『しゅーへーさん』

「うん?」

膝の上の独月を見る。少しだけ視線を彷徨わせながら、銀髪は言った

『…好きなひと、出来た』

「え゙」

ちょっと待て今こいつ何て言った?思わず独月の顔を覗き込む

「どんな奴だ?性格は?お前を虐めたりしねぇ奴か?」

もしこいつに暴力振るう様な奴なら意地でも妨害する。てか俺がそいつをシメる
そんな事を考えていれば独月が困った様に眉を下げた。まさかそんな奴なのか?こりゃ絶対阻止しねぇと────

『…しゅーへーさん』

「独月、悪い事は言わねぇ。そんな奴止めとけ。お前を傷付ける様な奴は……?」

話している途中で口を塞がれた。小さな手で俺を止めた独月が、少しだけ目許を緩める。これはこいつの笑った事を示す動きだ。笑えねぇ独月のミリ単位の笑み
え、何で笑った?もしかしてそれ程そいつが好きなのか?俺に口出しされたくねぇ程に

『しゅーへーさん』

珍しく笑ったままの独月が、ゆっくりと口を開いた

『……今日、なんの日か、知ってる?』

「へ……?」

口許から手が外されて、問われたのはそんな事。何の日って何だ?
独月はその目に僅かに楽しそうな表情を浮かべている。まるで悪戯に成功した様な────
其処まで考えて、はたと気付く
今日は何の日か、聞いたよな?今日は四月一日。何の日?何の…………

「…………まさか」

『しゅーへーさん、今日は、エイプリルフールだよ?』





可愛い顔に騙された





(おまっ、俺は本気で心配して……っ!)

(…僕、ともだち居ないからすぐ気付くかなと思ったんだけど……ごめんなさい)

(…もう良い。俺も悪かった。けど次からはもう少し軽いやつにしてくれよ?マジでびびった)

(……次も、やっていいの…?)

(おう、これから毎年騙してくれよ。楽しみにしてっから)

(………ありがと…)

(どーいたしまして)