覆面を被ったレスラー野郎は天からの光を見つめながら呟いた

「うーむ…正体は判らんが、随分遠い所に…ワガハイが向かうべきかどうか悩む所ではあるな……どう思う、ジェイムズ!!」

「ヘェ!でもあんだけピカピカ目立って落ちてきた奴等を片付けたら目立つデスよ!」

「いざ行かん!遅れを取るなよジェイムズ!!」

そう言って駆け出す覆面。何だこいつ、目立ちたがりか。
小さく舌打ちして風死を投げ付けた。
風死の鎖が足に巻き付き、覆面が足を止める

「!」

「待てよ…」

瓦礫から上半身を起こす。
改めて腹の立つ面を睨み付けた

「これで勝ったつもりか…?」

斑目達は無理でも俺はまだ終わっちゃいねぇぞ。暗器に手を伸ばした瞬間、覆面が鎖を掴んだ。

「ッ!!」

鎖が思いきり引っ張られ、俺の身体が浮く。
引き寄せられた身体にラリアットが入った。

「がっ……!!」

「勿論!」

「痛ぇなんの野郎…!」

ラリアットが入ったのと同時に、手にしていた暗器を腕に突き刺した。

「ぬぅ…っ!」

低く呻いた覆面にもう一本暗器を突き刺そうとして、殴り飛ばされた。
防御も出来ずまともに喰らった身体が吹っ飛ぶ。
せめて受身を。
そう思った時、瓦礫で強く後頭部を打った。
視界が揺れる。意識が薄れる。やべぇ、打ち所が悪かったか

「くそったれ…が……ッ」

空から落ちる光を目にしたまま、視界は暗転した


















「これで最後だ!」

倒れた修兵の顔面を踏み付けようとする覆面野郎。その足を、横から伸ばした足で止める。

「…ちっ」

思わず舌打ちが出た

「修行の結果も出さねぇままアッサリ伸されやがって、情けねぇ副隊長だ」

話し掛けるが修兵は動かねぇ。まさか意識がねぇのか?

「彼の仲間かな?」

「このソデ無しの補佐だ」

覆面野郎の目を見据え、名乗る

「六車拳西、九番隊三席」

「上位席官か!素晴らしい!だが今は邪魔をしないで貰いたい!」

そう言った覆面野郎は空を指差した

「普段なら最高の相手だが、生憎と今ワガハイは最高に目立つ落下物の探索に向かっておる!」

「…まぁ、そう言わないで」

後ろから現れたローズが笑う

「隊長…拳西は元隊長か。隊長レベルが二人だよ?
目立つには中々良い相手だと思うけどね」

ローズのその言葉に揺らいだのか、覆面野郎が動きを止めた。

「心配すんなって…すぐに終わるさ」

そう言って、俺は刀を引き抜いた

「卍解────────鐵拳断風!!」

卍解の解放と共に爆風が巻き上がる。
俺を見た覆面野郎が口許を吊り上げた

「これはまたとないチャンスの様だ!!」

そう言った覆面野郎が地を蹴る。
高らかに宣言しながら奴は飛んだ

「10カウント以内に勝負をつけてやろう!」

迫るドロップキックを片腕で防ぐ。
それなりに押されたが、防がれた蹴りに俺が傷を付けられる事なんてなくて

「何だそりゃ?」

や、ねぇわ。ほんとねぇわ。有り得ねぇ

「…許せねぇぜ…」

マジか?いや今冗談です俺戦えますって起き上がってもあいつ殴る。
え、俺何の為に鍛えたと思ってんだあのガキ。
さっさと卍解覚えさせて独月の役に立てる様にだろうが。この戦いでも負けねぇ様にだろうが。
おいまだ独月帰って来てねぇぞ。なのにてめぇはこんなのにやられんのか。
もう一度覆面野郎を見た。
こんな蹴りに。こんな野郎に…………おいおい待てよ

「修兵はこんな野郎に負けたってのか!?」

────────ぷちっ

「あのバカが!!!!!」

滅茶苦茶短ぇ堪忍袋の緒が切れた。
怒号と共に、両の拳に嵌まった端の尖った刃はメリケンサックになった。
そのまま覆面野郎をぶん殴る。
その衝撃は覆面野郎を突き抜け、背後の建物を吹き飛ばした。

「おおおおおお……」

腹を押さえ、覆面野郎が膝を着く。
ああ、痛がっているその姿にも苛々する。
……良し決めた。
こいつ殴り潰す

「そんな…ミスターが一撃で膝を突くなんて…」

未だに膝を着く覆面野郎の襟を掴み、持ち上げる。おいこの程度で膝着いてんじゃねぇぞ

「効いてねぇんだろ」

寧ろ気ぃ失ったら殴る。
や、今からも殴るけど

「俺の断地風は斬り付けたものを燃やし尽くす斬魄刀だ」

そう言いながら顔面に拳を入れた。
一旦拳を離し、言葉を続ける

「その卍解、鐵拳断風はその力をそのままに拳に変形されたものだ」

もがく覆面野郎に俺の斬魄刀の能力を教えてやる。手の内を晒すのは自殺行為だが、敢えて晒す事で相手に絶望を与える事も出来る

「この力は、俺の拳が触れる限りお前を襲い続けるぜ」

そして再び拳を当てた
拳が触れているだけで、無数の衝撃が覆面野郎を襲う

「ぐああああああああっ!!!」

「吹き飛ばしてやるよ!!」

ぐっと拳に力を入れた。
その瞬間力に耐えきれず、覆面野郎が吹っ飛んだ

「どうやら、僕の出番はないみたいだね……」

ローズがそう呟いたのを聞いてはっと我に返った。…やべぇ、ムカつき過ぎて加減忘れた

「そ、そんな…負けないで下サイ!ミスター!!」

覆面野郎のぶつかった建物を見上げながら小せぇのが泣いている

「ミスターーー!!」

……なんつーか

「…まるで俺らが悪者みてぇじゃねぇか」

大体あいつが俺の隊の奴に手ぇ出したのが悪ぃんだろ。え、俺ら悪くねぇよな?
ローズと顔を見合わせた時、倒れていた黒髪がぴくりと動いた

「だ…だめだ…」

気の所為かと思いそちらを見れば、修兵が顔を上げていた

「駄目だ…拳西さん…!」

「ん?起きたのか?」

声を掛ければ修兵は焦った様子で不思議な事を口にした

「先に…先にその小さいのから片付けないと…!!」

小せぇのから?
首を傾げた時、小せぇのが大声を出した

「立って下サイよスーパースターああああああああ!!!!」

刹那、急に前が翳った。
振り向いた途端、滅茶苦茶重い何かが俺の顔面に当たった。
凄ぇ勢いで身体が吹っ飛ばされる。
建物にぶち当たり漸く止まった時、吹っ飛ばした原因が高らかに声を上げた

「ワガハイは“S”!!“英雄”マスク・ド・マスキュリン!!
────────声援こそがワガハイの力である!!」









スーパーマン