恨みは百倍にして返しましょう
見上げる程の大きさの斬魄刀は嘲る様な声を出した
「我は無なり。我を倒すなど浅慮よ、死神」
『「黙れ」』
藤凍月を鞘から抜く。構えれば修兵さんが勢い良く地を蹴った
「無だってんなら消えな」
斬魄刀を構えた修兵さんが緋願花の柄に斬りかかる。それを受け止めたのは花弁の様に付いていた柄の飾り。両端が尖ったそれはブーメランの様に回転しながら此方に向かってきた
『虚空に色付け───“藤凍月”』
始解して、拳銃で向かってきた物を撃ち落とす。弾かれたそれらはくるくると回りながら再び元の位置に収まった
「───燕塵」
飛び上がった修兵さんが大量の小刀を投げ付けた。緋願花に当たった小刀が爆発する。何だあれ、あの人やっぱ危険物ばっかり持ってるな
『───終わりだ』
刺突の構えを取り一気に緋願花に向かって駆け出した。狙いは一つ。柄に填められた深紅の珠。
未だ爆発の煙に巻かれている緋願花に、勢い良く長刀を突き刺した
「ぐああああああああああああッ!!!」
刀から上がる悲鳴。仕留めたか?警戒しながら緋願花から長刀を抜き、距離を取る。
奴の霊圧は消えない。
という事は────まだ、終わりじゃない
聳え立つ緋色の刀を睨み付けていれば、笑いを含んだ声が響く
「……我は無なり…数千の虚を斬った斬魄刀の力を得た我が、高々その程度で屠られると思ったか?」
「上等だ。これぐらいは粘ってくれねぇとな」
『まだお前に仕返ししきれてないから丁度良い』
隣に並んだ修兵さんと共に藤凍月を構え直す。ほんとお前のせいで大変な目に遭ったんだぞ。殲滅任務させられるわ投獄されるわ死刑宣告されるわ隊取り潰し宣告されるわ。それもこれも全部お前が烙罪刀操って余計な事しくさったからだ。
『絶対泣かす』
「……刀は泣かねぇと思うぞ、独月」
修兵さんが呆れた表情で此方を見た。うるさいな、僕が泣かすったら泣かすんだ。
言えば緋願花がその刀身をゆらりと揺らがせた
「ほざいていられるのも今の内だ。
──────卍解」
『……反則』
「レッドカードで即退場だな」
修兵さんが口許を引き攣らせた。多分僕も似た様な顔してる。てかあの大きさで卍解はナシだと思うんだ。だって卑怯じゃん。寧ろあのナリで卍解ですって言われても納得出来るぐらいなのに
「卍解────大煉獄緋願花」
『うわ、蜘蛛』
「丁度良いでかさを知らねぇのかあいつは」
取り敢えず浮かんだ言葉を口にしてみる。うん、見事に緊張感ないのは気のせいか。何か普通に部屋ででかい蜘蛛見付けたみたいな反応なんだが
……まぁ緊張感がないのは何時もの事か。目を閉じ深呼吸を一つ。ゆっくりと目を開けて、藤凍月を胸の前で構える
『なら此方も本気で行くよ。
卍解───“結九十九尾藤凍月”』
唱えれば爆風が起きた。砂塵が消え、視界が晴れる。卍解した僕を見た修兵さん斬魄刀を構えた
「しゃーねぇな……刈れ───“風死”」
てか何故今まで始解してなかったんだ。確かに始解が好きじゃないのは知ってるけどさ。こういう時ぐらいはさっさと始解しようよ
「数万の斬魄刀の力を取り込んだ我に敵うと思うなよ、死神ィ!!」
『一尾・流刃若火』
吐き出された蜘蛛の糸を尸魂界最古の斬魄刀で焼き斬る。
『口から吐き出した物を此方にやるな、汚いから』
「見事にマイペースだなうちの隊長は」
風死をけしかけた修兵さんが笑う。うん、だって何か全然怖いとか負けそうとか思わないんだもん。勿論油断はしてない。でも緊張とかもなく、自然体。何でだろう
『行け、千本桜』
悩みつつ二本目の尻尾を朽木隊長の斬魄刀に変えて向かわせる。桜の奔流が紅い蜘蛛を呑み込んだ
「舐めるな!」
すぐに大煉獄緋願花が桜吹雪を掻き消した。振り下ろされた巨大な脚を躱して施条銃で撃ち抜く。紅い蜘蛛が劈く様な悲鳴を上げて体勢を崩した。がくりと崩れ落ちた身体を起こそうとして上がる血飛沫。見れば修兵さんが反対側の脚を刈り取っていた
『終わりだ』
施条銃を大煉獄緋願花の額に向ける。引き金を引こうとした瞬間───緋色の霊圧が迸った
「巫山戯るなああああああああ!!!!」
『……っ!』
「っ!独月っ!!」
吹き飛ばされた身体を修兵さんに受け止められた。助かった。壁に激突せずに済んだ。礼を言って修兵さんから離れる。巨大な霊圧の方を見れば紅い蜘蛛が此方を睨み付けていた
「貴様らに我が敗れる事など有り得ぬ……!」
『……全快か』
「おいおい…マジかよ…」
その脚はしっかりと元通りになっていた。超速再生……これじゃ斬魄刀っていうより虚だ。思わず溜息を吐く。
今の再生は恐らく根を使ったものだろう。重霊地である空座町から霊力を吸い上げそれを自らの回復に充てた。そんな事をされたら此方は手の打ちようがない。下手に攻撃してまた回復されても困る。空座町の霊力を吸い尽くされ霊的バランスを崩されてもアウトだ。
どうしようもない事態に舌打ちをする。結界は?結界はまだなのか?あんなに人数を当てていた癖に何故発動しない?
「急に大人しくなったなぁ死神ィ!」
『ちっ……役立たず共め』
繰り出された攻撃を地を蹴る事で躱す。修兵さんも事態を理解している様で奴の攻撃を躱すだけ。
「結界はまだか…!?」
『くそっ…!』
「あははははははは!どうしたぁ!」
連続で繰り出される鋭い爪の付いた脚をひたすらに躱し続ける。根のせいで一気に此方が不利になった。どうにかして攻勢に転じないと。そう思った瞬間────紅い一撃が鉄扇を砕いた
『ちっ……!!』
「独月!」
『平気。心配しないで』
ぱらぱらと崩れ落ちた鉄扇の残骸を一瞥する。
これで残りは二。つまり僕が卍解をしていられるのは残り二十分しかない。この時間内にあの蜘蛛を片付けないと
「随分大人しくなったじゃないか。そんなにこの町から霊力を吸い上げられるのが怖いか?」
勝ち誇った様子の蜘蛛が哄笑を上げる。うわ腹立つ。あんな奴根さえなければ今すぐにでも泣かすのに
『……待てよ…根さえなければ…?』
そこで今握っている相棒を見る。藤凍月。確か修兵さんは藤凍月と風死を使って自分の世界を創れた筈だ。それを使えば、もしかしたら奴の根を無効化出来るんじゃ……
『っ修兵さん!!』
「何だ!」
『藤凍月を使って!』
「!?……そうか…!」
どうやら修兵さんは僕の言いたい事を理解してくれたらしい。すぐに卍解を解こうとすれば修兵さんに止められた
「待て!もしあれが通用しなかったら……!」
『────大丈夫』
修兵さんの言葉を遮って口を開く。
『絶対に上手く行く』
そう言って僕は卍解を解いた。途端に身体を襲う疲労感。瞬歩で現れた修兵さんに身体を支えられた
「随分大胆な賭けだな」
『そう?勝ちは見えてるのに』
そう返せば修兵さんはにやりと笑った。その笑みを見て漸く自然体で居られた理由に気付く。
───ああ、この人が傍に居るからか
「可愛い隊長の期待には応えねぇとな」
風死の始解を解いた修兵さんが藤凍月を受け取る。小さく深呼吸してから言葉を紡いだ
「欺き魅せろ────“月閉風死”」
If it is a you side, I am not fearful at all
(卍解か?いや、違う…何だこれは…?)
(───ようこそ、俺の世界へ)
「我は無なり。我を倒すなど浅慮よ、死神」
『「黙れ」』
藤凍月を鞘から抜く。構えれば修兵さんが勢い良く地を蹴った
「無だってんなら消えな」
斬魄刀を構えた修兵さんが緋願花の柄に斬りかかる。それを受け止めたのは花弁の様に付いていた柄の飾り。両端が尖ったそれはブーメランの様に回転しながら此方に向かってきた
『虚空に色付け───“藤凍月”』
始解して、拳銃で向かってきた物を撃ち落とす。弾かれたそれらはくるくると回りながら再び元の位置に収まった
「───燕塵」
飛び上がった修兵さんが大量の小刀を投げ付けた。緋願花に当たった小刀が爆発する。何だあれ、あの人やっぱ危険物ばっかり持ってるな
『───終わりだ』
刺突の構えを取り一気に緋願花に向かって駆け出した。狙いは一つ。柄に填められた深紅の珠。
未だ爆発の煙に巻かれている緋願花に、勢い良く長刀を突き刺した
「ぐああああああああああああッ!!!」
刀から上がる悲鳴。仕留めたか?警戒しながら緋願花から長刀を抜き、距離を取る。
奴の霊圧は消えない。
という事は────まだ、終わりじゃない
聳え立つ緋色の刀を睨み付けていれば、笑いを含んだ声が響く
「……我は無なり…数千の虚を斬った斬魄刀の力を得た我が、高々その程度で屠られると思ったか?」
「上等だ。これぐらいは粘ってくれねぇとな」
『まだお前に仕返ししきれてないから丁度良い』
隣に並んだ修兵さんと共に藤凍月を構え直す。ほんとお前のせいで大変な目に遭ったんだぞ。殲滅任務させられるわ投獄されるわ死刑宣告されるわ隊取り潰し宣告されるわ。それもこれも全部お前が烙罪刀操って余計な事しくさったからだ。
『絶対泣かす』
「……刀は泣かねぇと思うぞ、独月」
修兵さんが呆れた表情で此方を見た。うるさいな、僕が泣かすったら泣かすんだ。
言えば緋願花がその刀身をゆらりと揺らがせた
「ほざいていられるのも今の内だ。
──────卍解」
『……反則』
「レッドカードで即退場だな」
修兵さんが口許を引き攣らせた。多分僕も似た様な顔してる。てかあの大きさで卍解はナシだと思うんだ。だって卑怯じゃん。寧ろあのナリで卍解ですって言われても納得出来るぐらいなのに
「卍解────大煉獄緋願花」
『うわ、蜘蛛』
「丁度良いでかさを知らねぇのかあいつは」
取り敢えず浮かんだ言葉を口にしてみる。うん、見事に緊張感ないのは気のせいか。何か普通に部屋ででかい蜘蛛見付けたみたいな反応なんだが
……まぁ緊張感がないのは何時もの事か。目を閉じ深呼吸を一つ。ゆっくりと目を開けて、藤凍月を胸の前で構える
『なら此方も本気で行くよ。
卍解───“結九十九尾藤凍月”』
唱えれば爆風が起きた。砂塵が消え、視界が晴れる。卍解した僕を見た修兵さん斬魄刀を構えた
「しゃーねぇな……刈れ───“風死”」
てか何故今まで始解してなかったんだ。確かに始解が好きじゃないのは知ってるけどさ。こういう時ぐらいはさっさと始解しようよ
「数万の斬魄刀の力を取り込んだ我に敵うと思うなよ、死神ィ!!」
『一尾・流刃若火』
吐き出された蜘蛛の糸を尸魂界最古の斬魄刀で焼き斬る。
『口から吐き出した物を此方にやるな、汚いから』
「見事にマイペースだなうちの隊長は」
風死をけしかけた修兵さんが笑う。うん、だって何か全然怖いとか負けそうとか思わないんだもん。勿論油断はしてない。でも緊張とかもなく、自然体。何でだろう
『行け、千本桜』
悩みつつ二本目の尻尾を朽木隊長の斬魄刀に変えて向かわせる。桜の奔流が紅い蜘蛛を呑み込んだ
「舐めるな!」
すぐに大煉獄緋願花が桜吹雪を掻き消した。振り下ろされた巨大な脚を躱して施条銃で撃ち抜く。紅い蜘蛛が劈く様な悲鳴を上げて体勢を崩した。がくりと崩れ落ちた身体を起こそうとして上がる血飛沫。見れば修兵さんが反対側の脚を刈り取っていた
『終わりだ』
施条銃を大煉獄緋願花の額に向ける。引き金を引こうとした瞬間───緋色の霊圧が迸った
「巫山戯るなああああああああ!!!!」
『……っ!』
「っ!独月っ!!」
吹き飛ばされた身体を修兵さんに受け止められた。助かった。壁に激突せずに済んだ。礼を言って修兵さんから離れる。巨大な霊圧の方を見れば紅い蜘蛛が此方を睨み付けていた
「貴様らに我が敗れる事など有り得ぬ……!」
『……全快か』
「おいおい…マジかよ…」
その脚はしっかりと元通りになっていた。超速再生……これじゃ斬魄刀っていうより虚だ。思わず溜息を吐く。
今の再生は恐らく根を使ったものだろう。重霊地である空座町から霊力を吸い上げそれを自らの回復に充てた。そんな事をされたら此方は手の打ちようがない。下手に攻撃してまた回復されても困る。空座町の霊力を吸い尽くされ霊的バランスを崩されてもアウトだ。
どうしようもない事態に舌打ちをする。結界は?結界はまだなのか?あんなに人数を当てていた癖に何故発動しない?
「急に大人しくなったなぁ死神ィ!」
『ちっ……役立たず共め』
繰り出された攻撃を地を蹴る事で躱す。修兵さんも事態を理解している様で奴の攻撃を躱すだけ。
「結界はまだか…!?」
『くそっ…!』
「あははははははは!どうしたぁ!」
連続で繰り出される鋭い爪の付いた脚をひたすらに躱し続ける。根のせいで一気に此方が不利になった。どうにかして攻勢に転じないと。そう思った瞬間────紅い一撃が鉄扇を砕いた
『ちっ……!!』
「独月!」
『平気。心配しないで』
ぱらぱらと崩れ落ちた鉄扇の残骸を一瞥する。
これで残りは二。つまり僕が卍解をしていられるのは残り二十分しかない。この時間内にあの蜘蛛を片付けないと
「随分大人しくなったじゃないか。そんなにこの町から霊力を吸い上げられるのが怖いか?」
勝ち誇った様子の蜘蛛が哄笑を上げる。うわ腹立つ。あんな奴根さえなければ今すぐにでも泣かすのに
『……待てよ…根さえなければ…?』
そこで今握っている相棒を見る。藤凍月。確か修兵さんは藤凍月と風死を使って自分の世界を創れた筈だ。それを使えば、もしかしたら奴の根を無効化出来るんじゃ……
『っ修兵さん!!』
「何だ!」
『藤凍月を使って!』
「!?……そうか…!」
どうやら修兵さんは僕の言いたい事を理解してくれたらしい。すぐに卍解を解こうとすれば修兵さんに止められた
「待て!もしあれが通用しなかったら……!」
『────大丈夫』
修兵さんの言葉を遮って口を開く。
『絶対に上手く行く』
そう言って僕は卍解を解いた。途端に身体を襲う疲労感。瞬歩で現れた修兵さんに身体を支えられた
「随分大胆な賭けだな」
『そう?勝ちは見えてるのに』
そう返せば修兵さんはにやりと笑った。その笑みを見て漸く自然体で居られた理由に気付く。
───ああ、この人が傍に居るからか
「可愛い隊長の期待には応えねぇとな」
風死の始解を解いた修兵さんが藤凍月を受け取る。小さく深呼吸してから言葉を紡いだ
「欺き魅せろ────“月閉風死”」
If it is a you side, I am not fearful at all
(卍解か?いや、違う…何だこれは…?)
(───ようこそ、俺の世界へ)