誰だ騒がしくするのは、と顔を上げれば妙に目付きの悪い人が目の前に立っていた

『…おはよう修兵さん』

「ああおはよう独月」

頭をぐわしと掴んだ修兵さんは素晴らしい笑顔である

「俺に何か言うの忘れてねぇか?」

『…ごめんなさい』

「それは何に対しての謝罪だ?」

『…飛び級…言うの忘れてた…』

「……素直でよろしい」

呆れた様に溜め息を吐かれた。頭を掴んでいた手は離れ、代わりにデコピンされる

『……痛い…』

「そりゃ良かった」

痛くしたんだからな、と額をつつかれる。ちょっつつくな爪が刺さる。何だこの地味な嫌がらせ

「教室に行ったら居ねぇしたまたま近くに居た佐藤先生に聞いたらお前は飛び級したって言うし。どうせ俺に言うの忘れたんだろとは思ったけどな」

図星過ぎて何も言えない。だって昨日は護廷隊の話を断るのでいっぱいいっぱいだった。自分ではそこまで感じていなかったけどお風呂に入って直ぐに寝た辺り疲れていたんだろうと思う。普段は修兵さんの所にご飯を食べに行くのだがそれすら忘れていた。てか毎日ご飯食べに修兵さんの家に押し掛けている。こう考えると修兵さんには迷惑かけっぱなしである。うわほんとすみません

『………ごめん』

「もう良いよ。気にしてねぇから」

下ろしたままの髪に触れられる。後ろに回られ、髪を梳かれる。どうやら何時もの様に髪を結んでくれるらしい

「ご注文は?」

『…お任せで』

暫く緩く纏めたり梳いたりを繰り返した後、イメージが纏まったのか懐から青い櫛を取り出した。因みにこの櫛も修兵さんの物である。髪紐も修兵さんの。うん一切僕の物がない
というか先程から周りの視線が気になる。寧ろ痛い。数分前までは此方を見る事自体が疎らだったのに今は全員振り返って此方を見ている。何だこれ。そんなにこの光景が珍しいか

「良し、出来たぞ」

今日は後ろで一つに括ってその髪を髪留めで上げたものにしたらしい。勿論髪留めも修兵さんの。因みに今日の髪留めは新しく買った物だそうで。普段忙しそうなのに一体何時買いに行っているんだろうか

「鏡見るか?」

その問いに否と首を振る。修兵さんが髪を弄ったんだから綺麗に仕立てて貰えたのは判ってるし

『…修兵さんがしてくれたなら、何でも良い』

そう言うと修兵さんは僕を見て硬直した。え、どうした。檜佐木修兵応答せよ。
目の前で手を振ってみる

「…わ…笑った…」

『え』

ぽつりと零した言葉がそれって。僕ってそんなに笑わないのか。そう聞けば直ぐに頷かれた

「お前基本無表情」

マジか
いや確かにあんまり口角とか自分で上げないけどまさか無表情だったとは

「まぁゆっくり笑える様になれば良いさ」

ぽんぽんと頭を撫でられる。てかこの人今まで常時無表情人間の世話焼いてたのか。何か尊敬する

『…何時もお世話になってます』

「いきなりどうした」



修兵さんが教室に帰ってから四回生の皆様に質問責めにされた。因みに普段の修兵さんの様子を言ったらファンが増えた。イケメン爆破しろ


四回生になりました


(…修兵さん)

(ん、どうした独月?)

(…ファン、増えた)

(は?)