈んだ声に慌てて目を向ければ修兵さんがしょげた顔。や、そんな事は一言も言ってないんだが
『ううん、似合ってる。格好良いよ』
「……………………」
思った事を素直に言えば修兵さんが目を見開いてフリーズした。それから数秒後、急に此方に背を向ける。え、何が起きた
「照れてんだろ。ほっときゃ復活するさ」
『むぐ』
隣の修ちゃんがそう言って僕の口にローストチキンを突っ込んだ。うん、美味しい。ちらりと修兵さんを見れば僅かに見えた耳が真っ赤だった。ほら食えと修ちゃんに言われ食事を再開させる。修兵さんが食事に戻ったのはそれから十分後だった
「やっぱ伸ばせよ、勿体ねぇ」
『い・や・だ』
風呂上がりの髪をタオルでわしゃわしゃと拭いていると修兵さんがそう言った。それに対する返事を一つずつ区切って言ってやれば、かくりと頭を下げて溜息を吐かれる。あ、しょげた
『だから髪洗う時とか短い方が楽なんだってば』
「そこは我慢してくれ」
『やだ面倒臭い』
そもそも何で修兵さんは僕に髪を伸ばせと言うのか。ルキアも髪綺麗なのに短いじゃないか。
たとえ綺麗だったとしても長さは本人次第だと思うんだが
ベッドに転がった修兵さんが頬杖をついてじっと此方を見つめている。物言いたげな視線は無視。伸ばす気はありません
「上がったぞー…って何してんのお前ら」
髪を拭きながら部屋に入って来た修ちゃんが状況を見るなり首を傾げた。そりゃ聞きたくもなるよね、修兵さんが恨みがましい目で此方を絶賛睨み中だから
『髪伸ばさないって言ったらこうなった』
「……ガキか」
「うっせ犬っころ」
「黙れガキ」
反発した修兵さんを修ちゃんが睨み付ける。以前は、姿は違うが同じ修兵さん同士が喧嘩するという不思議な光景に見えていたが、今じゃすっかり慣れてしまった。だって割と頻繁に口喧嘩してるし
数秒間睨み合うと二人同時にふいっと顔を反らした。修ちゃんはぬいぐるみに戻ると僕の方にぽてぽて歩み寄って来る。ぴょんと跳んで、椅子に座っていた僕の膝の上に乗ってきた修ちゃんの頭を撫でれば、大きな耳がぴくぴくと動いた
そういえば、ぬいぐるみに戻ると全身が乾いているのはどういう仕組みなんだろう
『ほら修兵さん端に寄って』
「……………」
ベッドを占拠していた修兵さんを軽く壁に寄せて布団に潜り込む。
修ちゃんを下ろし横になろうとすれば、引き締まった腕に引き寄せられた。腕枕をされつつ素直に腕の中に収まれば、頭に何かがくっついてくる。微かに暖かい空気を感じるからこれは多分修兵さんの顔。頭や首、背中に顔をくっつけるのはこの人が拗ねた時やへこんだ時に取る行動だ。
『……少しなら、良いよ』
「…………?」
回された腕に僅かに力が籠る。その手をぽんぽんと撫でながら口を開いた
『少しだけなら、髪伸ばしても良い』
「………ほんとか?」
そう言った修兵さんの驚く気配。や、こんな事で嘘なんか吐かないから。身体の向きを変え向かい合えば、未だにきょとんとした顔の修兵さんと目が合った。そんなに驚く事じゃないと思うんだが
髪を梳く様に撫でる手に目を細める。修兵さんに撫でられるのは好きだ。落ち着くし、何だか胸が暖かくなる
『修兵さんに撫でられるの嫌いじゃないし』
「………ほぉ」
そう言うと修兵さんがにやにやし始めた。
え、何なのその顔。見ていれば顔面卑猥様が口を開く
「俺の可愛い独月チャンはツンデレが増しただけか。いや良かった良かった」
『…………理解不能』
助けを求めて修ちゃんを見るが彼は寝たふりを決め込んでいる。耳引っ張ってやろうかあのぬいぐるみ
「反抗期じゃなくて只ツンデレが増しただけだったんだな、うん」
目の前ではだらしない顔をした顔面卑猥様が何かを言ってしきりに頷いている。
何か無性に腹が立つんだがどうしよう、叩いて良いかな
「もしかして寂しくてツンが増したとか?ほんと可愛いわお前」
『どうしよう修兵さんがうざい』
「ツンか、またツンなのか独月。だがその程度じゃ可愛いだけだぜ?」
『………殴って良いかな…』
「うるせぇよお前ら早く寝ろ」
若干壊れた
(あー可愛い(ぎゅーっ))
(苦しい、苦しいから修兵さん…!)
そう言った修兵さんがちらりと僕を見た。
うん、特に異存はないからちゃっちゃと今日の予定言っちゃって
「昼から剣術指南をする。拳西さんと国後が担当だ。しっかりやってくれ」
連絡事項を聞きながらさて今日は何から片付けようか、そう思っているとぽんと頭に何か置かれた。見れば修兵さんの手。え、何?
「見ての通り隊長は仕事し過ぎで上の空だ。何かあったら俺に言え」
『や、ちょっと』
修兵さんの手をぺしりと叩いて抗議しても知らん顔。うわ、腹立つ。睨んでいればにやにやと笑う修兵さん。蹴飛ばして良いかな
じとっとした目で見ていると隊士達が笑っている事に気付いた。何故笑う?
「やっぱり隊長には檜佐木副隊長が居ないと」
「これでこそ九番隊ですよね!」
『…………』
つまり修兵さんが九番隊の副隊長に相応しいと。理解したらしい修兵さんが頬を掻き、はにかむ様に笑った
「そういやお前らに一つ言い忘れてた」
隊士達を見渡して、口を開く
「────ただいま」
修兵さんが復帰して五日。今日は修兵さんを非番にしておいた。帰って来たばっかりで働き詰めは可哀想だからと休暇を取らせたんだが、彼は少し不満そうだった。まぁそれでも強制的に休暇を取らせる事に変わりはないんだが
書類を書き上げて筆を置く。これで今日の急ぎの仕事は終わった。さて編集室にでも顔を出すかな。ついでに書類を届けるのも良いかも知れない。そう考えて席を立った。
「俺が行こうか?」
『いや、良いよ』
後頭部に引っ付いた修ちゃんを連れて部屋を出る
「おう、隊長。執務は終わったのか?」
『拳西さん』
廊下を歩いていると向かい側から来た拳西さんに出会した。終わった旨を伝えれば早かったなと頭を撫でられる。
「今日は修兵は休みだったか」
『はい。酷使すると可哀想だと思ったんで』
殆ど休んでないみたいだし今日くらいはゆっくりしててくれないかな。そう言うと修ちゃんが無理じゃね?と
それに同意する様に拳西さんも頷いた
「あいつの事だ。どうせちょろちょろ動き回ってんだろ」
『あー…やっぱり?』
「少なくとも家事はやってんだろうな」
取り敢えず家事、そのまま何だかんだでずるずると一日中動き回る、と。休暇あげた意味が全くないんだがどうしよう。溜息を吐くとまぁ頑張れよと拳西さんに肩を叩かれた。正直その励ましは要りません
『……ただいまー』
「お帰りー」
すっかり癖になった言葉を口にすれば直ぐに返事が返ってきた。やっぱり僕の部屋に居たのか修兵さん
履物を脱ぎ中に入る。そしてテーブルの上に並ぶ料理に目をぱちくりさせた。見た目からしてやたら凝った料理が並んでいる。え、今日は何かのお祝いですか?
「今シェパードパイ焼けるから着替えてきな」
『あ、はい』
シェパードパイって何だ。そう思いつつ素直に部屋に向かう。修ちゃんはぽてぽて歩いて台所の方に行った。修兵さんの手伝いに行ったんだろうか
着替えて居間に向かえばもう二人共席に着いていた。自分の席に座り三人で手を合わせる
「「『いただきます』」」
先程焼けたばかりのシェパードパイにフォークを向ける。湯気の立つそれに息を吹き掛けて口に運んだ
『美味しい』
「そいつは良かった」
満足そうに笑った修兵さんがローストチキンを切り分けて口に運ぶ。前から思ってたけどこの人食べ方綺麗だよな。そう思いつつふと修兵さんを凝視。
ああ、さっきの違和感はこれか
『髪切ったの?』
「ああ。長いと邪魔だしな」
前髪の片方を掻き上げた髪型。お陰で顔の左半分がはっきり見える。
『結構短くなったね』
「そうか?」
首を傾げながら修兵さんが前髪を摘まむ。
短髪だが前よりは少し長いからか、幼くは見えない
「……似合わねぇか?」
少し沈んだ声に慌てて目を向ければ修兵さんがしょげた顔。や、そんな事は一言も言ってないんだが
『ううん、似合ってる。格好良いよ』
「……………………」
思った事を素直に言えば修兵さんが目を見開いてフリーズした。それから数秒後、急に此方に背を向ける。え、何が起きた
「照れてんだろ。ほっときゃ復活するさ」
『むぐ』
隣の修ちゃんがそう言って僕の口にローストチキンを突っ込んだ。うん、美味しい。ちらりと修兵さんを見れば僅かに見えた耳が真っ赤だった。ほら食えと修ちゃんに言われ食事を再開させる。修兵さんが食事に戻ったのはそれから十分後だった
「やっぱ伸ばせよ、勿体ねぇ」
『い・や・だ』
風呂上がりの髪をタオルでわしゃわしゃと拭いていると修兵さんがそう言った。それに対する返事を一つずつ区切って言ってやれば、かくりと頭を下げて溜息を吐かれる。あ、しょげた
『だから髪洗う時とか短い方が楽なんだってば』
「そこは我慢してくれ」
『やだ面倒臭い』
そもそも何で修兵さんは僕に髪を伸ばせと言うのか。ルキアも髪綺麗なのに短いじゃないか。
たとえ綺麗だったとしても長さは本人次第だと思うんだが
ベッドに転がった修兵さんが頬杖をついてじっと此方を見つめている。物言いたげな視線は無視。伸ばす気はありません
「上がったぞー…って何してんのお前ら」
髪を拭きながら部屋に入って来た修ちゃんが状況を見るなり首を傾げた。そりゃ聞きたくもなるよね、修兵さんが恨みがましい目で此方を絶賛睨み中だから
『髪伸ばさないって言ったらこうなった』
「……ガキか」
「うっせ犬っころ」
「黙れガキ」
反発した修兵さんを修ちゃんが睨み付ける。以前は、姿は違うが同じ修兵さん同士が喧嘩するという不思議な光景に見えていたが、今じゃすっかり慣れてしまった。だって割と頻繁に口喧嘩してるし
数秒間睨み合うと二人同時にふいっと顔を反らした。修ちゃんはぬいぐるみに戻ると僕の方にぽてぽて歩み寄って来る。ぴょんと跳んで、椅子に座っていた僕の膝の上に乗ってきた修ちゃんの頭を撫でれば、大きな耳がぴくぴくと動いた
そういえば、ぬいぐるみに戻ると全身が乾いているのはどういう仕組みなんだろう
『ほら修兵さん端に寄って』
「……………」
ベッドを占拠していた修兵さんを軽く壁に寄せて布団に潜り込む。
修ちゃんを下ろし横になろうとすれば、引き締まった腕に引き寄せられた。腕枕をされつつ素直に腕の中に収まれば、頭に何かがくっついてくる。微かに暖かい空気を感じるからこれは多分修兵さんの顔。頭や首、背中に顔をくっつけるのはこの人が拗ねた時やへこんだ時に取る行動だ。
『……少しなら、良いよ』
「…………?」
回された腕に僅かに力が籠る。その手をぽんぽんと撫でながら口を開いた
『少しだけなら、髪伸ばしても良い』
「………ほんとか?」
そう言った修兵さんの驚く気配。や、こんな事で嘘なんか吐かないから。身体の向きを変え向かい合えば、未だにきょとんとした顔の修兵さんと目が合った。そんなに驚く事じゃないと思うんだが
髪を梳く様に撫でる手に目を細める。修兵さんに撫でられるのは好きだ。落ち着くし、何だか胸が暖かくなる
『修兵さんに撫でられるの嫌いじゃないし』
「………ほぉ」
そう言うと修兵さんがにやにやし始めた。
え、何なのその顔。見ていれば顔面卑猥様が口を開く
「俺の可愛い独月チャンはツンデレが増しただけか。いや良かった良かった」
『…………理解不能』
助けを求めて修ちゃんを見るが彼は寝たふりを決め込んでいる。耳引っ張ってやろうかあのぬいぐるみ
「反抗期じゃなくて只ツンデレが増しただけだったんだな、うん」
目の前ではだらしない顔をした顔面卑猥様が何かを言ってしきりに頷いている。
何か無性に腹が立つんだがどうしよう、叩いて良いかな
「もしかして寂しくてツンが増したとか?ほんと可愛いわお前」
『どうしよう修兵さんがうざい』
「ツンか、またツンなのか独月。だがその程度じゃ可愛いだけだぜ?」
『………殴って良いかな…』
「うるせぇよお前ら早く寝ろ」
若干壊れた
(あー可愛い(ぎゅーっ))
(苦しい、苦しいから修兵さん…!)