「……しまった」

辺りを見渡すが見慣れねぇ建物ばかり。霊圧を探るが高密度の霊子に邪魔されて探知出来ねぇ。
…何処だよ此処
適当に歩き回るんじゃなかった。
取り敢えず立ち止まり、もう一度辺りを見渡す。やっぱり知らねぇ建物しかねぇ。
────────その時頭に浮かんだのは、迷う子と書く漢字二文字

「いやいやいや、迷ってなんかねぇよ?」

慌てて頭を横に振った
このツラで迷子なんて言えるか。
てか迷子とか嫌だ、恥ずかし過ぎる。
そうは思うものの、今の尸魂界は建物どころか地形まで変わっていて

「…や、迷ってなんかねぇって」

勿論味方も傍に居なくて。というか敵すらも居ねぇから完全にぼっちで
…暗い中、ぼっちで

「………………」

一人で小さく溜息を吐いた。
…良いだろう、しゃーねぇからもう認めてやる

「…迷ったな、これは」

迷子だ迷子。うん、現在迷子
認めてしまえば楽なもので。
取り敢えず見晴らしの良い場所に行こうと思い、移動を始めた。
























「………?」

暫く移動していると微かな音が聴こえてきた。
立ち止まり、耳を澄ます。

「──────」

「─────────」

話し声、か
数は二。何を言ってるかまでは聞き取れねぇけど、此処からそう離れちゃ居ねぇ場所だな。
腰の斬魄刀と隠し持つ暗器を確認。これなら奴等がたとえ敵でもいけるか。
そこに居るのが味方なら良いが
足音を消しながら声の方角に近付いた。

「さっきまでは曇ってただけだ。瀞霊廷の外…尸魂界はこれから夜が来るんだ。
影が増えていくな…嫌な予感がするぜ」

その言葉を聞いて内心安堵した。
そこに居るのは味方だ。じゃねぇと影が増える事を嫌がる発言はしねぇだろう。
瓦礫をよじ登った時、月明かりに照らされている二人組が此方を振り返った

「ん?斑目達か?」

ああ、どうりで聞き覚えのある声だと思った。
てか何で此処に居るんだよ。
そう問えば二人に呆れた様な顔を向けられた

「そりゃ此方の台詞だ。何で此処に居るんだよ」

「迷ったんだよ、地形が完全に変わっちまったからな」

「迷子かよ」

ああ迷ったよ。悪ぃか。
半ばやけくそになりながら言葉を続けた

「奴等俺達に見付からねぇ様に、瀞霊廷中に高密度の霊子をばらまいてやがるんだ」

瓦礫を背凭れにして座り込む。
そういや結構歩いたな、少し疲れた

「夜は迂闊に動かない方が良いぜ」

座って一息吐いた俺に向かって斑目が声を掛けてきた。
…随分耳が痛ぇ言葉だなおい

「奴等影に潜んでやがるからな…ぶらぶら歩き回るなんて奴等の思うつぼだ…」

斑目がそう言った時、急に影が覆った。

「?」

何で急に影が?
上を見上げた瞬間─────────衝撃




























突然頭上から襲い掛かってきたのは、覆面レスラーの様な滅却師だった。
俺達を押し潰したままカウントを取る

「いーち!!!にーーい!!!さーーーんっ!!!」






カンカンカン!!






リングが鳴り、覆面は俺達の上から降りた。そして両手を上に突き上げる

「おいジェイムズ!!
これで見付けた隊長格は全部倒した事になる…だが…」

くっそ身体が痛ぇ。
防御はしたが体格差があり過ぎる。モロに入った斑目達はもう無理そうか
そう結論付けて、斬魄刀に手を伸ばした

「観客の居ない勝利とは悲しいものであるな、ジェイムズ!!」

そういって大笑いする覆面。
こんなもんで勝利だと?
…ふざけんな

「ヘェ!そうデスねミスター!!」

リング係らしい小せぇ滅却師がそう言った。
奴等の会話が一旦途切れた時、背後に一筋の光が差した
見上げれば、空から不思議な光が真下に向かって伸びている

「ん?なんだあの光は…?」

奴等が光に目を奪われている間に、斬魄刀を始解させた
ふざけんな、絶対潰す。

「負ける訳には行かねぇんだよ…」








襲来