『……お邪魔します』

霊術院に入って2ヶ月。もう身の回りは落ち着いただろうという事で修兵さんの部屋に招待された。五回生からは全員が一人部屋になる為相部屋に一人で住んでいる僕の部屋よりは狭い。その為かどちらかというと修兵さんが僕の部屋に来る事が多かった

「適当に座っとけ」

『ん』

ベッドに寄り掛かる様にして座り部屋を眺める。何というか、思ったよりも物がない部屋だ。棚にテーブルにクッションのみ。もっとこうごちゃごちゃしてると思ってた
棚には鬼道やら剣術の本がぎっしり入っている。何か娯楽物が一切見付からない気がするのは気のせいか
ぼんやりと眺めていると修兵さんがお茶を持ってきた。お茶請けに饅頭を出される。礼を言えば頭を撫でられた。隣に座った修兵さんがぱくりと饅頭を口にした。一口かよ。これ結構大きいのに。もっちゃもっちゃ食べてる修兵さんが何だか犬に見える。きっと真っ黒な大型犬だろうな。じゃれたい時は尻尾ぶんぶん振り回して寄ってくる

「……何で俺の頭撫でてんだ?」

『………へ?あ、ごめん』

気付けば修兵さんの頭を撫でていた。不思議そうにしつつ手に擦り付いてくる辺り更に犬っぽい。犬だ。マジで犬。見た目は怖いけど懐いたら可愛い感じの

「………俺は犬じゃねぇぞ」

『え』

まさか口に出してたのか。ちらりと見れば修兵さんが呆れた様な溜息を吐いた

「お前の考えなんか大体判るっての」

『………』

エスパーか。エスパーだったのか修兵さん。いや初めて知ったわ。
てか修兵さんの髪って撫で心地が良いな。さらさらだ。撫でているとぽすりと僕の胸に修兵さんが凭れてきた。修兵さんの腕が僕の背中に回される。何だろう、犬が甘えてきた

「お前の撫で方好きだわ」

『………そう?』

つか嫌な撫で方ってあるのか。僕はお爺ちゃんの撫で方もお婆ちゃんの撫で方も修兵さんの撫で方も好きだけどな

「…何か、落ち着く…」

胸元ですりすりして来る修兵さんの頭を撫で続ける。どうしよう、修兵さんに耳と尻尾が見えてきた。僕ちょっと疲れてるのかも知れない。
暫く撫でていると微かに聞こえてきた呼吸音。静かになった修兵さんが動かなくなる。え、まさか、寝た?

「………すぅ……」

耳を澄ませば聞こえてきた寝息。寝てる。普通に寝てる。
この体勢キツくないのか。ベッドに寝かせた方が良い気がするんだけど。ちょいちょいとつついてみるものの反応はない。わんこ様はぐっすりお眠りになられている。取り敢えず横になれば少しは楽そうな体勢になった。起きる気配はない。仕方がないからこのまま起きるのを待とうか
髪を撫でれば修兵さんが微かに笑った気がした



わんこ発見



(起きないな………)

(すぅ………)