残り七日
『……はぁ…』
窓から見える月を見つめ、溜息。牢の中というのは暇で仕方ない。まぁちょくちょく人が会いに来てくれるだけマシか
閉じ込められて三日。あれから修兵さんは此処に顔を出さなくなった。あの人の事だ、どうせ動き回ってるんだろう。自分が謹慎中だって事を考えて動いてくれれば…とは思うがきっとあの人はそんな事考えてない。寧ろ謹慎中だって覚えてるかどうか。深く溜息を吐く。……不安だ、不安過ぎて禿げそう。下手したら睡眠削って証拠集めしてそうだし、誰かに修兵さんの様子を気に掛けて貰った方が良いかも知れない
そう思っていると隊舎牢の扉が開いた
「ちーっす」
「どうも」
「こんばんわ」
「夜分遅くに失礼します」
「っ離せ阿散井!」
『……やぁ』
中に入ってきたのは阿散井に吉良に雛森にルキア、それと阿散井に襟首を掴まれた修兵さん。
え、修兵さん暴れてるんだがどうしたの?
『皆どうしたの?』
「牢の中は退屈だろうと思い、此方へ」
「少しでも役に立てたらなって思って」
『そうか…ありがとう。嬉しいよ』
ルキアと雛森に礼を言う。阿散井と吉良は暴れる修兵さんを羽交い締めにしていた。や、ほんと何してんのあんたら
聞けば阿散井が苦笑いしながら僕を見た
「檜佐木先輩此処三日ずっと休まずに証拠探ししてるんすよ」
「だから今ぐらいは桜花隊長に休ませて貰おうと思いまして」
『……あー…』
思わず額に手を置く。やっぱり思った通りの事になってるし。何で休んでないんですか修兵さん。あんた謹慎中でしょうが
『………修兵さん』
「…………」
『取り敢えず座って下さい』
「……おう」
吉良が用意した椅子に渋々座った。周りは皆苦笑い。うん、うちの副隊長が迷惑掛けてごめんね?
『ちゃんと寝てる?』
「……おう」
返事する際に修兵さんは視線を逸らした。ちゃんと寝てないんだねあんたは。確かに証拠を集めて欲しいとは言ったよ?けどさ、冷静に考えたら謹慎中だから大っぴらに動けないって判るでしょうが。何で好き勝手動いてるんだ顔面卑猥様この野郎
じとっとした目で見ていれば目を逸らしたまま修兵さんが冷や汗をかき始めた。どうやら怒られる事は判っているらしい。
『修兵さんは僕にはちゃんと寝ろとか食事はちゃんと摂れって言う癖に自分の事は無頓着だよね』
「……すまん…」
『どうせ反省する気はないだろうから許さない』
「う……」
言葉に詰まった修兵さんが口を噤んだ。やっぱり反省する気はないらしい。
自分を放置し過ぎ。だから肉が付かないんだあんたは。阿散井を見習え、あいつは健康的な生活をしてるぞ
溜息を吐けば修兵さんがしょげた。それを見た阿散井達が小さく笑い出す。どうしよう、犬耳と尻尾が見える。しかもしょげた感じの。疲れてるのか僕。溜息を吐いて鉄格子の隙間から手を伸ばした。そしてわんこ様の頭を撫でる
眉を下げた修兵さんと目が合った
『……反省したら許す。でもこれからは絶対に無理はしないで』
「…ああ、判った」
修兵さんがにっと笑った。尻尾がぶんぶん回されている様に見える。うん、末期。疲れてるんだな僕は。撫でている手に擦り付いてくる辺りマジで犬っぽい。阿散井がじっと修兵さんを見て犬だ、と呟いた。どうやら馬鹿犬に同属認定されたらしい。御愁傷様です修兵さん
苦笑いしていると吉良が口を開いた
「ところで………状況は?」
その一言で一気に場の空気が引き締まった。僕の手を握り締めた修兵さんがゆっくりと口を開く
「烙罪刀は今十二番隊が解析してる。雨宮が暴れる直前までの独月の行動を証言出来るのは俺だけ。だが独月と近過ぎる俺じゃ庇ってる疑いがあるとかで信用して貰えねぇらしい」
『ふむ……』
だとすると今の状況は限りなく僕が不利だ。処刑まであと七日。この日数じゃとてもじゃないが証拠なんて見付からないだろう
「こんなの間違ってるだろ!ちびさぎ隊長は何もしてねぇのに!」
『落ち着け阿散井』
声を荒げる阿散井にどーどーと手を出せば今度は吉良が口を開いた
「そうは言っても桜花隊長、処刑まであと七日しかありませんよ」
『まぁそれはそうなんだが…』
「かくなる上は……」
『ルキア、その先は言うな』
瞳に物騒な光を宿したルキアを制す。彼女の事だ、脱獄させる気なんだろう。だがそれをすれば確実にルキア達を巻き込む事になる。それだけは避けたい
「まぁまだ七日ある。他の隊長達も四十六室に掛け合って下さっているらしいし、上手く行けば冤罪は免れるだろう」
「けど、檜佐木さん……」
雛森の視線に修兵さんが頷いた
「判ってる。それでももし刑が実行されるなら……その時は、俺が独月を護る」
「畜生……」
舌打ちして壁に拳を叩き付ける。幾ら探してもめぼしい証拠は見付からない。あと七日、ぐずぐずしてる暇はないってのに
隊舎牢の中の小さな銀髪を思い出す。あいつの目許には隈が出来ていた。笑ってはいたがそれは何時もより引き攣っていた。何より辛いのはあいつなのに無理して笑いやがってあの強がりが。
溜息を吐いて、ふと耳を澄ます。今聞こえたのは何だ?金属音みてぇだったが。そっと音の方に近付けば暗がりの中に人影。暗いが夜目は利く方だから特に支障はねぇ。建物の陰に身を隠しながら様子を窺えば、フードを被った人影はすっと手を上に上げた。その手に握られていたのは刀身に触手みてぇなもんが巻き付いた刀。
あれはまさか
「烙罪刀か……?」
あれには確かに見覚えがある。だがあれは今十二番隊にある筈だ。
なのに何故あの刀が彼処に?
見ていればゆらりと増える人影。あれは確か六番隊の奴だ。その他にも続々と集まってくる。
皆一様に様子が可笑しい。まるで操られている様な─────
「……あいつが親玉か?」
なら今此処で捕らえれば独月は解放されるのか?そうならば奴が此方に気付いていない今が好機──────
風死の柄に手を掛けた時、何かに腕を掴まれた
「今動くんは早過ぎやないか、檜佐木さん」
「っ!!………財前、隊長…」
振り向けば其処に立っていたのは独月の元上司。財前隊長は人集りをちらりと見てから俺に視線を向けた
「まだ時間はあります。焦らずにあいつを泳がすべきや」
「でもあいつが今持ってるのは…!」
「よぉ見てみぃ。アレは偽物や」
つ、と指差したのはフードの奴の持つ刀。偽物だと?良く見ればあの時の烙罪刀との違いに気付く。刀身が白い。確か俺達が見た烙罪刀の刀身は赤かった筈。それに触手なんて巻き付いてなかった。
ならあれは何だ?
「アレは今集まっとる奴等のリーダーやろ」
呟いた財前隊長が静かな目で俺を見た
「烙罪刀はある魔刀の子供みたいなもんや」
「ある魔刀……?」
頷いた財前隊長がゆっくりと口を開いた
「なぁ檜佐木さん、緋願花って知っとるか?」
The day when the red flower broke her
(む、何だこれは…斬魄刀?何故この様な場所に斬魄刀が─────)
(……ルキア…?)
窓から見える月を見つめ、溜息。牢の中というのは暇で仕方ない。まぁちょくちょく人が会いに来てくれるだけマシか
閉じ込められて三日。あれから修兵さんは此処に顔を出さなくなった。あの人の事だ、どうせ動き回ってるんだろう。自分が謹慎中だって事を考えて動いてくれれば…とは思うがきっとあの人はそんな事考えてない。寧ろ謹慎中だって覚えてるかどうか。深く溜息を吐く。……不安だ、不安過ぎて禿げそう。下手したら睡眠削って証拠集めしてそうだし、誰かに修兵さんの様子を気に掛けて貰った方が良いかも知れない
そう思っていると隊舎牢の扉が開いた
「ちーっす」
「どうも」
「こんばんわ」
「夜分遅くに失礼します」
「っ離せ阿散井!」
『……やぁ』
中に入ってきたのは阿散井に吉良に雛森にルキア、それと阿散井に襟首を掴まれた修兵さん。
え、修兵さん暴れてるんだがどうしたの?
『皆どうしたの?』
「牢の中は退屈だろうと思い、此方へ」
「少しでも役に立てたらなって思って」
『そうか…ありがとう。嬉しいよ』
ルキアと雛森に礼を言う。阿散井と吉良は暴れる修兵さんを羽交い締めにしていた。や、ほんと何してんのあんたら
聞けば阿散井が苦笑いしながら僕を見た
「檜佐木先輩此処三日ずっと休まずに証拠探ししてるんすよ」
「だから今ぐらいは桜花隊長に休ませて貰おうと思いまして」
『……あー…』
思わず額に手を置く。やっぱり思った通りの事になってるし。何で休んでないんですか修兵さん。あんた謹慎中でしょうが
『………修兵さん』
「…………」
『取り敢えず座って下さい』
「……おう」
吉良が用意した椅子に渋々座った。周りは皆苦笑い。うん、うちの副隊長が迷惑掛けてごめんね?
『ちゃんと寝てる?』
「……おう」
返事する際に修兵さんは視線を逸らした。ちゃんと寝てないんだねあんたは。確かに証拠を集めて欲しいとは言ったよ?けどさ、冷静に考えたら謹慎中だから大っぴらに動けないって判るでしょうが。何で好き勝手動いてるんだ顔面卑猥様この野郎
じとっとした目で見ていれば目を逸らしたまま修兵さんが冷や汗をかき始めた。どうやら怒られる事は判っているらしい。
『修兵さんは僕にはちゃんと寝ろとか食事はちゃんと摂れって言う癖に自分の事は無頓着だよね』
「……すまん…」
『どうせ反省する気はないだろうから許さない』
「う……」
言葉に詰まった修兵さんが口を噤んだ。やっぱり反省する気はないらしい。
自分を放置し過ぎ。だから肉が付かないんだあんたは。阿散井を見習え、あいつは健康的な生活をしてるぞ
溜息を吐けば修兵さんがしょげた。それを見た阿散井達が小さく笑い出す。どうしよう、犬耳と尻尾が見える。しかもしょげた感じの。疲れてるのか僕。溜息を吐いて鉄格子の隙間から手を伸ばした。そしてわんこ様の頭を撫でる
眉を下げた修兵さんと目が合った
『……反省したら許す。でもこれからは絶対に無理はしないで』
「…ああ、判った」
修兵さんがにっと笑った。尻尾がぶんぶん回されている様に見える。うん、末期。疲れてるんだな僕は。撫でている手に擦り付いてくる辺りマジで犬っぽい。阿散井がじっと修兵さんを見て犬だ、と呟いた。どうやら馬鹿犬に同属認定されたらしい。御愁傷様です修兵さん
苦笑いしていると吉良が口を開いた
「ところで………状況は?」
その一言で一気に場の空気が引き締まった。僕の手を握り締めた修兵さんがゆっくりと口を開く
「烙罪刀は今十二番隊が解析してる。雨宮が暴れる直前までの独月の行動を証言出来るのは俺だけ。だが独月と近過ぎる俺じゃ庇ってる疑いがあるとかで信用して貰えねぇらしい」
『ふむ……』
だとすると今の状況は限りなく僕が不利だ。処刑まであと七日。この日数じゃとてもじゃないが証拠なんて見付からないだろう
「こんなの間違ってるだろ!ちびさぎ隊長は何もしてねぇのに!」
『落ち着け阿散井』
声を荒げる阿散井にどーどーと手を出せば今度は吉良が口を開いた
「そうは言っても桜花隊長、処刑まであと七日しかありませんよ」
『まぁそれはそうなんだが…』
「かくなる上は……」
『ルキア、その先は言うな』
瞳に物騒な光を宿したルキアを制す。彼女の事だ、脱獄させる気なんだろう。だがそれをすれば確実にルキア達を巻き込む事になる。それだけは避けたい
「まぁまだ七日ある。他の隊長達も四十六室に掛け合って下さっているらしいし、上手く行けば冤罪は免れるだろう」
「けど、檜佐木さん……」
雛森の視線に修兵さんが頷いた
「判ってる。それでももし刑が実行されるなら……その時は、俺が独月を護る」
「畜生……」
舌打ちして壁に拳を叩き付ける。幾ら探してもめぼしい証拠は見付からない。あと七日、ぐずぐずしてる暇はないってのに
隊舎牢の中の小さな銀髪を思い出す。あいつの目許には隈が出来ていた。笑ってはいたがそれは何時もより引き攣っていた。何より辛いのはあいつなのに無理して笑いやがってあの強がりが。
溜息を吐いて、ふと耳を澄ます。今聞こえたのは何だ?金属音みてぇだったが。そっと音の方に近付けば暗がりの中に人影。暗いが夜目は利く方だから特に支障はねぇ。建物の陰に身を隠しながら様子を窺えば、フードを被った人影はすっと手を上に上げた。その手に握られていたのは刀身に触手みてぇなもんが巻き付いた刀。
あれはまさか
「烙罪刀か……?」
あれには確かに見覚えがある。だがあれは今十二番隊にある筈だ。
なのに何故あの刀が彼処に?
見ていればゆらりと増える人影。あれは確か六番隊の奴だ。その他にも続々と集まってくる。
皆一様に様子が可笑しい。まるで操られている様な─────
「……あいつが親玉か?」
なら今此処で捕らえれば独月は解放されるのか?そうならば奴が此方に気付いていない今が好機──────
風死の柄に手を掛けた時、何かに腕を掴まれた
「今動くんは早過ぎやないか、檜佐木さん」
「っ!!………財前、隊長…」
振り向けば其処に立っていたのは独月の元上司。財前隊長は人集りをちらりと見てから俺に視線を向けた
「まだ時間はあります。焦らずにあいつを泳がすべきや」
「でもあいつが今持ってるのは…!」
「よぉ見てみぃ。アレは偽物や」
つ、と指差したのはフードの奴の持つ刀。偽物だと?良く見ればあの時の烙罪刀との違いに気付く。刀身が白い。確か俺達が見た烙罪刀の刀身は赤かった筈。それに触手なんて巻き付いてなかった。
ならあれは何だ?
「アレは今集まっとる奴等のリーダーやろ」
呟いた財前隊長が静かな目で俺を見た
「烙罪刀はある魔刀の子供みたいなもんや」
「ある魔刀……?」
頷いた財前隊長がゆっくりと口を開いた
「なぁ檜佐木さん、緋願花って知っとるか?」
The day when the red flower broke her
(む、何だこれは…斬魄刀?何故この様な場所に斬魄刀が─────)
(……ルキア…?)