目覚め
[どうもー、護廷十四隊の隊長さん、それに副隊長さん達!]
聞こえた声に首を傾げる。
感覚からして天挺空羅。声は、浦原さんか
[浦原喜助です。知らない人も沢山居ると思いますが、自己紹介はまた後で]
あんたを知らねぇ奴なんざ居ねぇだろ。
そう思いつつ、声を聞く
[この通信に併せて、黒い薬を各人にお送りしてますが分かりますか?]
見れば手元に黒い楕円形の何かが浮かんでいた。何だこりゃ。
見つめていれば浦原さんが説明を始める
[この薬は卍解を持ってる人にしか効きません]
「………………」
卍解、か。
それなら、俺にも効くのか
[…手でも足でも刀でも良いんで、取り敢えず触れて下さい
そこから吸収されて、魂魄に侵入していく筈です]
話を聞いて、斬魄刀の切っ先で薬に触れた。切っ先から煙が立ち上る。
ぼんやりとそれを眺め、そういやうちの隊長の分は何処にあるのかと辺りを見渡す。
だが黒くて明らかに怪しい薬は見付からなかった。…あれって独月の為に取っといた方が良かったんじゃね?
でも触ったら俺の中に溶け込むし…うん、独月が来たら浦原さんの所に連れて行こう。
「そういえば……」
滅却師に関して、ずっと腑に落ちねぇ事があった。霊術院でその存在を知った時から、ずっと。
奴等は霊子で作り出した矢と弓を使い、虚を消す。虚は敵。それは判る。俺ら死神にとっても奴等は斬るべきものだから。
だが滅却師が虚に向ける異常なまでの敵対心。断固として存在を許さねぇその姿勢。
それは単に、伝統やしきたりなんかじゃねぇんじゃねぇか?
何かもっと、根本的な何かがあるんじゃねぇか?
だって伝統やしきたりなんかで特定の誰かを憎み続けるなんて、無理だろ
「長く誰かを恨み続ける為には…」
何だろう、何が、そんなにあいつらを駆り立てるのか。
ぼんやりとそんな事を考えながら真っ白な建物の隙間をすり抜けていれば、遠くから聞こえる爆発音。それからでけぇ人形の何か。
何だあれ、狛村隊長の卍解に見えるけど。でもあの人の卍解はあんな鬼みてぇなヤツじゃねぇぞ。
「見た目怖過ぎだろ……って、あれ?」
ふと思い付いた。
そうか、怖いからか。
動物は何にしたって自分を殺す要因を好きにはなれねぇ。憎む事なら幾らでも出来る。
怖ぇから消そうとする。その存在を憎み、恨み、根絶するまで戦える
「そうかそうか、あー…何かスッキリした」
そういや何かの本で読んだな。
滅却師は虚に対する抗体を一切持たない種族だって。
つまり身体に虚を少しでも取り込んだら重体になるって事だ。
「って事は、さっきの薬は虚なのか…?」
だとすれば、卍解を取られた死神が虚の力を取り込んだ時、滅却師が奪った卍解にも虚の力が流れ込む。例えるなら、黒崎の卍解みたいに。
虚の力を取り込めば、俺達の卍解も奪われなくて済む
「ほんの少しでも体内に虚の一部を取り込むことが出来たなら…一瞬でも卍解を虚化させる事が出来たなら…」
奪われた卍解を、あいつらの厭うものに変えられたとしたら
「卍解が…滅却師にとっての毒になる」
ゆっくりと、意識が浮上する。
目を開けた。
同時に、氷が砕け散った
『………………』
手を開いたり閉じたりしてみる。
随分久し振りな気がするけど、まぁ違和感はないし、大丈夫か。
誰かが用意してくれていたらしい死覇装に着替える。斬魄刀と神遊扇をベルトに差した。
外套を身に纏い、進む。
僕に気付いた麒麟児が振り向いた
「漸くお目覚めかよ、チビ」
『待たせた。もう行ける』
「ほら独月ちゃん、おにぎり!ハラが減ったら食べるんだよ!」
『ありがとうございます』
曳舟さんからおにぎりの入った包みを受け取り、前に出る。
目の前には螺旋階段。ああ、これを行けと
「もう三時間も前に滅却師達は攻撃を始めとる」
隣に来た和尚さんはそう言った。
千手丸さんも口を開く
「一護は先に行った」
『追い付くから、良い』
そう返し、皆の方を振り返った。
腰を折って、深く頭を下げる
『御世話になりました』
頭を上げて、背を向ける
『じゃあ、行ってきます』
言葉と同時に螺旋階段へと飛び出した。
Waking of ice
聞こえた声に首を傾げる。
感覚からして天挺空羅。声は、浦原さんか
[浦原喜助です。知らない人も沢山居ると思いますが、自己紹介はまた後で]
あんたを知らねぇ奴なんざ居ねぇだろ。
そう思いつつ、声を聞く
[この通信に併せて、黒い薬を各人にお送りしてますが分かりますか?]
見れば手元に黒い楕円形の何かが浮かんでいた。何だこりゃ。
見つめていれば浦原さんが説明を始める
[この薬は卍解を持ってる人にしか効きません]
「………………」
卍解、か。
それなら、俺にも効くのか
[…手でも足でも刀でも良いんで、取り敢えず触れて下さい
そこから吸収されて、魂魄に侵入していく筈です]
話を聞いて、斬魄刀の切っ先で薬に触れた。切っ先から煙が立ち上る。
ぼんやりとそれを眺め、そういやうちの隊長の分は何処にあるのかと辺りを見渡す。
だが黒くて明らかに怪しい薬は見付からなかった。…あれって独月の為に取っといた方が良かったんじゃね?
でも触ったら俺の中に溶け込むし…うん、独月が来たら浦原さんの所に連れて行こう。
「そういえば……」
滅却師に関して、ずっと腑に落ちねぇ事があった。霊術院でその存在を知った時から、ずっと。
奴等は霊子で作り出した矢と弓を使い、虚を消す。虚は敵。それは判る。俺ら死神にとっても奴等は斬るべきものだから。
だが滅却師が虚に向ける異常なまでの敵対心。断固として存在を許さねぇその姿勢。
それは単に、伝統やしきたりなんかじゃねぇんじゃねぇか?
何かもっと、根本的な何かがあるんじゃねぇか?
だって伝統やしきたりなんかで特定の誰かを憎み続けるなんて、無理だろ
「長く誰かを恨み続ける為には…」
何だろう、何が、そんなにあいつらを駆り立てるのか。
ぼんやりとそんな事を考えながら真っ白な建物の隙間をすり抜けていれば、遠くから聞こえる爆発音。それからでけぇ人形の何か。
何だあれ、狛村隊長の卍解に見えるけど。でもあの人の卍解はあんな鬼みてぇなヤツじゃねぇぞ。
「見た目怖過ぎだろ……って、あれ?」
ふと思い付いた。
そうか、怖いからか。
動物は何にしたって自分を殺す要因を好きにはなれねぇ。憎む事なら幾らでも出来る。
怖ぇから消そうとする。その存在を憎み、恨み、根絶するまで戦える
「そうかそうか、あー…何かスッキリした」
そういや何かの本で読んだな。
滅却師は虚に対する抗体を一切持たない種族だって。
つまり身体に虚を少しでも取り込んだら重体になるって事だ。
「って事は、さっきの薬は虚なのか…?」
だとすれば、卍解を取られた死神が虚の力を取り込んだ時、滅却師が奪った卍解にも虚の力が流れ込む。例えるなら、黒崎の卍解みたいに。
虚の力を取り込めば、俺達の卍解も奪われなくて済む
「ほんの少しでも体内に虚の一部を取り込むことが出来たなら…一瞬でも卍解を虚化させる事が出来たなら…」
奪われた卍解を、あいつらの厭うものに変えられたとしたら
「卍解が…滅却師にとっての毒になる」
ゆっくりと、意識が浮上する。
目を開けた。
同時に、氷が砕け散った
『………………』
手を開いたり閉じたりしてみる。
随分久し振りな気がするけど、まぁ違和感はないし、大丈夫か。
誰かが用意してくれていたらしい死覇装に着替える。斬魄刀と神遊扇をベルトに差した。
外套を身に纏い、進む。
僕に気付いた麒麟児が振り向いた
「漸くお目覚めかよ、チビ」
『待たせた。もう行ける』
「ほら独月ちゃん、おにぎり!ハラが減ったら食べるんだよ!」
『ありがとうございます』
曳舟さんからおにぎりの入った包みを受け取り、前に出る。
目の前には螺旋階段。ああ、これを行けと
「もう三時間も前に滅却師達は攻撃を始めとる」
隣に来た和尚さんはそう言った。
千手丸さんも口を開く
「一護は先に行った」
『追い付くから、良い』
そう返し、皆の方を振り返った。
腰を折って、深く頭を下げる
『御世話になりました』
頭を上げて、背を向ける
『じゃあ、行ってきます』
言葉と同時に螺旋階段へと飛び出した。
Waking of ice